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30 カツオ 中西部太平洋

Skipjack

Katsuwonus pelamis

                                                                               
PIC

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最近一年間の動き

2011年の中西部太平洋におけるカツオの総漁獲量は155.7万トンであり、全太平洋の漁獲量183万トンの87%を占める。漁法別漁獲量(暫定値)では、まき網が77%の120万トン、竿釣りが約13%の20万トン、その他の漁業が10%の15万トンとなっている。

カツオの資源評価は2011年に行われたものが最新であり、統合モデルであるMultifan-CLにより実施された。その結果、中西部太平洋におけるカツオ資源の現状は、現在の漁獲圧はMSYを下回っていることから過剰漁獲にはなっておらず、かつ現在の資源量はMSYを上回っていることから乱獲状態にはなっていない、と結論づけられた。


利用・用途

刺身・たたきでの生食のほか缶詰や節の原料となる。


図

図1. 中西部太平洋におけるカツオの漁法別漁獲分布


表

表1. 中西部太平洋における竿釣りおよびまき網の主要漁獲国によるカツオの漁獲量(WCPFC 2012より集計)(単位:千トン) 2011年の数値は暫定値。


図

図2. 2011年中西部太平洋におけるカツオの漁法別サイズ別漁獲重量(Williams and Terawasi 2012)
横軸は体長、縦軸は漁獲重量(トン)で示す。赤が竿釣り、黄がフィリピン・インドネシアの漁業、水色がまき網付き物操業、濃い青がまき網素群れ操業を表す。


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図3. 中西部太平洋カツオの主要漁法別漁獲量の経年変化(トン)


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図4. 中西部太平洋におけるカツオの国別漁獲量年変化(トン)


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図5. 太平洋におけるカツオ分布及び漁場分布


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図6. 中西部太平洋のカツオの成長パターン(Tanabe et al. 2003、嘉山ほか 2003より作成)


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図7. 推定カツオ北上経路と黒潮および黒潮続流(川合 1991 改編)


図

図8. 2〜3月に中南海域で放流された2個体のカツオ鉛直遊泳行動(岡本・清藤・竹井 2011)
(左)放流位置のCTD観測結果(黒:水温、青:塩分)(右)遊泳深度


図

図9. 解析に用いた海域区分と各海域における年代別漁法別累積カツオ漁獲量分布(Hoyle et al. 2011)
緑:竿釣り、橙:まき網、黒:hand line、灰:その他


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図10. 各海域における資源量推定値の経年変化(千トン)(Hoyle et al. 2011)
右下がWCPO全域の資源量推定値


漁業の概要

中西部太平洋における大部分のカツオは熱帯域で漁獲され、残りのほとんどが日本近海で季節的に漁獲されている(図1)。インドネシアやフィリピンの近海漁業による漁獲が熱帯域西部海域における主要な部分を占める。中部熱帯域では、遠洋漁業国及び島嶼国のまき網漁業の漁獲が卓越している。中西部太平洋で漁獲されるカツオの尾叉長は概ね40〜60 cmが主体であるが、20〜40 cmの個体の大部分はインドネシア、フィリピン水域で漁獲される(図2)。

本海域におけるカツオの漁獲は、主に日本により行われてきた。無動力の竿釣りは江戸時代から始まり、大正初期に漁船の動力化が始まると漁場は急速に広がり、台湾北西部や小笠原諸島近海まで出漁するようになった。さらに、南洋諸島が日本の委任統治領となると、サイパン、トラック、ポナペ等を基地とした現地操業も始まった。昭和に入ると漁獲魚の冷凍も行われるようになり、漁場は東北海域では沖合600マイル、南方ではマリアナ諸島、スルー海まで広がり、もはや日本近海への来遊資源を待つ季節的操業に限定されず、近海から遠洋までほぼ周年にわたって操業するものも加え、戦前のピーク時には10万トンを超える漁獲量に至った。戦後まもなく大戦による落ち込みから回復し、1952年にマッカーサーラインが撤廃されるとさらなる未開発資源を持つとされたカツオへの関心の高まりから、漁獲量は1960年前後には10〜17万トン、1970年には20万トンを超え1970年代後半には30万トン(それぞれ日本船による漁獲量のみ)を超える水準へと増大した。この間の漁獲の伸びは主に竿釣りが中心となったが、漁場の拡大にともなう活餌保持の問題と共に燃油高騰等の経済的要因から、特に遠洋竿釣り漁船数は減少し、漁獲量の伸びは停滞した。1980年代には各国のまき網船による熱帯水域漁場の開発も始まり漁獲量の急増期に入った。1970年代まで40万トン台であった中西部太平洋における漁獲量は1990年代には100万トン前後に増大、さらに2002年には120万トン、2009年には180万トンに達したが、2011年にはカツオ漁獲量は156万トンに減少している(WCPFC 2012)(図3)。この間、竿釣り・まき網両漁業ともに、漁具の改良に加え、操業機器の開発・改良(低温活餌槽、海鳥レーダー、ソナー、人工浮漁礁(FADs)等)と情報収集能力の向上(衛星情報、インターネット利用)が続いている。

2011年の中西部太平洋におけるカツオの総漁獲量は155.7万トンであり、全太平洋の漁獲量183万トンの87%を占める。漁法別漁獲量(暫定値)では、まき網が77%の120万トン、竿釣りが13%の20万トン、その他の漁業が10%の15万トンとなっている(図3)。まき網については日本・韓国・台湾・米国の遠洋漁業国が近年の漁獲量の5〜6割を占め、他はインドネシア、パプアニューギニア、フィリピンが多い。竿釣りについては、2005頃まで日本が約6割を占めでいたが、次第に減少し、2006年以降は1位をインドネシアに譲り、近年日本は4割ほどになっている(表1)。カツオ総漁獲量を国別に見ると、2009年を除き2010年までは日本が1位であったが、2011年にはその漁獲量が24万トンに減少により、1位を27万トンのインドネシアに明け渡している(図4、付表1)。近年、3位から6位は、韓国、フィリピン、台湾、米国が15〜23万トンほどで拮抗している。  

日本近海は中西部太平洋における本種の分布縁辺部にあたり(Matsumoto et al. 1984;図5)、日本近海の漁獲は分布中心域の資源量と北上回遊・漁場形成に係わる海洋環境に影響される。日本近海の漁獲量は1970年代以降9〜21万トン(20°N以北)で推移している。日本近海では常磐・三陸沖漁場が日本周辺海域の中心的漁場となっているが、漁獲量の変動は激しく、1970年代以降では2〜14万トン(35°N以北の竿釣りとまき網の合計)である。この常磐・三陸沖漁場では、竿釣りに加え、1980年代後半からまき網操業が増加している。2011年の常磐・三陸沖漁場の水揚量は竿釣り2.3万トン、まき網0.8万トンと、2006〜2010年の5か年平均値(竿釣り2.6万トン、まき網3.2万トン)を竿釣りは横ばいを示し、まき網は大幅に下回った。


生物学的特徴

【分類・系群(鈴木 2010)】

カツオ(Katsuwonus pelamis)は1種のみでスズキ目サバ科カツオ属を形成し、3大洋すべての熱帯〜温帯水域、概ね表面水温15℃以上の水域に広く分布している(Matsumoto et al. 1984)。これら3大洋の系群は別系群と考えられているが、太平洋内については単一系群とする説と複数系群とする説がある。歴史的に系群構造の推定には手法により生化学的分析(1960〜1980年代)とDNA分析(1980年代〜現在)とに大別できる。血清蛋白を用いた集団遺伝学的研究では、太平洋には西部に1系群、中部及び東部に1つ以上の系群が存在するとの研究結果(Fujino 1996)もあるが、遺伝子頻度の差が遺伝的な隔離によって生じ維持されているかの確証はないのが現状である。一方、DNAによる分析では同一の手法にも関わらず、研究結果により遺伝的な差異が有意な場合とそうでない結果が示されており、この原因究明が今後の課題として残されている。以上のことから、遺伝的に隔離された系群構造に関しては確固たる結論が得られているとは言えない(鈴木 2010)のが現状である。資源管理上は、分布の広範さに比べて移動拡散の速度が遅く常に資源全体が一様に変動するとは考えられないため、漁業の分布にあわせて東部太平洋と中西部太平洋に分けて資源評価が行なわれるのが現状である。


【成熟・成長(芦田 2010)】

成熟は尾叉長40〜45 cmで開始可能とされてきたが、最近の組織学的手法による分析結果では、成熟開始体長は雌の場合、40.0 cm、雄の場合は35.5 cm(芦田 2010)と雄の成熟開始が早い。1回の産卵数は魚体サイズに依存し、7.6〜130万粒以上とされる。産卵は、表面水温24℃以上の水域で広く行われ、量の多少はあるものの特定の限定された産卵域は形成されない。産卵期は、熱帯水域では周年とされ、日本近海では沖縄周辺はもとより伊豆諸島から35°N付近にも仔魚の出現が見られ、規模は小さいものの産卵が行われていると考えられている(上柳ほか 1973)が、亜熱帯から温帯域における産卵生態の詳細は今後の課題である。卵は分離浮性卵で卵径約1 mm、水温27℃では約25時間でふ化する。なお、多回産卵とされているが、個体の産卵期間・頻度・間隔等は不明であり、価格的に栽培漁業対象種になりえないこともあり再生産機構についての研究は乏しく不明な点が多い。

カツオの成長は、近年耳石の日周輪の観察によりその成長が明らかになってきた(Tanabe et al. 2003、嘉山ほか 2003)。ふ化直後は全長2.6 mm程度であるが、その後の成長は早く1.5か月後には10 cmを超え、6か月で約30 cmに成長する(図6)。その後、満1歳で尾叉長44 cm、満2歳で62 cmに達するとされる。80 cmを超える大型魚は、はえ縄等でわずかに漁獲されることがあり、最大体長は100 cmに達するとされる。これらの大型魚の年齢査定結果はまだ得られていないが、6歳以上まで達すると考えられている。


【分布・回遊(清藤 2010)】

太平洋におけるカツオの分布域は適水温帯の分布にあわせて西側で南北に広く東側では狭くなる(図5)。一般に大型魚ほど南北方向に分布範囲が狭くなり、熱帯水域のみに分布する傾向があり、若齢ほど分布の南北範囲が広い。したがって、熱帯水域には仔稚魚から60 cm以上の魚まですべてのサイズが分布しているが、分布の縁辺部である温帯域では主に1歳魚の摂餌回遊群が季節的に分布する。本種は大洋の沖合域に広く分布・回遊し、標識放流からは西部太平洋と中部太平洋の交流および東部太平洋から中部太平洋への移動が確認されており、フィリピン群島付近も中西部太平洋の魚群の移動範囲に含まれる。また、熱帯域におけるカツオ漁場は、ENSO(El-Niño and Southern Oscillation)にともなう西部太平洋の暖水(warm pool)の東西分布変動に強く影響されていることが明らかになっている(Lehodey et al. 1997)。

日本近海への来遊経路は、これまでの標識放流の結果を踏まえて概ね図7(浅野 1984、田代・内田 1989、川合 1991改変)の様に一般的に考えられている。日本近海へは、主として尾叉長30cm台後半(1歳弱)以降の魚が北上来遊し、主要な北上ルートは、黒潮沿い(図7:ルート1)・紀南・伊豆諸島沿い(ルート2)・伊豆諸島東沖(ルート3)のルートがあり、三陸沖漁場では沖合から現れる魚群(ルート4)もある。標識放流魚の移動から天皇海山漁場まで含めた東沖からの来遊も示唆されている。これらの中で特に量的に重要なのは伊豆諸島沿い・伊豆諸島東沖ルートで、日本近海の主要漁場である常磐・三陸沖へと北上してくる。三陸沖への北上群は9月頃には41°N付近まで達した後、南下する(渡辺ほか 1995)ことが明らかとなっている。小笠原諸島から伊豆諸島を北上するルートでは、伊豆半島沖に西進する魚群と、5月以降に伊豆諸島東沖から来遊する魚群とともに房総沖から常磐・三陸沖へ北上する魚群が見られる。黒潮沿いのルートは、南西諸島から薩南海域に入り、一部は黒潮から分岐する対馬暖流沿いに九州西岸・五島付近に達するが、多くは薩南海域から四国沖・紀伊半島沖を通過し、遠州灘・伊豆諸島周辺に達する。さらに一部は伊豆諸島周辺に達した後、常磐・三陸海域に北上する魚群も見られる。なお黒潮沿いルートは、「北上するカツオは黒潮に乗ってくる」等、主要な北上ルートのごとく表現されてきたが、以前から科学的な表現としての不適切さと観測事実に裏付けられていないとの指摘がある(川崎 1965、川合 1991)。


【食性・被食】

餌生物は魚類、甲殻類、頭足類で、餌生物に対する選択制は弱く、その水域に最も多いものや捕食しやすいものを食べていると考えられている。一方、カツオの捕食者はカツオ自身を含めた高度回遊性魚類のまぐろ類・かじき類、カマスサワラ、ウシサワラ、さめ類、海鳥が挙げられる。これらの種の胃内容物に見出されたカツオのサイズ範囲は3〜70 cmにおよぶが、20 cm以下が最も多く観察されている。


【行動】

漁獲対象となるサイズのカツオについてはテレメトリーや記録型標識による行動研究も行なわれている(小倉 2002、Schaefer and Fuller 2007)。カツオに取り付けた記録型標識の結果によると(小倉 2002)、夏季の常磐沖における北上群は、遊泳深度を昼夜別に比較すると、夜間は45%が5 m以浅の表面を遊泳し、昼間も20%近くが表層を遊泳していることが明らかとなった。

東部熱帯域で再捕された記録型アーカイバルタグを取り付けた体長66 cm前後の大型のカツオ5匹の鉛直行動の特徴は、夜間の98.6%が水温躍層(44 m)より浅い深度を、昼間は37.7%が水温躍層より深い深度を遊泳し、この昼夜の遊泳深度の違いは、深海音響散乱層(Deep-scattering layer;DSL)の日周変動と良く一致していることから、索餌行動に起因する行動であることが示唆された(Schaefer and Fuller 2007)。

現在、日本近海へ来遊するカツオの回遊経路を明らかにするために、2〜3月の中南海域から40 cm前後の比較的小型のカツオにアーカイバルタグを取り付けた放流調査を実施している。1週間と短期ではあるが2尾が再捕され、これらのカツオは95%以上が23.8℃以上の表層(120 m以浅)に分布していたことが明らかとなった(図8;岡本ほか 2011)。

このように、日本近海、熱帯域を合わせても数個体のみの観察事実ではあるが、竿釣りやまき網の操業が昼間に行われることを考慮すると、カツオは昼間も概ね70%近くの時間は潜っており、浮上してきた僅かな時間がカツオと漁業との接点になっている。また、熱帯域において昼間に遊泳水深が水温躍層より深いことも明らかとなっている。これらの事実は、表層漁業の漁獲努力量の標準化を考える上でも重要な情報である。


【仔稚魚期の生態】

仔稚魚の生態については田邉(2002)に整理されている。稚魚期の基本的な餌は魚類仔魚であるが、キハダ等のマグロ属の稚魚よりは魚食性は弱く、カイアシ類、オキアミ類や頭足類も捕食する。摂餌活動は昼間行われ、視覚捕食者である。成長にともない捕食する魚類・甲殻類・頭足類のサイズは大型化するが、胃内容物には動物プランクトン等も引き続き出現する。餌の選択性は弱く周りの餌環境と遊泳能力・口の大きさ等で決まると考えられている。仔稚魚期の鉛直分布は表層混合層下部から水温躍層が中心で、これはマグロ類より深い。時間帯別の採集結果からは、夜になると表面近くへ浮上する日周鉛直移動を行っていると考えられており、さらに発生直後は水温躍層よりも浅い水深に分布するが、成長にともなってより深い水深帯にも分布するようになると考えられている。また、消化管調査から、カツオ仔魚は朝から夕方にかけて摂餌活動を行い、夜間には摂餌を行わない典型的な視覚捕食者であることが示されている。稚魚期においても仔魚期同様、夜間には摂餌を行わない。


資源評価

中西部太平洋のカツオの資源評価はWCPFCの科学委員会(Scientific Committee;SC)で行われており、最新の資源評価は前年2010年第6回会合に引き続き、2011年第7回会合でも実施された。資源評価は統合モデルMultifan-CLにより実施され(Hoyle et al. 2011)、その結果の検討及び資源管理のための勧告が作成された(WCPFC 2011b)。資源評価では、1972〜2010年までのデータ(漁獲量、努力量、体長組成データ、標識データ)が適用され、これらのデータは3海域(図9)、四半期ごとに18の漁業定義に基づいて集約された。

2010年に実施された資源評価との相違点は、@漁獲データ・サイズデータの更新、A日本の竿釣りCPUEのアップデート、B最近の大規模標識放流調査PTTPデータの入力、であった。CPUEの標準化方法の検討については、基本的には2010年の方法を踏襲した(Langley et al. 2010、Kiyofuji et al. 2010)。GLM解析結果に基づいた豊度指数は、@binomial、Alognormal offset、Blognormal positive、の3種類が計算され、最終的には@とBとを組み合わせたDelta-lognormalによる豊度指数が入力データとして使用された(Kiyofuji et al. 2011)。CPUEの標準化における2011年の主な変更点は、2010年には入力されなかった1984年以前の遠洋竿釣り船漁船IDを加えたことである。この結果、2010年と比較すると2011年の竿釣りCPUEのトレンドは1984年以降横ばいとなった。今回の資源評価には適応されなかったが、GPSデータに基づいた探索時間を考慮した努力量の算出を行い、その努力量に基づいたCPUEを算出した(Okamoto and Kiyofuji 2011)結果についても報告された。

2011年の資源評価結果は、2011年の結果と比較するとやや楽観的になり、資源量の経年変化は2006年以降の減少傾向は確認できるが、2000年代前半からの減少傾向は顕著ではない(図10)。推定された加入量は、1980年から1986年まで増加した後、1991年まで減少した。1995年以降は横ばい傾向である(図11)。年当たりの漁獲係数(F)の絶対値は年々増加しており、2010年の推定値は最高値を示した(図12)。これらの資源評価結果に対して、標識データ及びCPUE豊度指数の解析が必ずしも十分ではないことや、2010年資源評価の際には実施されなかった補正されたサイズデータはモードが曖昧になってしまうことが議論されたほか、日本の沿岸漁業のCPUEが低位に推移していること、2009年の近海でのカツオ不漁から回復したが、竿釣り漁獲量は過去2番目に低いことが指摘された。MSYに関連する指標値はそれぞれ、Fcur/FMSY=0.37(前回:0.34)、Bcur/BMSY=2.68(前回: 2.24)、SBcur/SBMSY=2.94(前回:2.67)と推定された(cur=2006〜2009年の平均)。特にFcur/FMSYは前回より悪化しており、近年のFの増加に起因している。

モデル解析に基づいた中西部太平洋におけるカツオ資源の現状は、現在の漁獲圧はMSYを下回っていることから過剰漁獲にはなっておらず、かつ現在の資源量はMSYを上回っていることから乱獲状態にはなっていない、と結論づけられた(図13)。過剰漁獲、乱獲状態にはなっていないとされたが、2010年のFは過去最高値であることから、漁獲努力量はモニターされるべきとの勧告がなされた。

資源保存管理勧告には、reference case(steepness=0.80)を使用することが合意された。現在の漁獲圧はMSYを下回っており過剰漁獲にはなっていないが(Fcur/FMSY=0.37)、最近の10年ほどFは高い傾向にあり、MSYに対する漁獲圧と資源量の指標は急速に1.0に向かって近づき始めている。また、現在の資源量はMSYを上回っており、乱獲状態にはなっていない(Bcur/BMSY=2.42)。

科学委員会における資源保存管理のための勧告は以下の通りである。


  • 資源は中程度(Fcur/FMSY=0.37)に漁獲され、漁獲死亡率は持続的である。しかし、赤道海域における高い漁獲が資源の分布縮減を発生させ、高緯度(日本、豪州、NZ及びハワイ)の漁業のカツオ利用度を減少させている懸念が生じている。
  • 現在の漁獲状態が継続すれば、資源がMSYに向かって減少するに従い漁獲率は減少し、漁獲も減少する。近年の漁獲死亡率及びMSY関連資源量指標の急激な変化もあり、漁獲努力量の増大はモニターされるべきである。WCPFCは、資源量の更なる減少に伴う漁獲率の減少を制限するためにカツオ漁業の開発の制限を検討すべき。
  • 漁業は資源のサイズ、特に赤道西部海域に大きな影響を与えており、漁獲率に影響を与えると予測される。まき網のさらなる漁獲努力量は、カツオの長期的漁獲の観点からは僅かな増大しかもたらさないだけでなく、メバチやキハダの漁獲死亡率の増大も引き起こす。中西部太平洋における総漁獲努力の管理においては、この点を認識すべきである。
  • まき網漁獲物構成の不確実性に留意し、科学委員会はWCPFCにまき網漁獲物構成データの推定の改善継続を求める。

管理方策

2012年12月に開催されたWCPFC本会合において、我が国等がメバチの幼魚を多量に混獲する熱帯域の大型まき網漁船の管理強化を求め、協議の結果、2013年から2017年の5年間でメバチの過剰漁獲を解消し、資源回復を行う計画を来年中に作成することで合意した。また、2013年の保存管理措置は、次のとおり採択された。

(a) まき網漁業
・集魚装置を用いた操業の4か月間(7〜10月)禁止またはそれに相当するFADs使用制限
・漁獲努力量を2010年水準に制限
(b) はえ縄漁業(カツオにはほとんど影響しない)

メバチの漁獲量を2001〜2004年の平均値から30%削減

この措置は、直接的にカツオの漁獲を制限するものではないが、カツオを含め全体の漁獲努力量を抑制するものである。


カツオ(中西部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 減少
世界の漁獲量
(最近5年間)
155.8〜180.0万トン
平均:166.9万トン(2006〜2010年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
23.9〜32.4万トン
平均:28.6万トン(2006〜2010年)
管理目標 MSY:150万トン
資源の状態 Bcurrent/BMSY:2.68
SBcurrent/SBMSY:2.94
Fcurrent/FMSY:0.37
管理措置 2012年12月に開催されたWCPFC本会合において、我が国等がメバチの幼魚を多量に混獲する熱帯域の大型まき網漁船の管理強化を求め、協議の結果、2013年から2017年の5年間でメバチの過剰漁獲を解消し、資源回復を行う計画を来年中に作成することで合意した。また、2013年の保存管理措置は、次のとおり採択された。
(a) まき網漁業
・集魚装置を用いた操業の4か月間(7〜10月)禁止またはそれに相当するFADs使用制限
・漁獲努力量を2010年水準に制限
(b) はえ縄漁業
メバチの漁獲量を2001〜2004年の平均値から30%削減
この措置は、直接的にカツオの漁獲を制限するものではないが、カツオを含む全体の漁獲努力量を抑制するものである。
管理機関・関係機関 WCPFC

執筆者

かつお・まぐろユニット
かつおサブユニット
国際水産資源研究所 かつお・まぐろ資源部 かつおグループ

岡本 浩明


参考文献

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