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28 クロカジキ 大西洋

Blue Marlin

Makaira nigricans

                                                           
PIC

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最近一年間の動き

2012年に大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)により資源評価を基に新しい資源管理方策が策定された。


利用・用途

刺身、寿司で生食されるほか、切り身はステーキやソテーとされる。


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図1. 国別漁獲量(データ: ICCAT 2011)2010年は暫定値


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表1. 近年の国別漁獲量(トン)(データ: ICCAT 2010年は暫定値)


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図2. 漁法別の漁獲量(データ: ICCAT 2011)2010年は暫定値


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図3. クロカジキ(大西洋)の分布


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図4. 1956〜2000年の四半期別の平均漁獲重量分布(ICCAT 2004a)
赤丸:はえ縄の漁獲量、黄緑丸:はえ縄以外の漁業の漁獲量
この図は、本種の季節別分布状況を良く表している。


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図5. 資源量指数(ICCAT 2011)
3つのトレンドは各国のはえ縄データを同じ重み付けで標準化したCPUE(青線)、エリア毎に重み付けした場合(赤線)及び漁獲量で重み付けした場合(緑線)を示す。


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図6. Stock Synthesis 3による資源解析結果 (ICCAT 2011)
青実線は産卵親魚量のMSY水準比(SSB/SSBMSY)、青破線はその±10%信頼限界を示し、赤実線は漁獲死亡係数のMSY水準比(F/FMSY)、赤破線はその±10%信頼限界を示している。


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図7. 資源解析で求めたPhaseプロット(ICCAT 2011)
個々の黒点はMCMCによる繰り返し計算の結果を示し、緑菱形はその中央値を示している。青丸及び青実線は1965〜2008年のF/FMSYとSSB/SSBMSYの比の中央値の変化を示している。


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図8. 将来予測結果(ICCAT 2011)
TACを0〜4000トンに固定した時の将来予測結果。結果はSSB/SSBMSYで示してある。予測の開始は2010年とし、2010年及び2011年の漁獲量は3,341トンと仮定した。


漁業の概要

本種を主対象で漁獲している漁業は米国、ベネズエラ、バハマ、ブラジル等のスポーツフィッシングとカリブ海諸国やアフリカ西岸諸国、ブラジル等の沿岸零細漁業であり、まぐろ類やメカジキを対象としたはえ縄が混獲として本種を漁獲しているのに対して、スポーツフィッシングや沿岸零細漁業は本種を主対象として漁獲している(図1)。本種の漁獲量は1979〜1998年に増加傾向を示した後、2000年代中旬まで減少したが、近年再び増加傾向を示している。1990年代中旬〜2000年代中旬には便宜置籍船による漁獲等が増加した。また、沿岸零細漁業等が大きく漁獲を延ばし、さらに1990年代下旬からはガーナ、コートジボアールといった沿岸零細漁業国がまとまった漁獲を揚げるなど、近年は新しい漁業国による漁獲が増えている(図2)。日本の漁獲量は、2007年以降増加し2008年に1,000トンを上回ったが、その後減少し2011年は暫定値ながら440トン足らずに止まった(表1)本種の総漁獲量のトレンドは、おおよそはえ縄の漁獲量のトレンドと一致していたが、近年はそれ以外の漁業による漁獲が無視できない量となっている(図2)。

これまでの報告によると、カリブ海にあるアンチル諸島の沿岸零細漁業が係留式浮き魚礁を利用した操業によるクロカジキの漁獲を大きく延ばしている。しかしながら、この漁業からの漁獲量の報告が不完全であることが指摘されている。また、最近の調査により、西アフリカのまき網船団でもクロカジキの混獲が報告されているが、多くはFADs操業によるものであることが報告されている。


生物学的特徴

本種の分布域は大西洋の熱帯域を中心に温帯域まで広がる。大西洋の西側ではカナダ沖からアルゼンチン沖、東側ではアゾレス諸島から南アフリカ沖まで漁獲されている(図3、4)。本種は、平均重量が100〜175 kgに達する大型魚類で、海洋生態系における上位捕食者である。分布域は広大で、大西洋の東西を横断したり、南北を縦断したりするような回遊を行う個体も存在する。一方その分布形態は、群泳するサバ科魚類などとは異なり、個々の個体は薄く広く存在している。本種は2〜4歳で成熟し、熱帯及び亜熱帯水域で夏から秋にかけて産卵する一方、夏には水温の低い温帯域にも出現する。若齢個体の成長は硬骨魚類の中でも最も早いものの一つであると考えられており、1歳で30〜45 kgに達する。雌は雄よりも成長が早く、また最大体長も大きい。本種の産卵域としては、カリブ海中部から北部域及びバハマの北側域が知られているが、コートジボアール沿岸域でも産卵している可能性が報告されている。

本種はニシマカジキ同様、外洋の表層域を主たる分布域としている一方で、定期的に水深300 m前後まで潜水を行うことが知られている。また、分布水深帯について、夜間はごく表層付近にとどまることが多い一方で、昼間は40〜100+ mと夜間に比べてやや深い場所に多くとどまることが多い。その一方で、本種の鉛直分布パターンは個体差が大きく、また水温や溶存酸素量といった海洋環境要因にも影響を受けることも報告されている。詳しい成長や産卵生態に関しては、充分な情報はまだ得られていない。

本種は外洋の表層域に分布する様々な魚類及び頭足類を捕食するが、サバの仲間を好んで食べることが知られている。また、表層混合層以深に潜水することも知られている。こうした理由から、本種は熱帯から温帯の外洋域で浅縄を用いてまぐろ類を狙うはえ縄によって最も多く漁獲されているが、外洋域で夜縄を用いてメカジキを漁獲したり、深縄を用いてメバチを漁獲するはえ縄によってもまとまった量が漁獲されている。


資源状態

資源評価は2011年4月にICCAT資源評価会合によって行われた。本会合では、主に各国のはえ縄データを用いて様々な資源量指数の推定が試みられたが(図5)、近年漁獲量が増加している沿岸零細漁業のデータはほとんど資源量指数推定に使うことができなかった。今後は、本種を多く漁獲している漁業全てのデータを使った資源量指数の推定が必要である。推定された資源量指数は、1960〜1975年に急激に減少した後、長期にわたり安定傾向を示したが、1990年代中旬より再び減少傾向を示した(図5)。

2011年の資源解析は初めて統合モデル(Stock Synthesis 3)を用いて行われたが、その結果は資源は依然として乱獲状態にあることを示した(図6、7)。この結果は、資源は乱獲状態にあるが資源量の減少傾向は止まりつつある、とされた2006年の資源評価よりも悲観的なものである。しかしながら、この資源解析の結果は推定されたsteepnessの値が0.4と非現実的な値を示すといった問題点もあり、不確実性が高いものであった。将来予測の結果は、最近年の漁獲量(3,240トン、2009年)では資源水準は更なる減少を続け、これまでの保存管理措置では資源回復は見込めないことを示した。


管理方策

2011年に行われた資源評価結果を受けて、大西洋クロカジキ資源に対しては、2013〜2015年の間のTACを2,000トンとすることが合意された。この間の日本の割り当て漁獲量は年間390トンである。また、これまで義務づけられていた生存放流を可能な限り実施することが勧告された。同時に、今回の資源解析・評価の実施に当たって問題となった生存放流及び死亡投棄個体の推定方法について、各国からの報告の提出とそれらの内容の吟味も併せて勧告された。さらに、クロカジキは、はえ縄やまき網といった規模の大きな漁業の他に、スポーツフィッシングや沿岸漁業によっても漁獲されているので、これらに関して別途資源保護のための規制と、モニタリング態勢の強化が勧告されている。


クロカジキ(大西洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 低位
資源動向 減少
世界の漁獲量
(最近5年間)
4,000〜6,700トン
平均:5,400トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
440〜1,030トン
平均:790トン
管理目標 MSY
目標値 2,837トン(2,343〜3,331トン)
資源の現状 SSBMSY/SSBMSY:0.67(0.53 – 0.81)
F2009/FMSY:1.63(1.11 – 2.16
管理措置 2013〜2015年のTACを2,000トンとする。
(日本の割当量は390トン)
管理機関・関係機関 ICCAT

執筆者

かつお・まぐろユニット
かじき・さめサブユニット
国際資源水産資源研究所 かつお・まぐろ資源部 まぐろ漁業資源グループ

余川 浩太郎


参考文献

  1. Graves, J.E. and J.R. McDowell. 2001. A genetic perspective on the stock structures of blue marlin and white marlin in the Atlantic Ocean. SCRS/2000/054. Col. Vol. Sci. Pap. ICCAT, 53: 180-187. http://www.iccat.es/Documents/CVSP/CV053_2001/CV053000180.pdf (2005年12月9日)
  2. ICCAT. 1997. Recommendation by ICCAT regarding Atlantic Blue Marlin and Atlantic White Marlin. 97-9 BIL. (Entered into force: June 13, 1998.) http://www.iccat.es/Documents/Recs/compendiopdf-e/1997-09-e.pdf (2005年12月8日)
  3. ICCAT. 2000. Recommendation by ICCAT to establish a plan to rebuild Blue Marlin and White Marlin populations. 00-13 BIL. (Entered into force: June 26, 2001.) http://www.iccat.es/Documents/Recs/compendiopdf-e/2000-13-e.pdf (2005年12月8日)
  4. ICCAT. 2001a. Report of the fourth ICCAT billfish workshop (Miami, Florida - July 18-28, 2000). BIL_DET_2000 (ENG). Col. Vol. Sci. Pap. ICCAT, 53: 1-130. http://www.iccat.es/Documents/CVSP/CV053_2001/CV053000001.pdf (2005年12月8日)
  5. ICCAT. 2001b. Recommendation by ICCAT to amend the plan to rebuild Blue Marlin and White Marlin Populations. 01-10 BIL. (Entered into force: September 21, 2002.) http://www.iccat.es/Documents/Recs/compendiopdf-e/2001-10-e.pdf (2005年12月8日)
  6. ICCAT. 2002. Recommendation by ICCAT to amend the plan to rebuild Blue Marlin and White Marlin populations. 02-13 BIL. (Entered into force: June 3, 2003.) http://www.iccat.es/Documents/Recs/compendiopdf-e/2002-13-e.pdf (2005年12月8日)
  7. ICCAT. 2004a. 8. Executive summaries on species. 8.6 BUM - Blue marlin. In ICCAT (ed.), Report of the standing committee on research and statistics (SCRS) (Madrid, Spain – 4-8 October 2004). 67-73 pp. http://www.iccat.es/Documents/SCRS/SCRS_2004_ENG.pdf (2004年12月9日)
  8. ICCAT. 2004b. Supplemental recommendation by ICCAT concerning the rebuilding plan for blue marlin and white marlin. 04-09 BIL. (Entered in force: June 13 2005.) http://www.iccat.es/Documents/Recs/compendiopdf-e/2004-09-e.pdf (2005年12月8日)
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  13. Jones, C.D. and E.D. Prince. 1998. The cooperative tagging center mark recapture database for Istiophoridae (1954-1995), with an analysis of the West Atlantic ICCAT billfish tagging program. SCRS/1996/096. Col. Vol. Sci. Pap. ICCAT, 47: 311-321. http://www.iccat.es/Documents/CVSP/CV047_1998/CV047000311.pdf (2005年12月9日)
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