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22 メカジキ インド洋

Swordfish

Xiphias gladius

                                               
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最近一年間の動き

総漁獲量は最近年急減し2011年には2.0万トンまで落ち込み、ピーク年(2004年)のほぼ半分となった。この原因はソマリア沖海賊の活動範囲が拡大し、多くのはえ縄船が太平洋へ移動し漁獲努力量が急減したことによる。そのため、メカジキ資源は回復しつつある。


利用・用途

寿司、刺身に利用されるほか、切り身はステーキや煮付けとして消費される。


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図1. インド洋メカジキ国別漁獲量(1950〜2011年) (IOTCデータベース:2012年9月)


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図2. インド洋メカジキ漁法別漁獲量(1950〜2011年)(IOTCデータベース:2012年9月)


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図3. インド洋メカジキ海域別漁獲量(1950〜2011年)東インド洋(FAO海域51)及び西インド洋(FAO海域57)(IOTCデータベース:2011年8月)


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図4. インド洋メカジキの分布(左)と産卵・索餌域(右)(IFREMER 2006 改変)


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図5. まぐろはえ縄における漁獲量の平年分布(1989〜1993年) (Fontenau 2004)


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図6. メカジキCPUE標準化で使用される4海域(左)と各海域における標準化CPUEのトレンド(Nishida and Wang 2009)


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図7. インド洋メカジキ3系群構造仮説模式図。4海域のCPUE年変動傾向パタンの類似性(図6)
4海域のCPUE年変動傾向パターンの類似性(図6)、東西2箇所の産卵場(図4)及びモンスーンで変動する海流系変動(Poisson 2009)などの知見を基にした3系群構造仮説(Nishida and Wang 2009)


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図8. 南西インド洋域における日本のはえ縄メカジキCPUE急減(下)それ対する漁獲量(上)と漁獲努力量(中)(Nishida and Kitakado 2011a)


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図9. 標準化されたCPUE(左:南西インド洋、右:インド洋全域)(Nishida et al. 2011b)


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表1. CPUE標準化で使用した環境情報 (Nishida et al. 2011c)


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図10. 4種モデルによる南西インド洋における資源評価の結果(資源状況の変遷を示す神戸プロットI)
(X軸:資源量のMSYレベルに対する比、Y軸:F(漁獲死亡率)のMSYレベルに対する比
ASPIC(Nishida et al. 2011a)、Bayesian プロダクションモデル(Kitakado and Nishida 2011)、ASIA (Wang and Nishida 2011b)、SS3 (Kolody 2011)


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図11. 現状(2009年)の漁獲量(6,579 トン)及びその±20%、±40%の漁獲量が2019年まで続いた場合、資源量がMSYレベルを下まわる確率(ASPICの結果に基づく南西インド洋におけるリスク解析)(Nishida et al. 2011a)


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図12. 現状(2009年)の漁獲量(6,579 トン)及びその±20%、±40%の漁獲量が2019年まで続いた場合、FがMSYレベルを超える確率(ASPICの結果に基づく南西インド洋におけるリスク解析)(Nishida et al. 2011a)


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図13. 4種モデルによるインド洋全域における資源評価の結果(資源状況の変遷を示す神戸プロットI)
(X軸:資源量のMSYレベルに対する比、Y軸:F 漁獲死亡率のMSYレベルに対する比)
ASPIC(Nishida et al. 2011a)、Bayesianプロダクションモデル(Kitakado and Nishida 2011)、ASIA (Wang and Nishida 2011b) 、SS3 (Kolody 2011)


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図14. ASPIC神戸プロット
 I:2009年に関する信頼面(25、50、75、95%)の拡大図(Nishida et al. 2011a)


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図15. 現状(2009年)の漁獲量(21,453 トン)及びその±20%、±40%の漁獲量が2019年まで続いた場合、資源量がMSYレベルを下まわる確率(ASPICの結果に基づく全インド洋におけるリスク解析)(Nishida et al. 2011a)


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図16. 現状(2009年)の漁獲量(621,453トン)及びその±20%、±40%の漁獲量が2019年まで続いた場合、FがMSYレベルを超える確率(ASPICの結果に基づく全インド洋におけるリスク解析)(Nishida et al. 2011a)


表

附表1. インド洋メカジキ国別漁獲量(1950〜2011年)(トン)(IOTCデータベース:2012年9月)


表

付表2. インド洋メカジキ漁法別漁獲量(1950〜2011年)(トン)(IOTCデータベース:2012年9月)


表

付表3. インド洋メカジキ海域別漁獲量(1950〜2011年)(トン)西インド洋(FAO海域51)及び東インド洋(FAO海域57)(IOTCデータベース:2012年9月)


漁業の概要

本種は、日本及び台湾のまぐろ類を対象としたはえ縄の混獲として1950年代より漁獲されはじめ、1990年初めまでの約40年間に総漁獲量は徐々に増加し、1991年には8,000トンに達した。1990年初めからは、沿岸国(インドネシア・オーストラリア・レ・ユニオン・スリランカほか)によるまぐろ・メカジキ漁業及び公海域における本種を対象としたはえ縄(台湾・スペイン)の努力量が急増し、翌年1992年には、総漁獲量は1.8倍の1.4万トンと急増した(図1〜2、附表1〜2)。

総漁獲量は、その後も急増を続け1998年に3.6万トンに達し、第1回目のピークを記録した。これらの急増は、主に台湾のはえ縄の漁獲量増加によるものである。1999年から総漁獲量は減少し、2001年には3.0万トンまで落ち込んだ。2002年より、総漁獲量は再度増加し2004年に3.7万トンと史上最大の漁獲量(第2回目のピーク)を記録した。しかし、2006年から急減し2011年には2.0万トンまで落ち込み、1992年以来19年間で最低の漁獲量となった。急減の原因は、ソマリア沖海賊の活動海域が拡大し、多くのはえ縄船が太平洋へ移動し漁獲努力量が急減したためである(図2、附表2)。

台湾は長年メカジキの最大漁獲国で、1969〜2002年における総漁獲量の40〜60%を占めていた。しかし、その後、2003〜2004年30%台、2005〜2010年20%台へと急速に落ち込んだ。これは、スペイン・インドネシアの漁獲量が増加したためである。台湾のはえ縄は、特に南西インド洋や赤道辺りの西インド洋で操業を行っており、夜間に浅縄を使いメカジキを漁獲している。台湾漁船による漁獲は、その多くが欧州向けに、一部は日本に輸出されているが、自国内での消費はほとんどない。

1990年代に入りスペイン、インドネシア、レ・ユニオン、セーシェルなどがメカジキを対象にし、モノフィラメントの漁具と夜光棒(night stick)を使った夜間のはえ縄を展開した。この漁具は日本や台湾の伝統的なはえ縄よりはるかに高い漁獲高を達成した。しかし、最近年は、南西インド洋漁場における釣獲率の低下と魚価安により思うような実績を上げられないでいる。そのほか、1990年代に入ってスリランカ(流し網)による漁獲量も増加してきている。また、便宜置籍船(はえ縄)による漁獲は、1990年代は多かったが最近年急減している。2011年において漁獲量の多い国(900トン以上の国)は、台湾、スリランカ、スペイン、インドネシア、レ・ユニオンの順となっている(図1、附表1)。

本種に関する日本の漁獲量は、1958〜1998年の41年間において500〜2,800トンの間で変動しながら増加した(1997年がピーク)。しかし、1999年以降はまぐろ漁場がメカジキの少ない高緯度に移ったため、1,000トンレベルまで減少した。2007年には9年振りに2,000トン台となったが、2008年以降海賊問題のため2011年には528トンにまで急減した(図1〜2、附表1〜2)。本種は東インド洋(FAO海域57)で37%、西インド洋(FAO海域51)で平均63%漁獲されてきているが、2009〜2011年は海賊の影響で漁場が東部にシフトしたため東西比率が43:57へと変動した(図3、附表3)。


生物学的特徴

【分布・回遊】

本種は、南緯50度から北緯30度までの温帯・熱帯のほぼ全域にわたって生息している(図4)。マダガスカル周辺水域、ソマリア沖、オーストラリア南西部、インドネシア沖で良好な漁獲が認められていることから、これらの水域が分布の中心と考えられている(図5)。

分布域の西端は、現在IOTCとICCATの境界線である東経20度に設定されているが、漁獲量の分布を見ると東経10度付近まで切れ目がないこと(図5)、南アフリカ沿岸の暖水塊はインド洋側から東経15度近くまで張り出していることから、実際の資源の境界線はもっと西側にあるのではないかと指摘されている。

メカジキは広範囲において日周鉛直移動することがよく知られている。夜に表層から日中は水深1,000 mまで、深い散乱層と好きな餌である頭足動物の鉛直移動に追従した行動をとる。また、メカジキはまぐろ類とは異なり群れをつくる習性はないが、潮境や海山の辺りで集まる傾向がある。メカジキの餌生物は主にイカ類である。


【成長・成熟・産卵】

本種に関する具体的な生物学的特徴(年齢、成長、産卵など)の知見はほとんど得られていない。以下は、メカジキの一般的な生物学的知見及びそれに関連するインド洋における断片的知見である。メカジキは当歳魚の間に急速に成長し90 cm(15 kg)まで達するが、成熟するまでは時間がかかる。寿命は長く30年以上生きる場合もある。メカジキは、高齢で雌雄二形(性的サイズ二型)が見られ、雌は雄より大きく、早く成長し、遅く成熟する。南西インド洋メカジキ(50%成熟率)の場合、雌は6〜7歳で170 cm、雄は1〜3歳で120 cmという知見が得られている。メカジキは繁殖率が高く、1回の産卵で何百万もの卵を産卵する。インド洋においては、推定によると赤道付近の海域で3日に一度7か月間継続して産卵しているものと見られている。また、インド洋における漁業や調査情報によれば、ソマリア沖とインドネシア沖で春にまとまった数の成熟個体が発見されてきているので、この2水域内に産卵場があるのではないかと考えられている(図4)。


【系群構造】

1990年代に南西インド洋でメカジキを対象としたはえ縄が新たに起こったことにより、はえ縄の漁獲量が急増した。これにともなう資源量指数の減少が、南西部インド洋水域に限って発生しているので、メカジキ資源がインド洋である程度分離している可能性も指摘されている。しかしながら、DNA解析からは、系群構造の明らかな結論が得られなかったので(Nishida et al. 2006)、現在メカジキの系群構造は不明である。そのため、資源評価では単一系群と仮定して解析を行っている。

系群構造の研究に関し、フランス、レ・ユニオンのIFREMER(フランス海洋研究調査機関)が、遺伝子解析によるインド洋メカジキ系群構造解析事業(IOSSS)において、2009〜2011年から3年間EUから8万ユーロ(約1千万円)の予算で実施した。2006年のIOSSSのワークショップで合意したインド洋の10数か国が、遺伝子解析用のメカジキの筋肉を収集しIFREMERに提供され解析が終了した。解析の結果、インド洋のメカジキの系群構造は1つという結論となった。しかし、解析に使用した遺伝子に系群判別を可能にするマーカーが発見されなかった可能性があり、南西インド洋の地域的なCPUE減少は、別系群の可能性も否定できないので、今後引き続き標識放流を通して調査を継続するよう、2012年の科学委員会は勧告した。科学委員会は、以前と同様にインド洋全体と南西インド洋におけるメカジキの資源評価を引き続き実施するよう勧告した。

その他、2009年の第7回かじき作業部会において、4海域におけるCPUE年変動傾向パターンの類似性(図6)、東西2箇所の産卵場(図4)及びモンスーンで変動する海流変動(Poisson 2006)などの知見を基にし、3系群構造仮説が示唆された(図7)(Nishida and Wang 2009)。


【南西海域のCPUE急減】

第9回カジキ作業部会(2011年7月)において、日本から本件に関し6種類の調査(データ解析)を行った結果が報告された。すべての結果は急減が実際に起ったことを一貫して示しており、この急減はどうやら実際に起ったものと考えられるという結論に達した(Nishida and Kitakado 2011a)。ただし、急減の度合や開始年は、取り扱うCPUE(標準化、生データ、1度区画、5度区画など)で異なることもわかった。日かつ漁協(三浦課長)の情報によると、この頃は日本のミナミマグロ艦隊、台湾のはえ縄船増加で漁獲努力量が増加という情報を頂いた。確かに、この時期データでは漁獲量、漁獲努力量が急増している(図8)。これに対し、それらの増加が急減の原因となったかを種々の角度から解析を行った。しかし、結局CPUEの急減はどの結果にも見られ、やはりこれは現実的なものと関係者は認識した。以上より、この急減を含めてCPUEを標準化して、資源評価をすすめることになった。


資源評価

【CPUE標準化】
環境データ

NOAA(NCEP)が作成した時空間対応のGODASアシミュレーションデータがIOTCのメカジキ、メバチ、キハダCPUE標準化で使用されてきているが、そのvalidation が不明であった。これに対応するため、第9回カジキ作業部会(2011)に、日本から「理論」、「ケーススタディ」、「観測データとの比較」の3点からのvalidation に関する報告があった(Nishida et al. 2011c)。その結果、塩分は、次世代モデルによる推定値が利用できるまでは使用しないほうがいいことが判明した。水温、混合層深度及びシアー流データの精度は、一般には使用に耐えうるものであるが、時々誤差があることがわかった。そのため、使用に関してはなるべく今回実施したsea truth(in situ)によるvalidationを行ってから使用することが助言された。また、使用した場合、GLMなどである環境要因の有意差が強い場合、その理由(因果関係)を生態学(生息分布との関係)から説明できるようにすることも重要であることが認識された。なお、月齢、IOI(インド洋指数)、DMI(インド洋ダイポール指数)は、時間対応環境要因で使用に関しては全く問題ないことが再確認された。また、環境要因は時間遅れでノミナルCPUEに影響を与える可能性が高いので、今後CPUE標準化で時間遅れ効果を考慮することが勧告された。これに関し、第10回カジキ作業部会(2012)で(メカジキではないが)、マカジキ及びクロカジキのCPUE標準化で、時間遅れ効果を考慮し環境情報を使用する有効性が実証された(Nishida and Wang 2012)。しかし、より多くの事例研究が必要であることが指摘された。表1に、メカジキCPUE標準化に使用した環境データをリストした(Nishida et al. 2011c)。


緯度・経度効果

標準化では最近5年間は4海域を用いていたが(図6)、今回IATTCの外部科学者(Hinton)が、経度、緯度(5度)バンドの使用が効果的であるという助言があった。そこでそれを使用してGLMによる標準化を行った結果、緯度・経度バンドのほうが、データのあてはまりがよいことがわかった。そのため、日本・台湾のCPUEは緯度経度バンドを使用した標準化CPUEを資源評価で使用することとなった。この場合4海域は海域効果として使用するが、それぞれの海域における標準化で緯度・経度5度バンドを用い、全体の標準化CPUEは海域面積の重み付け平均で計算することになる。したがって、この方法では緯度・経度バンドかつ従来の4海域も利用できるメリットがある。また、後になってわかったことであるが、第9回カジキ作業部会で日本が2種の海域(4海域と緯度経度バンド)による標準化CPUEを用い資源評価(ASPIC)行った結果、緯度経度バンドを使ったほうが、モデル(ASPIC)とデータの当てはまりが2倍程度よくなることがわかった。これらのことより、カジキ作業部会で今後メカジキのCPUE標準化では緯度経度バンドを用い行うことが勧告された。また、2013年にCPUEに関するワークショップが開催されるが、緯度経度バンドの効果を他魚種にも適応するかどうか議論されるものと思われる(Nishida and Kitakado 2011b)。


標準化されたCPUE

上記の環境要因と海域要因を考慮し、GLMにより日本と台湾のはえ縄ノミナルCPUEが標準化された。図9左は南西海域における4種の標準化CPUE(日本、台湾、レ・ユニオンおよびスペイン)を示しているが、日本の最近年が急増しているのを除きすべて傾向が似たものとなっている。また、図9右は、インド洋全域の3種の標準化CPUE(日本、台湾、スペイン)を示している(Nishida et al. 2011b、Wang and Nishida 2011a)。


【資源評価】

南西インド洋において地域的な資源量の減少が見られるので、年次会合の勧告に従って南西海域とインド洋全域別々に資源評価を第9回カジキ作業部会(2011年7月)において実施した。資源評価は、ASPIC(非平衡プロダクションモデル)(日本)(Nishida et al. 2011a)、ASIA(年齢・性別プロダクションモデル)(台湾)(Wang and Nishida 2011b)、SS3(統合型プロダクションモデル)(Kolody 2011)及びBPM(Bayesianプロダクションモデル)(日本)(Kitakado and Nishida 2011)の4種の手法により行われた。


南西インド洋

資源評価の結果を神戸プロットI(stock trajectory)で示した(図10)。これによると、2009年の資源状況はSS3では緑、プロダクションモデル(ASPICとベイズ型プロダクションモデル)では、黄色、ASIA(年齢・性を考慮したモデル)は赤とそれぞれ異なった。SS3は300種以上のシナリオで解析を行った結果は点で中央値は+で示されている。SS3では使用するパラメータが非常に多いので、それらの点で相当広く散らばっているが、大部分は、黄色・赤色のゾーンにありその意味で、他の3種と同様な傾向を示していると言える。4種モデルによる資源評価の結果の範囲は、7.1万トン≦MSY≦9.4万トン(過去5年間:2006〜2010の平均漁獲量=7.1万トン)、0.64≦F2009/FMSY≦1.2及び0.73≦B2009/BMSY≦1.44となった。以上より南西インド洋の資源状況は、FはMSYレベル以下で問題ないが、資源量がMSYレベルを上回っており、2009年は軽度の乱獲状況といえる。また、図11、12には、それぞれ資源量とFに関する神戸II(リスク解析)の結果(ASPIC)を示した。このリスク解析は、2009年の漁獲量レベル(6,500トン)、±20%、±40%が10年間続いた場合、資源量とF(漁獲死亡率)がMSYレベルを超える確率を示すものである。今回は、2009年の漁獲量がかなり低いレベルにあるので、結果は楽観的なものとなった。具体的には、現在の漁獲量を20%増加した場合でも、資源量・FがMSYレベルを維持できなくなる確率は30%程度である。


インド洋全域

南西インド洋と同様な方法で資源評価を行った結果、3.0≦MSY≦3.4万トン(過去5年間の平均漁獲量=2.4万トン)、0.5≦F2009/FMSY≦0.63及び1.1≦B2009/BMSY≦1.6 となり、資源量はMSYレベルに近いがFはMSYレベルを超えておらず資源は特に懸念する状況にないことがわかった。神戸プロットI(stock trajectory)を図13、14に示した。図15、16には、南西インド洋と同様な神戸II(リスク解析)の結果(ASPIC)を示した。今回は、2009年の漁獲量がかなり低いレベルにあるので、結果は楽観的なものとなった。具体的には、現在の漁獲量を40%増加した場合でも、資源量・FがMSYレベルを維持できなくなる確率は10年後でも15%程度となった。


資源管理方策

第9回カジキ作業部会(2011)における資源評価の結果を受け、第14、15回科学委員会(2011、2012年)は、資源管理方策として以下のような勧告をした。インド洋全域では、今後の漁獲量は3万トン(MSYレベル)を超えるべきでない。今後現状の様な漁獲努力量が続けば特に資源管理方策は必要ないが、定期的に資源状況をモニターする必要がある。また、MSE(資源管理方策評価)を実施して効果的な管理を実施する必要がある。また、南西インド洋では、地域的な乱獲状況が見られなくなるまでは(BMSYが1以上になるまでは)、今後の漁獲量は6,678トン(2009年の漁獲量)を超えるべきでない。これとは別に、2008年のIOTCの年次会合ではメカジキ対象の操業船に関し、2008〜2010年の3年間、加盟国及び協力的非加盟国は、毎年の実操業隻数を2007年レベルで制限する、といった決議を採択した。その他、まき網船・はえ縄船ログブック最低情報収集の義務、統計データ提出の強化、オブザーバープログラム(2010年7月より)、漁獲努力量(漁船数)規制、公海における大規模流し網の禁止、海賊対策などの資源管理方策がある。

メカジキ(インド洋)の資源の現況(要約表)(*)


資源水準* 中位
資源動向* 微増
世界の漁獲量
(最近5年間)
1.96〜2.19万トン
平均:2.09トン(2007〜2011年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
530〜1,570トン
平均:1,190トン(2007〜2011年)
管理目標(**) MSY:3.0〜3.4万トン
資源の状態(**) Fratio:0.50〜0.63及びBratio:1.1〜1.6
漁獲圧・資源量共にMSYレベルには至っておらず良好な状況にある。ただし、南西インド洋では軽度の乱獲状況にある。
資源管理措置
(メカジキ)
インド洋全域では漁獲量は3万トン(MSY)以下。現在の漁獲圧が続けば緊急の管理方策はなし。南西インド洋は地域的に軽度の乱獲状況なので、今後の漁獲量は2009年レベル(6,678トン)以下にする。
漁業管理措置
(一般項目)
漁船数(24 m以上)増加禁止。まき網・はえ縄船ログブック最低情報収集の義務化。その他共通した管理措置に関しては、インド洋メバチを参照。
管理機関・関係機関 IOTC
(*) 2009年までの情報を用いた資源評価の結果に基づく。
(**) 4種資源評価の結果に基づく。

執筆者

国際水産資源研究所 業務推進課

西田 勤


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