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18 メバチ インド洋

Bigeye Tuna

Thunnus obesus

                                                           
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最近一年間の動き

総漁獲量はピークである1999年の15.0万トンから年々減少傾向にあり、2011年には8.7万トンとピーク時の半分余りとなった。この原因は、ソマリア沖の海賊の活動範囲が広がり多くのはえ縄船が太平洋へシフトしたためである。そのため、本種の資源状況は2010年時点で漁獲圧がMSYレベルの7〜8割、産卵親魚量がほぼMSYレベルかそれ以上となり、この状態が継続すれば資源管理方策は不要と科学委員会は指摘した。


利用・用途

主に刺身材料として用いられている。


図

図1. インド洋メバチ国別漁獲量(1950〜2011年)(IOTCデータベース:2012年9月)


表

表1. 資源評価で使用されているインド洋メバチの自然死亡係数(ICCATで使用されている数値を代用)(IOTC 2009)


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図2. インド洋メバチ漁法別漁獲量(1950〜2011年)(IOTCデータベース:2012年9月)


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表2. 体重・体長関係式(前出)と成長式に基づいたインド洋メバチの年齢-体長-体重の関係(IOTC 2009)


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図3. インド洋メバチ海域別漁獲量(1950〜2011年)(IOTCデータベース:2012年9月)
東インド洋(FAO海域57)、西インド洋(FAO海域51)


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図4. インド洋のメバチの漁場



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図5. はえ縄好漁場(x)と水温の平年図(Bo and Nishida 2003)


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図6. はえ縄好漁場(x)と塩分の平年図(Bo and Nishida 2003)


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図7. はえ縄好漁場(x)と溶存酸素量の平年図(Bo and Nishida 2003)


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図8. はえ縄好漁場(x)と水温躍層深度の平年図(Bo and Nishida 2003)


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図9. メバチの主要分布域(青)と想定回遊経路(毛利ら 1997を改変)(はえ縄漁業データより推定。数字は月を示す) (はえ縄漁業データより推定。数字は月を示す)


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図10. 日本、韓国、台湾まぐろはえ縄漁業の標準化されたメバチCPUE(IOTC 2012a)


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図11. インド洋メバチ資源評価(ASPM)結果に基づく資源状況変遷を示すStock trajectory(神戸プロット)(Nishida and Rademeyer 2011)


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図12. 資源評価(ASPM)結果に基づくリスク解析の結果(上図:F及び下図SSB:産卵親魚資源量)(2010年の漁獲量を増減させた場合、2011〜2020年にF・SSBがMSYレベルを維持できない確率の表示)(Nishida and Rademeyer 2011)


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附表1. インド洋メバチ漁法別漁獲量(1950〜2011年)(トン)(IOTCデータベース:2012年9月)


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附表2. インド洋メバチ国別漁獲量(1950〜2011年)(トン)(IOTCデータベース:2012年9月)


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附表3. インド洋メバチ海域別漁獲量(1950〜2011年)(トン)(IOTCデータベース:2012年9月)
西インド洋(FAO海域51)・東インド洋(FAO海域57)


漁業の概要

【漁獲量の変動】

総漁獲量は、操業開始以来増加し1988年に7万トン台になった。1992年から急増し、1993年に10万トン台、1999年に15万トン台とピークに達した。その後、2000年から減少傾向が続き2010年に8.1万トンと1993年以降最低レベルとなった(図1〜3、附表1〜3)。ピーク時までの漁獲量増加の主因は、台湾・インドネシア・日本のはえ縄及びスペインのまき網による漁獲量増加であり、近年の減少の主因はソマリア沖における海賊の影響である。

本種ははえ縄(2歳以上対象)とまき網(0〜1歳対象)で主に漁獲される(図2、附表1)。本資源のインド洋における漁獲は日本のはえ縄漁船により、1952年にジャワ島南部海域で始まった。その後、台湾・韓国のはえ縄漁船がそれぞれ1954・1965年から参入した(図1、附表2)。まき網の主要漁業国はスペイン・フランスである。

はえ縄漁業による漁獲量は、操業開始以来緩やかに増加し、1992年に6.0万トンに達したが、1993年から8.5万トンに急増し、1997年には11.3万トンとピークに達した。そして、1998年からはいったん減少したが再び増加し、2004年には11.4万トンと2度目のピークに達し、2010年には4.6万トンになり、1984年以降最低レベルとなった(図2、附表2)。

一方、まき網漁業は1984年より西部インド洋で本格的に始まり、漁獲量は徐々に増加し、1999年には4.1万トンとピークに達したが、その後2〜3万トンで変動しながら減少し、2011年には2.3万トンとなった。

漁獲対象年齢は、西インド洋のEUまき網漁業開始(1984年)以前は、はえ縄による漁獲が大半で主に2歳魚以上であったが、まき網による0〜1歳の漁獲尾数が急増し、最近では総漁獲尾数の7割近くを0〜1歳が占める。最近5年間の漁法別の漁獲量は、はえ縄63%、まき網26%、その他10%、また海域別ではFAO海域51(西インド洋)における漁獲量58%、FAO海域57(東インド洋)42%となっている(図3、附表3)。


【漁場】

本種は熱帯性まぐろで、まぐろ類の中では沖合性が強い。主な分布深度は150〜500 mと深い(Matsumoto et al. 2013)。幼魚は浮遊物の下に、しばしば単独種、あるいはキハダやカツオと群れている。分布可能水温はキハダよりやや低く、分布域は南北方向及び鉛直方向ともに、キハダよりやや広い。分布域は、南緯40度以北のインド洋全域である。主要漁場は、赤道をはさむ北緯15度〜南緯15度の産卵海域と、南半球中緯度(南緯25〜40度)の索餌海域である(図4)。

メバチはえ縄好漁場と海洋環境要因(水温、塩分、溶存酸素量、水温躍層の水深)とのオーバーレイ図を、それぞれ図5〜8に示した(Bo and Nishida 2003)。好漁場は平均釣獲率(1,000鈎当りの漁獲尾数)が8.5(75%tile値)以上の1度区画域とした。水温、塩分、溶存酸素量分布密度は、メバチ成魚の生息水深(75〜300 m)の鉛直平均値を示している。

数値解析の結果、好漁場を形成する最適範囲は、水温(14〜17℃)、塩分(34.5〜35.4 psu)、溶存酸素量(1.0〜3.6 ml/l)、水温躍層深度(80〜160 m)となった。溶存酸素量は、アラビア海、ベンガル湾で低く(0.2 ml/l 以下)、メバチの好漁場は形成されない。これらの最適範囲は、インド洋における、局所的な研究結果(Stéquert and Marsac 1989、毛利 1997ほか)と近似していた。


生物学的特徴

【回遊】

本種の詳しい回遊経路は不明であるが、季節や生活史により複雑に変化している(毛利 1997)。すなわち、産卵後は海流に乗りながら南半球の温帯域へ索餌移動し、成熟に達した後、再び熱帯域に戻るという大きな回遊が想定されている。はえ縄漁業データをもとに推察した成魚の回遊パターンを図9に示した。なお、2005年5月〜 2007年9月にかけてインド洋標識プログラム(RTTP-IO)により実施された大規模標識放流(大部分は西部インド洋で35,997尾のメバチを放流)によると、再捕の多くは放流場所付近であった(IOTC 2012b)。


【形態】

体高は高く太く、体長は体高の約3.3倍、頭と眼は大きく、眼径は吻長のおよそ0.5倍である。胸鰭は長くてリボン状を呈する。鰓耙数は27本前後、体の背部は青黒色、腹方は白い。まぐろ類では中型に属し、大きいもので体長2 m、体重150 kgになる。


【食性】

メバチの餌生物は他のまぐろ類と本質的に変わらない。主に魚類・甲殻類及びいか類などを食べており、餌に対する特別な選択性はない。しかし、メバチはやや深層を遊泳するため、表層性のモンガラカワハギ、マンボウ、シイラ、カツオなどの魚類は本種の胃内に少なく、ハダカエソ、ミズウオ、クロボウズキスなどの中深層性魚類が多い。生息域及び魚体の大きさで胃内容物として出現する餌生物が異なる。

Bashamakov et al.(1991)は、セーシェル、モーリシャス付近の海域で収集した胃内容物を調査した。その結果、23種類の生物が発見されたが、いか類、浮遊性かに類、はだかえそ類が大部分を占めていた。また、はだかいわし類が夜間に多く食べられることから考え、昼間より夜間に積極的な索餌をすると言われている。


【産卵】

産卵は稚魚の分布から推測して、表面水温24℃以上の熱帯・亜熱帯域でほぼ周年行われているが、ジャワ島の南が主要産卵域となっている(西川ほか 1985、Bo and Nishida 2003)。メバチは体長が120 cmを超えると大部分が成熟する。しかし、90 cm以下では生殖腺が微細であり、未熟状態にあるため、メバチでは生後満3年頃(100 cm)から一部が成熟開始すると考えられている。

本種の卵は分離浮性卵で油球が1個あり、受精卵の卵径は0.8〜1.2 mmである。1尾の抱卵数は体重50 kgの魚体で300万粒、100 kg前後の魚で400〜600万粒である。本種は多回産卵で、産卵期にはほぼ毎夜産卵すると推察されている。


【系群】

インド洋と太平洋のメバチでは、遺伝的な差異が報告されている。しかし、インド洋においては、分布、体長組成、成熟などの特性から、単一系群とみなされている(Kume et al. 1971ほか)。そのため、資源評価は通常単一系群を仮定して行われている。


【自然死亡係数:M】

インド洋では、Mを直接推定した研究はないが、今までの資源評価では、表1に示したような、ICCATで使用されている値を代用している(IOTC 2009)。標識データを用いたMの直接推定の試みも行われている。


【体重・体長関係】

以下の体重(W : kg)・体長(尾叉長)(L : cm)関係式ないし代用式が、 これまでの資源評価で使用されてきた。
    尾叉長(80 cm以下)(インド洋)
         W=(2.74×10-5)L2.908     Poreeyanond (1994)
    尾叉長(80 cm以上)(太平洋)
         W=(3.661×10-5 ) L2.90182      Nakamura and Uchiyama (1966)


【成長式】

下記3 stanzaの成長式(Eveson 2008)が、資源評価に使用されている。
         L(t) =160*(1-e(-K2*(t-t0))(((1+e(-b*((t-t0)-a)))/(1+e(a*b)))^((K1-K2)/b)))

ただし、K1=0.4207、K2=0.071、a=5.6033、b=2.999、t0=0.0811

また、2012年の第14回熱帯まぐろ作業部会では耳石日輪及び標識データに基づく新たな成長式も報告された。


【年齢−体長−体重 関係】

上記体重‐体長関係式と成長式より、表2のような値が計算され、資源評価で使用されている(IOTC 2009)。


資源状態

2011年の第13回熱帯まぐろ作業部会ではSS3及びASPM(Age Structured Production Model)(Rademeyer and Nishida 2011) により資源評価が行われた。ASPMによる解析の概要は次のとおりである。標準化CPUEは日本、韓国、台湾から3種が報告されたが(図10:2012年にアップデート済み)、韓国の標準化CPUEは資源評価に間に合わず使用されなかった。また、台湾の標準化CPUEは、漁獲量と漁獲努力量の関係がほとんどないので使用されなかった。したがって、日本の標準化CPUEのみが使用された。解析結果は、MSY=10.3万トン、F2010/FMSY=0.67(0.48〜0.86)及びSSB2010/SSBMSY=1.00(0.77〜1.24)であった。2010年の漁獲量は7.1万トンで過去5年間の平均漁獲量は10.5万トンなので、漁獲はMSYレベルを相当下回っており、資源量はMSYレベルあたりで、乱獲、過剰漁獲状況でないとされた。

また、新たに開発した神戸プロットソフトウエア(Nishida et al. 2011)により、資源推移(Kobe plot I)及びリスク解析(Kobe II risk matrix)結果をそれぞれ図11、12に示した。リスク解析結果、漁獲圧、産卵親魚資源量ともに、現状の漁獲量を20%増加してもMSYレベルを割り込むリスクは20%以下であることがわかった。


資源管理方策

第13回熱帯まぐろ作業部会における資源評価結果及びその後の資源の指標を受け、第15回科学委員会(2012年12月)は、最近の漁獲努力量は減少しているのでこの状態が続けば、特に資源管理方策の必要はないが、定期的に資源状況をモニターする必要があると勧告した。なお、第15回科学委員会では、2012年には新たな資源評価は実施されなかったものの、CPUE等の指標より、2011年から資源の状態はあまり変わっていないとされた。その他、2005年の第9回年次会合で、台湾への漁獲量割当3.5万トンが採択された。関連した管理方策には、漁船数増加禁止(24 m以上)、まき網・はえ縄漁業ログブック最低情報収集の義務及びオブザーバープログラム(2010年7月より)がある。

また、メバチ、キハダともに、以前は長年にわたり「まき網FADs操業が資源に悪影響を及ぼす可能性がある」といった勧告があった。しかし、その裏付けとなる(2種漁具に対する)YPR解析について改訂されていないので、第15回科学委員会(2012年)は今後改訂することを勧告し、再討議することになった。

その他の漁業管理方策として、報告義務のある漁業データ提出強化、オブザーバープログラム(2010年7月より)、漁獲努力量(漁船数)規制、公海における大規模流し網漁業の禁止、海賊対策などがある。


メバチ(インド洋)の資源の現況(要約表)(*)

資源水準 中位
資源動向 微増
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2007〜2011年)
8.1〜12.3万トン
平均:10.2万トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2007〜2011年)
0.4〜1.9万トン
平均:1.1万トン
管理目標* MSY:10.3万トン
(8.7〜11.9万トン) (**)
(2011年:8.7万トン)
資源の状態 SSB2010/SSBMSY:1.00
(0.77〜1.24)(**)
F2008/FMSY:0.67
(0.48〜0.86)(**)
漁獲圧はMSYレベルの約7割で資源量はほぼMSYレベル (過剰漁獲でなく乱獲状況でもない)
資源管理措置
(メバチ)
現在(2010)の漁獲努力量レベルなら管理措置は特に必要でない。
漁業管理措置
(共通項目)
報告義務のある漁業データ提出強化、オブザーバープログラム(2010年7月より)、漁獲努力量(漁船数)規制、公海における大規模流し網漁業の禁止、海賊対策など
管理機関・関係機関 IOTC

(*)2010年までのデータを使用した資源評価の結果に基づく
(**) SS3(2009)とASPM(2010)で得られた結果の点推定幅

執筆者

かつお・まぐろユニット
かつおサブユニット
国際水産資源研究所 かつお・まぐろ資源部 かつおグループ

松本 隆之

国際水産資源研究所 業務推進課

西田 勤


参考文献

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