--- 要約版 ---

69 ナンキョクオキアミ 南極海

Antarctic Krill

Euphausia superba

                                                       

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図5

ナンキョクオキアミ(写真提供:朝日新聞社)


図

ナンキョクオキアミの漁場・主要漁場


図9

ナンキョクオキアミの成長率と脱皮期間


図11

CCAMLRの統計海区CCAMLR


図

海区別のナンキョクオキアミ漁獲量の推移(1970-2007) (データ:CCAMLR 2007a)



ナンキョクオキアミ(南極海)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
10.6〜12.9万トン
平均:12.4万トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
2.1〜3.9万トン
平均:2.8万トン


管理・関係機関
南極海洋生物資源保存委員会 (CCAMLR)

最近一年間の動き
2007/08漁期と2008/09漁期のナンキョクオキアミ総漁獲量は、世界合計で156,521トンと123,948トン、日本単独では38,803トンと21,021トンであった。2008/09漁期はサウスジョージア水域(FAO統計海区48.3小海区)に漁場が全く形成されなかったため、前漁期に比べて漁獲量は減少したが、過去10年間の傾向としては安定している。漁獲が局所的に集中し生態系へ悪影響を及ぼすことを防ぐため、48海区(スコシア海)全体に対して62万トンに設定されていた漁獲量の小規模管理措置への移行基準(トリガーレベル)を小海区ごとに分割することが、2009年の年次会合において決まった。各小海区への割当量は48.1小海区15.5万トン、48.2および48.3小海区27.9万トン、48.4小海区9.3万トンだが、全体の合計は62万トンを超えることはできない。

生物学的特性
  • 寿命:5〜7歳
  • 成熟開始年齢:雌2歳、雄3歳
  • 産卵期・産卵場:12〜3月、南極海の陸棚、陸棚斜面水域
  • 索餌期・索餌場:主に夏季・南極大陸寄りの南極表層水域
  • 食性:夏)植物プランクトン 冬)動物プランクトン・アイスアルジー・デトリタス
  • 捕食者:海産哺乳類、海鳥類、魚類、いか類等

利用・用途
養殖・漁業用の餌料、釣餌、食品等

漁業の特徴
世界のナンキョクオキアミ漁業は、1972/73漁期に旧ソ連が7,400トンを漁獲したことに始まる。その後日本、ポーランド等が参入し、1976/77漁期になると漁獲量は10万トンを超え、1978/79年には30万トン強、1981/82年に最大漁獲量50万トン強に達した。しかし、商品化が停滞し、漁獲対象が魚類へ移ったことから、その後数年間で漁獲量は大幅に減少した。1992/93漁期以降現在までの年間漁獲量は10万トン前後で推移している。日本以外の主要な漁業国は、ノルウェー、韓国、ロシア、ポーランド、ウクライナである。このうち2006年に新規参入したノルウェーは、コッドエンドにフィッシュポンプを取り付けて連続トロール操業が可能な大型船を新造するなどして、急速に漁獲量を拡大している。近年は48海区(スコシア海)のサウスシェットランド諸島水域(48.1小海区)、サウスオークニー諸島水域(48.2小海区)及びサウスジョージア水域(48.3小海区)が実質的な漁場となっている。

漁業資源の動向
48海区における過去10年間のナンキョクオキアミ漁獲量は、約12万トンで安定している。日本の近年の漁獲量は約2万〜4万トンである。
2008/09漁期の事前申請量が62万トンを超えたことから、市場のニーズや漁獲能力が高まっているとして予防的措置の導入が急がれていた。しかし実際には申請だけで漁獲を行わない国や船も多く、漁獲実績量は横ばい状態にある。2009/10漁期の申請量も2006/07漁期のレベルまで低下したが、中国が新規参入の意志を表明している。

資源状態
1981年に行われたFIBEX国際共同バイオマス調査では、48海区の資源量は当初1,510万トン、修正値3,540万トンと推定された。2000年に日本、英国、米国、ロシアが行ったCCAMLR-2000一斉調査では48海区のナンキョクオキアミ資源量は当初4,429万トン(変動係数11.4%)、修正値3,729万トン(変動係数20.86%)と推定されている。48海区以外で漁獲が行われている場所は、インド洋の58海区であるが、48海区以外では適切な資源量推定はなされていない。主要漁場である48海区における近年の世界のナンキョクオキアミ漁獲量10数万トンは、漁獲制限量の0.02%未満に過ぎず、資源水準は高位、資源動向は横ばいと判断される。しかし、地球温暖化傾向が進んでおり資源が予想外の急激な変動を示す可能性もある。

管理方策
CCAMLRは条約水域を海区に区分し、海区ごとに保存管理措置を決定する。現在は48海区と58海区に予防的漁獲制限量が設定されているが、国別に漁獲枠が設けられることはない。ナンキョクオキアミ資源自体は高いレベルにあるが、漁獲の局所的集中によりペンギン、オットセイ等の捕食者に悪影響が及ぶ恐ことを懸念し、小規模管理ユニット単位の漁獲量制限の導入を検討中である。48海区全体に対して62万トンに設定されていた小規模管理措置への移行基準(トリガーレベル)を小海区ごとに分割することが2009年の年次会合において決まった。各小海区への割当量は48.1小海区15.5万トン、48.2および48.3小海区27.9万トン、48.4小海区9.3万トンだが、全体の合計は62万トンを超えることはできない。当面これが実質的な許容漁獲量になると考えられる。

資源評価まとめ
  • 音響調査に基づき主漁場である48海区の総資源量は3,729万トンと推定され、資源は高水準にある。漁獲の集中による局所的枯渇がペンギンやオットセイなどの捕食者に及ぼす影響や地球温暖化による影響が懸念されている。

資源管理方策まとめ
  • CCAMLR保存管理措置による海区毎の予防的漁獲制限量は48海区347万トン、58.4.1海区44万トン、および58.4.2海区264.5万トン。
  • 2009年に導入された48海区の小海区別トリガーレベルは48.1小海区15.5万トン、48.2および48.3小海区27.9万トン、48.4小海区9.3万トン(全体の合計は62万トン)で、当面これが実質的な許容漁獲量となる。