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18 メバチ インド洋

Bigeye Tuna

Thunnus obesus

                                                            PIC
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図

図1. インド洋メバチ国別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース:2009年10月)


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表1. 2009年資源評価で使用されたインド洋メバチ自然死亡率(ICCATの代用値およびその感度解析用ベクトル値)


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図2. インド洋メバチ漁法別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース:2009年10月)


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表2. 体重・体長関係式(前出)と成長式(IOTC 2009)に基づいたインド洋メバチの年齢-体長-体重の関係

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図3. インド洋メバチ海域別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース:2009年10月) 東インド洋(FAO海域57)、西インド洋(FAO海域51)


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表3. メバチ5種資源評価結果(まとめ)(TB:total biomass, SSB:spawning stock biomass)


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図4. インド洋のメバチの漁場



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図5. はえなわ好漁場(x)と水温の平年図(Bo and Nishida 2003)


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図6. はえなわ好漁場(x)と塩分の平年図(Bo and Nishida 2003)


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図7. はえなわ好漁場(x)と溶存酸素量の平年図(Bo and Nishida 2003)


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図8. はえなわ好漁場(x)と水温躍層深度の平年図(Bo and Nishida 2003)


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図9. メバチの主要分布域(青)と想定回遊経路(毛利1998b) (はえなわ漁業データより推定。数字は月を示す)


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図10. ノミナル及び標準化された日本はえ縄メバチCPUE (5度区画: 1979-2008、1度区画:1980-2008)


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図11.  インド洋メバチ5種資源評価結果のstock trajectory(Kobe plot)による表示


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附表1. インド洋メバチ国別漁獲量(1950-2008)(トン)(IOTCデータベース:2009年10月)


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附表2. インド洋メバチ漁法別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース:2009年10月)


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附表3. インド洋メバチ海域別漁獲量(1950-2008)(トン)(IOTCデータベース:2009年10月) 東インド洋(FAO海域57), 西インド洋(FAO海域51)


最近一年間の動き

総漁獲量は1999年のピーク(15.1万トン)から年々減少傾向にあるが、2008年は10.7万トンと1994年以降において最低レベルとなった。2009年の熱帯まぐろ作業部会における資源評価の結果、メバチ資源はほぼMSYに対応するレベルにあることがわかった。


利用・用途

主に刺身材料として用いられている。


漁業の概要

【漁獲量の変動】

本種は、はえ縄漁業(2歳以上対象)とまき網漁業(0〜1歳対象)で主に漁獲されてきている(図1、附表1)

本資源のインド洋における漁獲は、1952年ジャワ島南部海域で日本はえ縄漁船により始まった。その後、台湾・韓国・インドネシアのはえ縄漁船がそれぞれ1954・1965・1973年から参入した。

はえ縄による漁獲量は、操業開始以来緩やかに増加し、1978年に5.1万トンに達した。その後は1992年までは、3.3万〜6.1万トンの間で増減したが、翌年から急増し、1997年には11.3万トン(ピーク)に達した。しかし、1998年からは減少傾向にあり、2008年には7.5万トンになり、1993年以降で最低レベルとなった(図2, 附表2)。

一方、まき網漁業は1984年より西部インド洋で本格的に始まり、漁獲量は徐々に増加し、1999年には4.1万トン(ピーク)に達したが、その後徐々に減少し2004年には2.3万トンとなった。2005年より再度増加し2008年には3.0万トンになった。まき網の主要漁業国はスペイン・フランスである。総漁獲量は、1986年までは6万トン未満であったが徐々に増加し、1993年に10万トン台、1999年に15万トン台(ピーク)に達した。その後、2000年から減少傾向が続き2008年に10.7万トンと1994年以降では最低レベルとなった(図2, 附表2)。

1999年(ピーク時)までの漁獲量増加の主因は、台湾・インドネシア・日本のはえ縄およびスペインのまき網による漁獲増加であった。

まき網漁業の開始前(1984年以前)は、大半の漁獲は2歳魚以上であったが、まき網漁業の開始後に0〜1歳の漁獲尾数が急増し、最近年では総漁獲尾数の7割近くを0〜1歳が占めている。以下最近5年の漁獲量の特徴を示す。漁法別総漁獲量は、はえ縄が約8割、まき網が約2割、また海域別ではFAO51海域(西インド洋)における漁獲量は7割以上、57海域(東インド洋)では3割未満となっている(図3, 附表3)。


【漁場】

本種は熱帯性まぐろで、まぐろ類の中ではもっとも沖合性が強い。また、主な分布深度が60〜280 mと深く、時には水深400 mまで分布する。幼魚は浮遊物の下の海面に、しばしば単独種のグループ、あるいはキハダやカツオとの混合集団として群れをなす。適水温はキハダよりやや低いので、分布域は南北方向および鉛直方向ともに、キハダよりやや広い。分布域は、南緯40度以北のインド洋全域である。主要漁場は、赤道をはさむ北緯15度から南緯15度の産卵海域と、南半球中緯度(南緯25〜40度)の索餌海域である(図4)。

メバチはえ縄好漁場と海洋環境要因(水温、塩分、溶存酸素量、水温躍層の水深)分布とのオーバーレイ図を、それぞれ図5〜図8に示した(Bo and Nishida 2003)。これらの図は、23年間(1975〜1997)の平年図である。好漁場は1度区画の平均釣獲率(1,000鈎当りの漁獲尾数)が8.5以上の海域である。水温、塩分、溶存酸素量の分布は、メバチ成魚の生息水深に対応した75〜300 mにおける鉛直平均値を示している。

数値解析の結果、好漁場を形成する最適範囲は、水温(14〜17℃)、塩分(34.5〜35.4 psu)、溶存酸素量(1.0〜3.6 ml/l)、水温躍層深度(80〜160 m)となった。溶存酸素量は、アラビア海、ベンガル湾で低く(0.2 ml/l 以下)、メバチの好漁場は形成されない。これらの最適範囲は、インド洋における、局所的な研究結果(St?quert and Marsac 1989、毛利 1998aほか)と近似していた。


生物学的特徴

【回遊】

本種の詳しい回遊経路は不明であるが、季節や生活史により複雑に変化している(毛利 1998b)。すなわち、産卵後は海流に乗りながら南半球の温帯域へ索餌移動し、成熟に達した後、再び熱帯域に戻るという大きな回遊が想定されている。はえ縄漁業データをもとに推察した成魚の回遊パターンを図9に示した。


【形態】

体は高くて太く、体長は体高の3.3倍、頭と眼は大きく、眼径は吻長のおよそ0.5倍。胸鰭は長くてリボン状を呈する。鰓耙数は27本前後、体の背部は青黒色、腹方は白い。まぐろ類では中型に属し、大きいもので体長2 m、体重150 kgになる。


【食性】

メバチの餌生物は他のまぐろ類と本質的に変わらない。おもに魚類・甲殻類およびいか類などを食べており、餌に対する特別な選択性はないが、メバチはやや深層を遊泳するため、表層性のモンガラカワハギ、マンボウ、シイラ、カツオなどの魚類は本種の胃内に少なく、ハダカエソ、ミズウオ、クロボウズキスなどの深海性魚類が多い。生息域および魚体の大きさで胃内容物として出現する餌生物が異なる。

Bashamakov et al. (1991)は、セーシェル、モーリシャス付近の海域で収集した胃内容物を調査した。その結果、23種類の生物が発見されたが、いか類、浮遊性かに類、はだかえそ類が大部分を占めていた。

また、はだかいわし類が夜間に多く食べられることから考え、昼間より夜間に積極的な索餌をすると言われている。


【産卵】

産卵は稚魚の分布から推測して、表面水温24℃以上の熱帯・亜熱帯域でほぼ周年行われているが、ジャワ島の南が主要産卵域となっている(西川ほか 1985)。メバチは体長が120 cmを越えると大部分が成熟する。しかし、90 cm以下では生殖腺が繊細であり、未熟状態にあるため、メバチでは生後満3年頃(100 cm)から一部が成熟開始すると考えられている。

本種の卵は分離浮性卵で油球が一個あり、受精卵の卵径は0.8〜1.2 mmである。1尾の抱卵数は体重50 kgの魚体で300万粒、100 kg前後の魚で400〜600万粒である。本種は多回産卵で、産卵期にはほぼ毎夜産卵すると推察されている。


【系群】

インド洋・太平洋のメバチは、遺伝的な差異が報告されている。しかし、インド洋では、分布、体長組成、成熟などの特性から、単一系群とみなされている(Kume et al. 1971ほか)。そのため、資源評価は、通常単一系群を仮定して行われている。

【自然死亡係数:M】

インド洋では、Mを直接推定した研究はないが、2009年の資源評価では、表1に示したような、ICCATで使用されている値を代用している。

【体重・体長関係】

以下の体重(W: kg)・体長(尾叉長)(L: cm)関係式ないし代用式が、 最近の資源評価で使用されてきた。
    尾叉長(80 cm以下)(インド洋)
         W = (2.74×10-5)L2.908 Poreeyanond (1994)
    尾叉長(80 cm以上)(太平洋)
         W = (3.661×10-5 ) L2.90182 Nakamura and Uchiyama (1966)

【成長式】

下記3 stanzaの成長式(Paige, 2008)が、2009年の資源評価に使用された 。
         Lt =160(1-e(-K2*(t-t0))(((1+e(-b*((t-t0)-a)))/(1+e(a*b)))^((K1-K2)/b)))
但し、K1=0.4207;、K2=0.071、a=5.6033、b=2.999、t0=0.0811

【体重・年齢関係】

上記体重-体長関係式と成長式より、表2のような値が計算され、2009年の資源評価で使用された(IOTC, 2009)。 

資源状態

2009年の第11回熱帯まぐろ作業部会では、5種の手法により資源評価が行われた(1959-2008年のデータを主に使用)。3手法(SS3・ASPM・ASPIC)は日本が、2手法(PRODFIT・PROCEAN)はフランスが行った。

【CPUE】

資源評価でキーとなるはえ縄CPUE標準化が日本・台湾より報告された。日本は、5度区画データによる年単位、そして四半期単位の標準化CPUEが推定された(Okamoto et al, 2009)(図10)。その中で1976年および1977年のCPUEジャンプの問題は残ったままであり、枝縄数の増加などが原因と考えられるが(1975年までは一律5本と仮定している)、対処法など明確な結論は得られなかった。そのほか日本は、より細かいスケール(1度区画)にて7種類の環境要因を組み込んで標準化を行っており、計算開始年が1980年からと期間は短くなっているが、標準化されたCPUEの年トレンドは上記とは異なっている(Satoh et al, 2009)(図10)。

台湾のはえ縄CPUEの標準化は、ベースケースでは1979年から2008年までの30年間、漁具情報の代わりに漁獲物組成が用いられている。また、オプションとして枝縄数データが利用可能な1995年からの2008年までの計算も行っており、両者では傾向が異なっている(Change and Yeh, 2009)。

なお、日本と台湾の標準化されたはえ縄CPUEの年トレンドも前回に引き続いて異なっており、更なる検討が必要とされた。また、幾つかの海区で、標準化CPUEとnominal CPUEの大きなギャップも認められ、今後更なる検討を進めていくことが勧告された。資源評価にはこれら3種類のはえ縄CPUE(日本5度区画, 日本1度区画, 台湾1度区画)が選択され、資源量指数として利用された(IOTC, 2009)。


【資源評価】

会議中に合意した仮定を用いて、3種類のプロダクションモデル(ASPIC, PROCEAN and PRODEFIT)(Chassot et al, 2009)、ASPM(年齢構成を取り入れたプロダクションモデル)(Nishida and Rademeyer, 2009)および統合モデルの一種であるSS3(stock synthesis III)(Shono et al, 2009)により、資源評価が行われた。資源評価の結果をまとめた要約を、表2に示した。

資源評価全体を通じての注意点・前回(2006年)との相違点は、条件設定においてflat-topな選択率をはえ縄(およびまき網の一部:素群れ操業)でデフォルトとして用いたこと、そして若齢部分の成長が早い3段階式の成長曲線をベースに使用したことである。

結果について、MSYの推定は全てのモデルで10万トン前後もしくは10万トン台前半の値を示し、Fratio(=F2008/Fmsy)およびBratio(=TB2008/TBmsy, TB:total biomass)(SSBratio=SSB2008/SSBmsy)がそれぞれ0.65-0.99、0.91-1.30と推定されたことから、多少の余裕はある可能性も存在するが、ほぼ資源はMSYの近くにあるといえる。各モデルのKOBE-plot(stock trajectory)(上記のFratioとSSBratioの推移を2次元で表示した図)を、図11に示した(IOTC, 2009a)。


資源管理方策

今後の研究としては、若齢魚の漁獲係数について、特にFADsの影響などについて詳しく調べていくことが勧告された。また、魚種のターゲティングや環境要因を組み込んだ、解像度を細かくしたCPUE解析により、資源の増減傾向を詳しく調べていく必要がある、との認識が示された。

現在の資源状態について、2008年のSSBはSSBmsyに近いレベルにあると考えられること、MSYの推定値は1997-1999年レベルの漁獲量を超えていること、Fratio(=F2008/Fmsy)やSSBratio(=SSB2008/SSBmsy)、Bratio(=TB2008 /TBmsy, TB: total biomass)などがいずれも1に近い推定値を示していることなどを考慮して、


  1. MSYレベルを超える漁獲を行わないようにすること(10万トン以下に抑える)。
  2. 2006年の努力量を上回らないようにすること。

の2点が、2009年12月に行われる科学委員会に勧告されることになった。尚、メバチ、キハダともに、以前は、長年にわたり「まき網FADS操業が資源に悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要といった勧告」があった。しかし、その裏付けとなる(2種漁具に対する)YPR解析について、最近年の情報を使った計算がなされていないので、来年実施することになり、その問題を再評価することになった。2009年の科学委員会では、熱帯まぐろ作業部会の勧告が1点(2006年の努力量を上回らないようにすること)を除き、採択された。努力量規制を含めなかった理由は、2009年に行われた第1回漁獲能力作業部会での議論を踏まえ、現状では努力量に相当する漁船数などを特定するのは困難なためである。

漁業管理方策

2002年までの年次会議では、沿岸途上国(イラン、タイ、マレーシア、スリランカほか)が、最近キハダ・メバチのはえ縄・まき網漁業の開発を開始したばかりで、規制に強く反対していること、およびEU(業界)がまき網の規制に慎重なことなどから、いずれの点に関しても、コンセンサスが得られていないため、管理方策は無い状況となっていた。

しかし、このような背景を考慮し、管理方策案としては若干緩めの決議・勧告案が、2003年の第8回本会議において、はじめて合意されるに至った。これは、IOTCの前身であるIPTP設立(1980)以来、実に25年目にしてはじめてのインド洋まぐろ類に関する漁業管理ということになった。しかし、科学委員会が4年間勧告してきた、まき網漁業のモラトリアムに関しては、EUの強い反対で否決された。その後、第9回および10回年次会議 (2004および2005) では、引き続き途上国の反対によりメバチなどのTACは採択されなかったが、漁獲努力量規制案は徐々に決議として採択されつつある。


以下に、最近6回(第8〜13回)の年次会議において採択された決議・勧告項目で重要なものをリストした(IOTC, 2009b)。


第8回年次会議(2003)
(1) 漁獲努力量の凍結
  1. 全長24 m以上の漁船の総隻数等の制限:全長24 m以上の漁船に関し、IOTCのポジティブリストへの登録隻数が50隻を超えている加盟国(及び協力的非加盟国)は、2004年以降も、ポジティブリストへの登録隻数がこの隻数を超えてはならない。また、ポジティブリスト登録漁船の合計総トン数も現状の合計総トン数を超えてはならない(対象国:中国、EC、日本、韓国、フィリピン及びインドネシア)。
  2. 上記以外の国は、まぐろ漁業発展計画を作成し2004年以降、IOTCに提出する。

(2) 貿易制限措置

上記保存管理措置の導入に伴い、当該措置を遵守しない国に対する貿易制裁措置を発動するための手続きを定めた勧告が採択された。

(3) 違法、無報告、無規制(IUU)漁業対策

協力的非加盟国としての資格審査条件を強化し、過去の漁獲実績等各種統計の提出、これまでに実施した科学調査等のデータの提出を義務づけ、IOTCとして厳格な資格審査を可能とする決議が採択された。これはポジティブリストにIUU船が入り込むのを防ぐことを目的としたもの。


第9回年次会議(2005)
(1) ポジティブリスト決議改正

24m以下の小型便宜置籍漁船が近年増加傾向にあることへの懸念を背景に、旗国の排他的経済水域外で操業する24m以下の小型船もポジティブリストの対象とすることとなった。

(2) 混獲対策

近年、漁業による混獲を問題視する環境NGO等の積極的な動きを背景に、IOTCとして当該問題に適切に対応すべく以下の対策が採択された。

  1. サメ決議---魚体の完全利用を求める保存決議が採択された。また、2006年に主要魚種の資源評価 を行い、必要な措置が検討されることとなった。
  2. 海鳥勧告---各国のFAO海鳥混獲削減行動計画の導入を促進するとともに、混獲データの収集及び 漁業が与える影響の評価を行うことが勧告された。
  3. 海亀勧告---FAO海亀混獲削減ガイドラインに基づく対策の導入及び混獲データの収集を行うこと が勧告された

第10回年次会議(2006)
(1) 漁獲努力量
  1. 2007年から2009年の3年間、加盟国及び協力的非加盟国は、毎年の実操業隻数を2006年レベルで制限する。(日本等については2000年以降の最大実績まで増隻が認められる。)実操業隻数については、はえ縄・まき網等、漁業種類間で漁獲努力量の増加につながらない範囲内で隻数を調整・変更することができる。
  2. 漁船を他国から受け入れる場合には、いずれかの地域機関のポジティブリストに掲載されており、かついずれかの地域機関のIUUリストにも掲載されていない漁船のみ認められる。

(2) 転載管理について

2008年7月1日より、オブザーバーが乗船しているIOTC登録済みの運搬船に転載する場合のみ、公海の洋上転載を認める措置が採択された(昨年ICCATで採択された措置と同様のもの)。

(3) VMSの搭載について

IOTCに登録されており、公海で操業する全ての15メートル以上の船について、VMS搭載の義務付けを2007年7月1日から実施することとなった。

(4) トリポール

海鳥混獲を抑制するため、来年の年次会合においてデーター収集方法、報告、緩和措置の採択を検討するとともに、現在CCSBTで実施している措置と同様、南緯30度以南においてトリポールの使用を義務付けることとなった。


第11回年次会議(2007)
(1) FAOの枠組みからの離脱に関する条約改正

中国、インド、パキスタン、モーリシャス等がFAOとの関係改善及び必要な手続きの遵守を 求めたため、今次会合での条約改正案の採択は見送られることとなった。IOTCはFAOに対し、次回年次会合の4ヶ月前までに条約改正案をFAO加盟国へ配布することを求めた。

(2) 漁獲記録の提出様式

公海及び排他的経済水域(EEZ)で操業するまき網漁船(自国EEZ内のみで操業する24m以下のまき網漁船は除く)の漁獲記録の提出様式について合意した。はえ縄については、次回年次会合で同様の決定を行う予定。

(3) 漁獲能力の管理導入(議論中)

昨年採択された熱帯マグロ類(メバチ、キハダ)対象の操業船の隻数制限と同様に、メカジキ 及びビンナガ対象の操業船についても、2008年から2010年の3年間、加盟国及び協力的非加盟国(以下、加盟国等)は、毎年の実操業隻数を2007年レベルで制限することになった。

(4)加盟国等の保存管理措置の遵守

加盟国等は、自国民がIUU(違法、無報告、無規制)漁業に関与しないよう、必要な措置をとることに合意した。

(5) 実操業船の登録

インド洋で操業する漁船のIOTCへの登録について、昨年決定された熱帯マグロ類・メカジキ対象漁船に加え、ビンナガ対象漁船についても登録することとなった。

(6) IMO番号の登録

IOTCへ登録する漁船の登録事項について、IMO番号(国際海事機関が各船に割振ける登録番号)が追加された。

第12回年次会議(2008)
(1) はえ縄の海鳥混獲回避

南緯30度以南で操業する全てのはえ縄漁船について、トリ・ポール(5m・100m)と残渣の適切な処理など、選択肢の中から2つ回避措置を義務付けること、また、その他の海域についても、最低1つの措置を推奨。

(2) 洋上転載の管理

現行の洋上転載規定を存続させるために、運搬船オブザーバーの役割を強化する。運航に関する情報、転載する漁船の漁具、VMS、転載量と積み残し量に関する情報の収集についてもオブザーバーの業務内容に含める。

(3) 漁獲記録の提出様式(はえ縄ログブックtemplate )

公海及び排他的経済水域(EEZ)で操業する延縄漁船(自国EEZ内のみで操業する24m以下の漁船は除く)の漁獲記録の提出様式(最低項目)が採択された。今後、サメ類 (3種)の漁獲量を提出する。

第13回年次会議(2009)
(1)オブザーバープログラム

資源評価に資するデータ収集強化のため、2010年7月より、@24m以上又はEEZ外で操業する24m以下の漁船の最低5%にオブザーバーを乗船させること(但し、24m以下の漁船は2013年までに徐々に実施)、Aオブザーバー乗船漁船のうちまき網漁船についてはオブザーバーが港湾における水揚げのサンプリング調査を併せて実施すること、B沿岸国のEEZ内で操業する漁船については水揚げのサンプリング調査を実施すること(調査の割合は5%に向けて段階的に増加する)。

(2) (2) 漁獲努力量(漁船数)規制

現在、熱帯マグロ類(メバチ、キハダ等)の実操業隻数については2006年レベルで制限し、メカジキ及びビンナガ対象の操業船については2007年レベルで制限することになっているが、途上国は漁船建造計画を提出すれば無制限に増隻が可能となっているところ、途上国の建造計画の提出期限を定め(原案は2010年までにであったが削除された)、その実施状況を検討する措置。

(3)公海における大規模流し網漁業の禁止

ECより、国連決議にもかかわらず、インド洋では公海における大規模(2.5km以上の網)流し網漁業が継続しており、マグロ等の管理対象種の脅威となっていることから、インド洋公海における大規模流し網漁業の禁止が提案され採択された.

(4) 海賊対策

ソマリア沖の海賊対策に関し国連安保理決議(1846号)をIOTCがサポートする宣言をした。

メバチ(インド洋)資源の現況(要約表)

資源水準* 中位
資源動向* 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
10.7〜13.8万トン
平均:12.2万トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
1.1〜1.9万トン
平均:1.5万トン
管理目標* MSY :11万トン
(90%信頼区間:10〜11.5万トン)
(2008年: 10.7万トン)
資源の状態* SSB2004/SSBMSY:1.17
(80%信頼区間:0.74-1.62)
F2008/FMSY:0.90
(80%信頼区間:0.56-1.22)
管理措置*(メバチ) (1)漁獲量をMSY以下にする
(2)台湾TAC 3.5万トン
(3) 貿易制限措置
(4)貿易統計証明制度
漁業管理措置*(共通項目) (1) IUU漁業廃絶。(2) 混獲緩和対策。 (3) 洋上転載オブザーバー乗船(2008年8月より)。(4) VMS搭載義務(2007年7月より)。 (5) 漁船数(24m以上)増加禁止。(6)他国漁船の受入制限。(7)はえ縄船トリポール使用(南緯30o以南)。 (8)漁船登録で、IMO番号追加。(9) まき網船ログブック最低限情報収集の義務化。 (10) 加盟国等は、自国民がIUU漁業に関与しないよう必要な措置をとる。(11)統計データ提出の強化。 (12) オブザーバープログラム(2010年7月開始)。
資源管理・評価機関 IOTC

執筆者

まぐろ・かつおグループ
熱帯性まぐろ類サブグループ
遠洋水産研究所 国際海洋資源研究員

西田 勤

遠洋水産研究所 数理解析研究室

庄野 宏


参考文献

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