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10 ビンナガ 北大西洋

Albacore

Thunnus alalunga

                                                            PIC
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図

図1. 北大西洋ビンナガの漁法別漁獲量 (ICCAT 2009 SCRS Reportより)


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表1. 北大西洋ビンナガの国別漁獲量(トン)


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図2. 北大西洋のビンナガの分布と主な漁場


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図3. 北大西洋ビンナガの年齢と尾叉長(cm)の関係Bard(1981)より


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図4. 北大西洋ビンナガの資源評価に用いられた各国漁業のCPUE (ICCAT 2009 SCRS Reportより)


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図5. Multifan-CLモデルから得られた北大西洋ビンナガの1930〜2007年の加入量 (1歳魚)(上)および親魚資源量(下)(ICCAT 2009 SCRS Reportより)。 図では示されていないが、近年における加入量推定値の不確実性は、それ以前と比べ高くなっていること に注意が必要である。


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図6. 北大西洋ビンナガのMSYを基準とした相対親魚資源量(SSB/SSBMSY)および相対 漁獲係数(F/FMSY)の時系列(上)。 資源状態を表すSSB/SSBMSYとF/FMSYとの間の位置関係 (左下1930〜2005年、右下1990〜2007年)。下図の大丸は2007年における位置を示す。 (ICCAT 2009 SCRS Reportより)


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図7. 北大西洋ビンナガの2007年における資源状態を表すMSYを基準とした相対親魚 資源量(SSB/SSBMSY)と相対漁獲係数(F/FMSY)との間の位置関係(黄四角)、およびその推定誤差として のばらつきの度合い。(ICCAT 2009 SCRS Reportより)


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図8. 北大西洋ビンナガのMSYを基準とした相対親魚資源量(SSB/SSBMSY)の将来予測の 結果。毎年の漁獲量を一定にして獲り続けるとして、その漁獲量の大きさを変化させたとき、将来の相対親魚 資源量はどう変化するかを示している。(ICCAT 2009 SCRS Reportより)


最近一年間の動き

2009年7月にICCAT調査統計委員会(SCRS)は大西洋ビンナガの資源評価会合を行った。その結果北大西洋ビンナガについては前回資源評価よりも悲観的となり、TACを削減するよう勧告がなされた。12月の年次会合では、それを受けてTACを28,000トンに削減することを決定した。


利用・用途

主に缶詰原料となっているほか、近海で漁獲されたものは鮮魚としても販売される。また、日本のはえ縄船が高緯度域で漁獲したものの一部は、日本において刺身用として利用されているようである。


漁業の概要

北大西洋のビンナガは、ビスケー湾周辺の海域でスペインのひき縄及び竿釣りによって、またアゾレス海域でスペイン及びポルトガルの竿釣りによって古くから漁獲されてきた。はえ縄漁業による漁獲は表層漁業による漁獲よりも小さく、台湾が多くを占める(図1)。これら伝統的な漁法以外にも、1980年代後半以降から、新しい表層漁業である流し網や中層トロールによっても漁獲されるようになった。

北大西洋における年間の総漁獲量は1960年代中頃(約6万トン)をピークに、多少の変動を繰り返しながら徐々に減少してきている。これらの減少は主としてひき縄、竿釣り及びはえ縄といった伝統的な漁法の努力量の減少による。総漁獲量は1999から2002年にかけてかなり減少し2.3万トンまで減少した。その後、表層漁業による漁獲量が増加して、総漁獲量は2006年に3.7万トンにまで回復した。しかし、2007年には表層漁業およびはえ縄漁業の両方の漁獲量が大きく減少し、2007年が2.2万トン、2008年が2.1万トンと1950年以降最低を記録した。

スペインは北大西洋ビンナガの最大の漁獲国であり(表1)、古く(1950年代以前)からひき縄及び竿釣りで利用してきた。かつての勢力ほどではないが現在も活発に漁業を行っており、1950年代〜1980年代に1.5万〜3.5万トン、1990年代には1.3万〜2.5万トンを漁獲した。その後漁獲量はさらに減少し、2002年には過去25年間で最低の0.9万トンとなったが、2003年からは回復がみられ、2005年には10年ぶりで2万トンを越え、2006年にはさらに増加し2.5万トンとなった。しかし、その後減少し、2008年には20,359トンとなった。これは1950年以降で最低である。フランスのひき縄及び竿釣りは、かつてはスペインと同程度を漁獲していたが、漁獲量は徐々に減少し、1970年代には約1万トンになり、1990年代にはごくわずか(多い年で100トン)になった。フランスは1990年以降それら漁業の代替として流し網及び中層トロールを行い、それぞれ2〜3千トンを漁獲した。さらに1998年からはまき網の試験操業を始めた。それでも漁獲量はさらに減少を続け2004年には合計で2千トンとなった。しかし2005年には漁獲量は大きく増加し7千トンと過去25年間で最高となったが、その後は減少している。アイルランドは1998年以降流し網から中層トロール網へ漁法を転換し、約4千トンを漁獲したが、その後減少し、2003年以降は1千トン以下となっている。2008年にはやや増加し1.5千トンとなった。

日本のはえ縄は1960年代に1万数千トンを漁獲したがすぐに大きく減少し、1970年以降はクロマグロやメバチの混獲として数百〜2千トンを漁獲しているに過ぎない。台湾のはえ縄も同様で、1970年代〜1980年代に1〜2万トンを漁獲したが、対象種の変化により減少し、1990年代は3千〜6千トン、2000年代には減少傾向は止まらず2007年以降は1千トン台となった。日本・台湾以外に、米国やベネズエラのはえ縄漁業によってそれぞれ数百トン程度が漁獲されている。


生物学的特徴

大西洋のビンナガは、大型魚の漁獲される海域及び稚魚の分布海域が南北でかなり明瞭に分かれていること、また、標識放流結果においても南北をまたいだ記録がないことから、南北で別々の系群が存在すると考えられている。ICCATでは、北緯5度線を南北両系群の境界として、それぞれを資源管理しており、北大西洋のビンナガはおよそ赤道〜北緯50度の広い海域に分布している(図2)。表層漁業(ひき縄、竿釣り、流し網)は、夏季にビスケー湾を中心とした海域及びアゾレス諸島海域で、索餌群(尾叉長50〜80 cmが多い)を対象としている。これらの魚群は、夏季に表層域を北東方向又は北方へ回遊し、冬季には南西方向へ回遊する。近年ビンナガを主対象としたはえ縄漁業は行われていないが、かつては北緯15〜25度で産卵群を周年、北緯25度〜40度で索餌群を秋冬季に漁獲していた。産卵域ははっきりしないが、西部では北緯25度〜30度で、中部から東部では北緯10〜20度で稚魚が出現した(西川ほか1985)。なお地中海でも産卵が見られる。索餌域は北緯25度以北と考えられる。

食性に関しては、胃内容物から魚類、甲殻類が多く出現しており、そのほかに頭足類も出現しているという報告がある(Ortiz 1987)。捕食者についてははっきりしないが、さめ類、海産ほ乳類のほか、まぐろ・かじき類によって捕食されているものと思われる。

資源評価には、第一背鰭切片に見られる年輪を用いた年齢査定(Bard and Compean- Jimenz 1980)によって得られた成長式
     L(t)=124.7(1−e-0.23(t+0.9892))
         L:尾叉長(cm)、t :年
がよく用いられる(図3)。これによれば3歳で尾叉長75 cm、5歳で93 cm、7歳で104 cmに達する。尾叉長90 cmで50%が成熟するとされている。体長体重関係はSantiago (1993)により
     w=1.339×10-5 ×l3.107
         w: 体重(kg)、l :尾叉長(cm)
が示されている。

寿命ははっきりしないが、少なくとも10歳以上と思われる。

資源状態

本資源の資源評価はICCATで行われている。ビンナガ北大西洋系群の最新の資源評価は2009年7月の資源評価会合で行われた(Anon 2009a)。以下に、2009年10月のSCRS全体会合でとりまとめられた報告書(Anon 2009b)を中心として資源評価の内容示す。

【資源評価】

源評価は、前回2007年に行われた時と同様Multifan-CLモデルを用い、1930年からのデータを用い、1つの海域、10種類の漁業区分を設定して解析を行った。前回と異なる点は、データを2007年までに更新したこと、用いたMultifan-CLモデルは最新のバージョンに変更したことであった(Anon 2009a)。

表層漁業のいくつかの漁業間でCPUEのトレンドは必ずしも整合してはいなかった(図4)。スペイン曳縄の2歳のCPUEは2004年および2005年に、それまでの低いレベルから大きな増加(卓越年級群が加入と考えられる)が見られた。しかし、3歳のCPUEでは、2歳で見られたほど高くはなかったことから、これらの年級はほんとうに卓越年級群だったのかは判断が難しかった。はえ縄のCPUEは全般的に見て減少傾向を示すが、近年のCPUEの傾向が船団によって異なっていた。それは、2000年〜2002年は日本及び米国のCPUEはかなり増加したが、台湾のCPUEが低迷したことや、米国のCPUEは2006年には増加したが、日本及び台湾のCPUEは減少しているところである。このようなCPUEトレンドの不整合について、どちらのCPUEがより資源を反映しているかという判断ができなかった。

Multifan-CLの結果では、1930年代から親魚資源量は減少し、現在ではピーク時(1940年代)の3分の1となっている(図5)。加入量は変動するものの1950年代から60年代は高く、その後2007年まで減少傾向を示した。しかし2005年級は、1960年代に見られた程度の高い加入であったと推定された。親魚資源量は1960年代以降MSYレベルを下回っており、現状ではMSYレベルのおよそ68%であった(図6)。漁獲圧は近年MSYレベルを上回っており、現状ではMSYレベルの105%であった。2007年における漁獲係数推定値および資源量推定値まわりの不確実性は図7のとおりであった。結論として、近年の漁獲圧は過剰漁獲であり(F/Fmsy >1)、親魚資源は乱獲状態である(SSB/SSBmsy <1)。

将来の漁獲量を一定とした将来予測を行ったところ、28,000トンを超える漁獲を続けると資源は回復しないと推定された。


【勧告】

2007年までのTACは34,500トンであった。2005年および2006年の漁獲量はこのTACを超過したが、2007年の漁獲量はTACよりもかなり下回った。2007年の年次会合では[Rec. 07-02]により、2008年及び2009年のTACを30,200トンに削減することとし、資源の回復を図った。しかし将来予測結果からは、このTACでは、2020年までに資源を回復させるためには不十分であり、漁獲量が28,000トンを超えない水準が必要である。


管理方策

1998年までは努力量規制やTACによる規制等の管理措置は講じられてこなかったが、1998年の年次会合では1999年から当該資源を対象とする漁船を登録し、入漁隻数を1993〜1995年の平均隻数に制限することが決められた。さらに2000年の年次会合からTACおよび国別クォータが設定されるようになった。2009年の年次会合では、乱獲状態にあるという資源評価の結果を受けて、2010年および2011年のTACはそれまでより2,200トン少ない28,000トンと決定された。主要国については、EU21,551.3トン、台湾3271.7トン、米国527トン、ベネズエラ250トンと国別の割り当てが決められ、また日本については、ビンナガを目的とした操業を行なっていないので、漁獲量が大西洋全体におけるはえ縄によるメバチの漁獲量の4%以下になるよう努力するというこれまでと同様の規制が課せられた。なお1998年の漁獲能力をこれ以上上げないとする勧告は継続されている。


ビンナガ(北大西洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 低位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
2.1〜3.7万トン
平均2.8万トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
288〜1,336トン
平均747トン
管理目標 MSY:29,000トン
資源の現状 B_2007/B_MSY 0.62 [0.45〜0.79]
F_2007/F_MSY 1.05 [0.85〜1.23]
管理措置 入漁隻数の制限
TAC:28,000トン
日本については漁獲量を大西洋全体におけるはえ縄によるメバチの漁獲量の4%以下とする
資源管理・評価機関 ICCAT
資源の状態における[]は95%信頼限界

執筆者

まぐろ・かつおグループ
カツオ・ビンナガサブグループ
遠洋水産研究所 かつお・びんなが研究室

魚ア 浩司

参考文献

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  2. Anon. (ICCAT) 2007b. 8.4. Albacore. In ICCAT (ed.),Report of the Standing Committee on Research and Statistics (SCRS) (Madrid, Spain - October 1 to 5, 2007). 42-56. http://www.iccat.es/Documents/Meetings/Docs/SCRS_REPORT_ENG_ALL_OCT_16.pdf (2007年11月1日)
  3. Anon. (ICCAT) 2008. 8.4. Albacore. In ICCAT (ed.),Report of the Standing Committee on Research and Statistics (SCRS) (Madrid, Spain - September 29 to October 3, 2008). 54-70. http://www.iccat.es/Documents/Meetings/Docs/2008_SCRS_ENG.pdf (2009年1月5日)
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