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09 ビンナガ インド洋

Albacore

Thunnus alalunga

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図1. インド洋ビンナガ国別漁獲量(1950-2008) (IOTCデータベース2009年10月)


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図2. インド洋ビンナガ漁法別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース2008年10月)


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図3. インド洋ビンナガ海域別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース2008年10月) 東インド洋(FAO海域57)、西インド洋(FAO海域51)


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図4. インド洋ビンナガの分布とはえ縄漁場


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図5. 台湾の標準化CPUEとノミナルCPUE(1980-2007)


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附表1. インド洋ビンナガ国別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース2008年10月)


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附表2. インド洋ビンナガ漁法別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース2008年10月)


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附表3. インド洋ビンナガ海域別漁獲量(1950-2008)(IOTCデータベース2008年10月) 東インド洋(FAO海域57)、西インド洋(FAO海域51)


最近一年間の動き

2007−2008年の総漁獲量はそれぞれ3.3万トンで変動はなかった。


利用・用途

刺身および缶詰として利用されている。


漁業の概要

本種の漁業は、1950年代前半より、日本のはえ縄船により開始された。その後、台湾・韓国のはえ縄漁業が、1954年、1966年よりそれぞれ参入しはじめた。はえ縄漁獲量は、操業開始以来急速に増加し、開始後8年の1959年に1万トンレベルに達した。その後、漁獲量は1993年までは、1974年 (2.9万トン) と1982年(2.4万トン)を除き、1万トンから2万トンの間で変動した。1985年から1992年まで、8年間にわたり台湾の刺網漁業が行われ、2万トン近くの漁獲があり、この間の総漁獲量は3万トンレベルに達した。刺網漁業が終わった翌年の1993年には、漁獲量は2万トン以下に減少した。翌年1994年からはえ縄の漁獲量が急増し2001年には4万トンに達したが、その後減少傾向が続き2005-2006年には2.3万トンまで落ち込んだ 。2007-2008年に急増しそれぞれ3.3万トンとなった (IOTC 2009) (図1, 附表1) 。

はえ縄・刺網漁業ほか、1984年からは、西インド洋でまき網漁獲が始まり、最大3,300トン漁獲した。本種漁業では、刺網漁業の行われた8年間と1950-51年を除き、89〜100%の漁獲量は、はえ縄漁業による。また、台湾はえ縄の漁獲量は1970年以来、総漁獲量の5〜9割を占める (図2, 附表2) 。

また、西インド洋(FAO51海域)と東インド洋(FAO57海域)における漁獲量の平均的割合は、おおよそ6:4である(図3, 附表3)。


生物学的特徴

【分布】

インド洋のビンナガの分布範囲は、5°N〜40°Sである。メバチやキハダが赤道海域を中心に分布するのに対し、本種の主要分布域は中緯度海域で、5°N〜25°S が成魚分布域、10〜25°Sに産卵域、30〜40°Sに索餌海域があり、魚群の密度が高い。分布の南限や北限は季節によってやや異なる(図4)。

海流は、大きな空間スケールでビンナガの分布や漁場形成を左右する最も重要な要因と考えられている。赤道反流の南10°S付近に一種の収歛線が形成され、ビンナガ好漁場の北の境界となっている。


【回遊】

ビンナガはよく発達した胸鰭を持ち、索餌または産卵のために大規模な回遊をする。インド洋における、回遊の研究は皆無で、経路などは不明である。


【形態】

体は紡鍾形で肥厚し、完全に鱗でつつまれている。胸鰭は著しく細長くてリボン状を呈し、その先端は第2背鰭の基低の下方よりもさらに後方に達する。鰓耙数は30本以下、体の背面は黒青色、腹面は銀白色である。


【食性】

ビンナガも他のまぐろ類と同様に、魚類・甲殻類・頭足類を主な餌として、生息環境中に多い餌生物を、主として昼間に無選択的に捕食する。したがって、胃内容物組成は海域や季節によってかなり変化する。西部インド洋では、ギマ科・ミズウオ科・ホウネンエソ科・アジ科・クロタチカマス科・ヒシダイ科などが主に捕食される(Koga 1958a)。


【産卵】

インド洋においては、現在のところ詳しい知見がない。以下は太平洋の場合である。西部太平洋のビンナガは、卵巣が200g以上になると産卵すると思われ、その最小体長は87cmである。雄では精巣重量150g以上のものが成熟個体とみなされるので、その最小体長は97cmである。卵巣卵の直径は成熟期では0.6mm以上となり、卵巣重量は100〜200gが普通だが、大型の成熟したもので200 g以上になる。体重20 kg前後の魚体で、1尾の抱卵数は180〜210万粒である(上柳 1955)。1産卵期中に複数回の産卵が推定されるので、実際の産卵数は抱卵数よりかなり多いと思われる。成熟に達する年齢は5歳あるいはそれ以上である。


【系群】

太平洋とインド洋のビンナガの分布はオーストラリアの南側で、またインド洋のビンナガと大西洋のビンナガの分布はアフリカ南端で連続し、一部交流する可能性もあるが(古藤 1969)、血清学的見地からはそれらはかなり異質な反応を示し、別個の系群であることが示唆されている(鈴木 1962)。また、体長組成、仔稚魚、分布の特性から、インド洋は単一系群とみられている(Hsu 1994)。


【体長・体重関係】

以下の体重(w: kg)・体長(尾叉長: cm)の関係式が報告されている。
     Lee and Kuo (1988)
         雄w = (3.383 × 10-5 ) l2.8676
         雌w = (4.183 × 10-5 ) l2.8222

【年齢・成長式】

インド洋ビンナガは、Huang et al. (1990)の鱗による研究によると、8歳まで確認 されている。以下3つの成長式の報告がある。
     L:尾叉長(cm)、t:年齢
         Huang et al. (1990) 鱗
             Lt(cm) = 128.13(1-e-0.162[t-(-0.897)])
         Lee and Liu (1992) 脊椎骨
             Lt(cm) = 163.7(1-e-0.1019[t-(-2.0668)])
         Hsu (1991) 体長組成解析
             Lt(cm) =136(1-e-0.159[t-(-1.6849)])

【自然死亡係数】

以下2件の報告がある。
         Lee et al. (1990)
             M = 0.206 Pauly (1980)の方法により推定。
         Lee and Liu (1992)
             M = 0.2207 はえ縄データを用い、Z=q*F+Mより推定。

資源状態*

2008年の第2回温帯まぐろ作業部会では、台湾の標準化CPUEを用いビンナガの資源評価をASPMにより行った(図5; 2007年までのデータ使用)。その結果、2.8万トン < MSY < 3.4万トン、1 < B(MSY ratio)、0.48 < F(ratio) < 0.91 といった結果が得られた。2008年の漁獲量は3.3万トンまた最近5年間の平均漁獲量は2.8万トンである。このことより、本種の資源状況は、MSYレベルまでには至っておらず、漁獲圧もMSYレベルまでには至っていないと考えられる。

注意(*) 2007年までの情報を用いた資源評価結果に基づく

管理方策*

前記資源状況をもとに、2008年の第11回科学委員会では、漁獲量が今後このレベルで安定しビンナガの価格が他のまぐろ類より安ければ、特に緊急の資源管理措置の必要はない、と勧告した。

注意(*) 2007年までの情報を用いた資源評価結果に基づく

ビンナガ(インド洋)資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
2.3〜3.3万トン
平均:2.8万トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
3,600〜6,200トン
平均:4,900トン
管理目標 MSY(2.8-3.4万トン)
資源の現状 持続的レベル
管理措置(ビンナガ) (1) 漁獲量が今後このレベルで安定しビンナガの価格が他のまぐろ類より安ければ、特に緊急の資源管理措置の必要はない。(2) ビンナガ操業船は、2008年から2010年の3年間、毎年の実操業隻数を2007年レベルに制限。(3)ビンナガ実操業船をIOTCに登録。
管理措置(共通事項) (1) IUU漁業廃絶。(2) 混獲緩和対策。(3) 洋上転載オブザーバー乗船(2008年8月より)。(4) VMS搭載義務(2007年7月より)。(5) 漁船数(24m以上)増加禁止。(6)他国漁船の受入制限。(7)はえ縄船トリポール使用(南緯30o以南)。(8)漁船登録で、IMO番号追加。(9) まき網船ログブック最低限情報収集の義務化。(10) 加盟国等は、自国民がIUU漁業に関与しないよう必要な措置をとる。
資源管理・評価機関 IOTC
(*) 2007年までの情報を用いた資源評価結果に基づく

執筆者

まぐろ・かつおグループ
遠洋水産研究所 国際海洋資源研究員

西田 勤

参考文献

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  2. Hsu, C.C. 1991. Parameters estimation of generalized von Bertalanffy growth equation. Acta Oceanog. Taiwan., 26: 66-77.
  3. Hsu, C.C. 1994. The status of Indian Ocean albacore stock - A review of previous work. TWS/93/2/12. In Ardill, J.D. (ed.), Proceedings of the 5th expert consultation on Indian Ocean tunas, Mah?, Seychelles, 4-8 October, 1993. IPTP Col. Vol., (8): 117-120.
  4. Huang, C.S., C.L. Wu, C.L. Kuo and S.C. Su. 1990. Age and growth of the Indian Ocean albacore, Thunnus alalunga, by scales. FAO IPTP/TWS/90/53. 12 pp.
  5. IOTC. 2004a. Report of the first session of the IOTC Working Party on Temperate Tunas. IOTC-2004-WPTMT-R[EN]. 19 pp. http://www.iotc.org/English/documents/index.php (2008年11月29日)
  6. IOTC. 2004b. Report of the seventh session of the Scientific Committee. IOTC-2004-SC-R[EN]. 91 pp. http://www.iotc.org/English/documents/index.php (2008年11月29日)
  7. IOTC. 2009 Nominal catch database. http://www.iotc.org/English/data/databases.php (2009年12月15日)
  8. IOTC. 2008 Report of the Eleventh session of the Scientific Committee. IOTC-2008-SC-R [EN]. .http://www.iotc.org/English/documents/index.php (2008年12月9日)
  9. Koga, S. 1958. On the stomach contents of tuna in the west Indian Ocean. Bull. Fac. Fish. Nagasaki Univ., 6: 85-92.
  10. 古藤 力. 1969. ビンナガの研究-XIV. はえ縄操業結果から見たインド・大西洋におけるビンナガの分布と魚 群の移動についての若干の考察. 遠洋水産研究所研究報告, (1): 115-129. http://www.enyo.affrc.go.jp/bulletin/kenpoupdf/kenpou1-115.pdf (2008年11月7日)
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  12. Lee, Y.C. and C.L. Kuo. 1988. Age character of albacore, Thunnus alalunga, in the Indian Ocean. FAO IPTP/TWS/88/61. 8 pp.
  13. Lee, Y.C. and H.C. Liu. 1992. Age determination, by vertebra reading, in Indian albacore, Thunnus alalunga (Bonnaterre). J. Fish. Soc. Taiwan, 19(2): 89-102.
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