--- 要約版 ---

49 クロミンククジラ 南極海−南半球

Antarctic Minke Whale

Balaenoptera bonaerensis

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図

南極海母船式捕鯨による鯨種別捕獲頭数の変遷(加藤1991を改編)


図

耳垢栓変移相の観察に基づくクロミンククジラの成熟年齢の経年変化 (Kato(1987)を改変。標本を年級群で分けた場合(上)と成熟年齢で分けた場合(下))


図

クロミンククジラの年級群別(出生年度別)成長曲線 (年級群は10年ごとにプールした。Kato(1987)を改変)



クロミンククジラ(南極海・南半球)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 検討中
世界の漁獲量
(最近5年間)
IWCによって商業捕獲停止中
我が国の漁獲量
(最近5年間)
440〜853頭
(2003/04〜2007/08年)


管理・関係機関
国際捕鯨委員会(IWC)

最近一年間の動き
国際捕鯨委員会によるクロミンククジラの3度目の周極調査が完了した結果、標準的な目視資源量推定法を用いた場合、2周目と3周目で見かけ上大幅な減少が見られた。この見かけの減少の原因を探るため、調査線上の見落とし確率の推定法の開発、氷の張り出しとクロミンククジラ資源量の関係の調査、他鯨種との競争関係の解明などが進められている。

生物学的特性
  • 約50歳
  • 成熟開始年齢:7歳(1970年代以降)〜12歳(1940年代)
  • 繁殖期・繁殖場:冬、中低緯度海域
  • 索餌期・索餌場:夏、南極海
  • 食性:ナンキョクオキアミ
  • 捕食者:シャチ

利用・用途
鯨肉(刺身、大和煮など)、工芸品、かつては鯨油

漁業の特徴
他のひげ鯨類同様に、本種の漁獲管理は、第二次世界大戦以後は1946年に署名され1948年に発効した国際捕鯨取締条約下に設立された国際捕鯨委員会(IWC)が行っている。本種は南氷洋母船式捕鯨後期の最重要種で、1971/1972年漁期から本格的な捕獲を開始し、1980年代前半に最盛期を迎えたが、1982年に採択された商業捕鯨モラトリアム決議により、1987/1988年漁期を最後に商業的漁獲が停止した。しかし、我が国は、翌漁期より国際捕鯨取締条約8条の下に認められている特別許可に基づく捕獲調査(調査捕鯨)を行っている。

漁業資源の動向
(その1:1986/1987漁期まで)
1950〜1960年代は本種の捕獲は少なく、1970年代初頭から資源開発が開始した。我が国は1971/1972年漁期に3,000頭あまりを捕獲して本格的な捕鯨を開始した。翌1972/1973漁期からソ連が操業に参入し、総捕獲数は6,500頭余りに達し、以後年々捕獲数は増加したが、1975/1976年漁期から新管理方式の導入、また1979/1980年漁期から母船式操業がクロミンククジラを除き禁止となり、南極海で捕獲可能な種は本種のみとなった。一方、1978/1979漁期からIWC鯨類調査10ヵ年計画(IDCR)の本種の資源量調査が開始し、科学的に充実した資源情報の下で管理が行われ、6,500〜8,000頭の安定した捕獲の操業が行われた。しかし、IWCは1982年に本種を含む商業捕鯨の全面モラトリアムを決議した。日本やソ連は異議申し立ての下に捕鯨操業を継続し、南極海で1984/ 1985年漁期以降も年間5,000頭あまりの本種を捕獲していたが、1986/1987年漁期を最後に操業を取りやめた。
(その2:1987/1988漁期から)
操業取りやめの翌年の1987/1988年漁期から日本は国際捕鯨取締条約第8条で締約国に認められた特別許可の下に本種の鯨類捕獲調査(調査捕鯨・JARPA)を開始した。JARPAでは南極海のW区とX区を毎年交互に調査し、初期には300頭±10%を捕獲していたが、1995/1996年漁期より標本数を400頭±10%に拡大し、2004/2005年漁期で終了した。JARPAで得た情報の解析から、鯨類を中心とする南極海生態系の構造が現在もなお変化し続けていることが示唆され、これを検証するために、第2期調査(JARPAU)を2005/2006年漁期より開始した(本種850頭±10%の捕獲の他、ナガスクジラ及びザトウクジラも対象に加わった)。この他、ブラジル(1971〜1983年)と南アフリカ(1972〜1975年)が本種の沿岸捕鯨を行っていた。

資源状態
クロミンククジラは、最も資源水準の高いひげ鯨であり、IWC科学委員会による国際資源調査の結果、非常に精度の高い資源量推定値が得られている。2003/2004漁期で三周目の周極調査が終了し、現在それに基づく資源量の推定作業が進行中である。二周目を基に夏季における南極海南緯60度以南の資源量がおよそ76万頭であると推定されている。また、本種は生態的競争種のシロナガスクジラなど大型鯨類の減少により初期資源状態を上回っていると考えられている。なお本種にRMPを当てはめた試算では、南極海全体で1,945〜4,490頭、平均3,202頭という捕獲枠が可能であった。

管理方策
1990年のIWC科学委員会による包括的評価によって、利用可能な資源であることが明らかとなったが、商業捕鯨モラトリアムや科学的根拠を有さない南大洋サンクチュアリーによって、改訂管理方式(RMP)の運用試験が進行していない。鯨類資源の持続的利用を推進している我が国としては、締約国の使命として資源調査を積極的に行い、正しい情報のもとに適切な判断を下されるよう、関係国と協調しながら持続的利用を推進していく必要がある。

資源評価まとめ
  • IWCによる大規模な周極目視調査から資源量を推定、2周目の推定値で約76万頭が生息
  • 生態的競争種(シロナガスクジラなど大型鯨類)の減少により、おそらく初期資源を上回る

資源管理方策まとめ
  • 本資源は利用可能な状態にある
  • 改訂管理方式(RMP)の運用試験は商業捕鯨モラトリアムや南大洋サンクチュアリー により進行していない