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30 カツオ 中西部太平洋

Skipjack

Katsuwonus pelamis

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図1. 中西部太平洋カツオの主要漁法別漁獲量の経年変化(万トン)(SPC 2008)


表

表1. 中西部太平洋における竿釣りおよびまき網の主要漁獲国によるカツオの漁獲量 (SPC 2008より集計) (単位:千トン) フィリピンのリングネットによる漁獲もまき網に含めた。 2007年の数値は暫定値。


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図2. 標識カツオの移動(1,000海里以上の移動例のみ)、(Langley et al., 2005)


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図3. 中西部太平洋のカツオの成長パターン (Tanabe et al. 2003、嘉山ほか 2003より作成)


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図4. 太平洋におけるカツオ分布および漁業分布


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図5. 記録式標識によるカツオの鉛直遊泳行動(青線:遊泳深度)と遊泳層の水温 (赤線)、灰色部分は夜間を示す. 小倉(2002)


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図6. 解析に用いた海域区分と各海域での1990~2006年の漁法別累積カツオ漁獲量分布 (Williams and Reid 2008)


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図7. 海区5および6での加入量推定値の経年変化、単位は100万尾、青線が熱帯域モデル での推定値を示す.(Langley and Hampton 2008)


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図8. 海区5および6の資源量推定値の経年変化、単位は千トン、青線が熱帯域モデルでの 推定値を示す. (Langley and Hampton 2008)


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図9. 海区5および6での資源へのインパクトの経年変化、漁獲が無かった場合を1とした ときの割合、青線が熱帯域モデルでの推定値を示す.(Langley and Hampton 2008)


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図10. MSYレベルを基準とした相対的漁獲係数(F/FMSY)と相対的資源量(B/BMSY)の 経年変化、縦軸および横軸の1.0はMSYレベルを示す.(Langley and Hampton 2008)


最近一年間の動き

2008年8月にWCPFCの科学委員会で3年ぶりに中西部太平洋カツオの資源評価が行われた。資源評価の結果は、2005年に行われた資源評価結果から大きな変化はなく、漁獲圧はMSYレベルを下回っており過剰漁獲にはなっておらず、資源量はMSYレベルを上回っており乱獲状態ではないとされた。

2008年の中型・小型の竿釣りによる1月〜6月における小笠原・伊豆・房総沖での漁獲量は約1.0万トンで、昨年同時期(0.8万トン)を上回った。近海で操業するまき網による漁獲量は2.7万トンで、昨年同期を(2.9万トン)下回った(遠洋水産研究所 2008)。


利用・用途

刺身・たたきでの生食のほか缶詰や節の原料となる。


漁業の概要

中西部太平洋のカツオの漁獲は、日本の竿釣り漁船による南方漁場(西部太平洋熱帯水域)の開発により1970年頃から全域にわたり本格化し、1980年代には各国のまき網船による熱帯水域漁場の開発も始まり漁獲量急増期に入った。1970年代まで40万トン台であった中西部太平洋での漁獲量は1990年代には100万トン前後に増大、さらに1998年以降には120万トン前後で推移し、2007年には暫定集計値で170万トンと、過去最高だった2006年の157万トンを上回った (図1)。この間、竿釣り・まき網両漁業ともに、漁具の改良に加え、操業機器の開発・改良(低温活餌槽、海鳥レーダー、ソナー、人工浮漁礁(FADs)等)と情報収集能力の向上(衛星情報、インターネット利用)が続いている。2007年の漁法別漁獲量(暫定値)では85%の144万トンがまき網漁業、竿釣りが約10%の17万トン、その他の漁業が8万トンとなっている(図1)。まき網漁業については日本・韓国・台湾・米国の遠洋漁業国が近年の漁獲量の5~6割を占め、他はインドネシア、パプアニューギニア、フィリピンが多い。竿釣りについては、日本が約7割を占め、他はインドネシアが多い(表1)。

中西部太平洋全体の中においては日本近海は本種の分布縁辺部にあたり、日本近海の漁獲は分布中心域の資源量と北上回遊・漁場形成に係わる海洋環境に影響される。日本近海の漁獲量は1970年代以降9〜21万トン(20?N以北)で推移している。日本近海の中においては常磐・三陸沖漁場は一貫して日本周辺海域の中心的漁場となっているが、漁獲量の変動は大きく、1970年代以降では2万〜14万トン(35?N以北の竿釣りとまき網の合計)である。この常磐・三陸沖漁場でも1980年代後半から竿釣りに加えまき網操業が増加している。2006年の常磐・三陸沖漁場の暫定漁獲量はまき網6.3万トン、竿釣り5.4万トンであった。

各国のまき網漁業が熱帯水域に大きく展開するまでの1980年台以前の本海域におけるカツオの漁獲は、主に日本により行なわれてきた(この段落は主として、「かつお漁業資源」水産庁研究部発行、昭和57年3月、63 p. による)。無動力の竿釣り漁業は江戸時代から始まり、大正初期に漁船の動力化が始まると漁場は急速に広がり、台湾北西部や小笠原諸島近海まで出漁するようになった。さらに、南洋諸島が日本の委任統治領となると、サイパン、トラック、ポナペ等を基地とした現地操業も始まった。昭和に入ると漁獲魚の冷凍も行なわれるようになり、漁場は東北海域では沖合600マイル、南方ではマリアナ諸島、スルー海まで広がり、もはや日本近海への来遊資源を待つ季節的操業に限定されず、近海から遠洋までほぼ周年にわたって操業するものも加え、戦前のピーク時には10万トンを超える漁獲量に至った。戦後まもなく大戦による落ち込みから回復し、1952年にマッカーサーラインが撤廃されるとさらなる未開発資源を持つとされたカツオへの関心の高まりから、漁獲量は1960年前後には10万〜17万トン、1970年には20万トンを超え1970年代後半には30万トン(それぞれ日本船による漁獲量のみ)を越える水準へと増大した。この間の漁獲の伸びは主に竿釣り漁業が中心となったが、漁場の拡大に伴う活餌保持の問題と共に燃油高騰等の経済的要因から、特に遠洋竿釣り漁船の数の減少・漁獲量の伸びの停滞が生じ、その後各国の大規模なまき網漁業が重要な地位を占める時代へと進んでいった。


生物学的特徴

【分類・系群】

カツオ(Katsuwonus pelamis)は1種のみでスズキ目サバ科カツオ属を形成し、3大洋すべての熱帯〜温帯水域、概ね表面水温15℃以上の水域に広く分布している(Matsumoto et al. 1984)。これら3大洋の系群は別系群と考えられているが、太平洋内については単一系群とする説と複数系群とする説がある。血清蛋白を用いた集団遺伝学的研究では、太平洋には西部に1系群、中部および東部に1つ以上の系群が存在するとの研究結果(Fujino 1996)もあるが、遺伝子頻度の差が遺伝的な隔離によって生じ維持されているかの確証はないのが現状である。一方で同様の手法から西部系群と東部系群の間の中部太平洋ではそれらの中間的な特徴を示す魚群が見られ、明確に区分された系群の存在に疑問を示す結果も示されている(South Pacific Commission 1981、以下SPC)。標識放流からは西部太平洋と中部太平洋の交流および東部太平洋から中部太平洋への移動が見られており、フィリピン群島付近も中西部太平洋の魚群の移動範囲に含まれる(図2)。少なくとも魚群の交流が活発に行なわれていることは事実であり、遺伝的独立性を保つに充分な再生産時の分離が行なわれているかの点からも確認が必要であろう。資源管理上は、現状では分布の広範さに比べて移動拡散の速度が遅く常に資源全体が一様に変動するとは考えられないため、漁業の分布にあわせて東部太平洋と中西部太平洋に分けて資源評価が行なわれる場合が多い。


【成熟・成長】

成熟は尾叉長40〜45 cmで開始可能とされる。1回の産卵数は魚体サイズに依存し30〜100万粒以上とされる。産卵は、表面水温24℃以上の水域で広く行われ、量の多少はあるものの特定の限定された産卵域は形成されない。産卵期は、熱帯水域では周年、亜熱帯水域では春〜初秋が中心となり、全体として年2回の産卵期のピークが見られる水域もある。日本近海では沖縄周辺はもとより伊豆諸島から35°N付近にも仔魚の出現が見られ、規模は小さいものの産卵が行われていると考えられる(上柳ほか 1973)。卵は分離浮遊卵で卵径約1 mm、水温27℃では約25時間でふ化する。なお、多回産卵とされているが、個体の産卵期間・頻度・間隔等は不明であり、価格的に栽培漁業対象種になりえないこともあり再生産機構についての研究は乏しく不明な点が多い。

カツオの成長についてはこれまで確実な齢形質が確認されていなかったこともあり統一的な知見が示されていなかったが、近年耳石の日周輪の観察によりその成長が明らかになってきた(Tanabe et al. 2003、嘉山 ほか 2003)。ふ化直後は全長2.6 mm程度であるが、その後の成長は早く1.5ヶ月後には10 cmを超え、6ヶ月で約30 cmに成長する(図3)。その後、満1歳で尾叉長40 cm台前半、満2歳で60 cm弱、満3歳で60 cm台半ばに達するとされる。80 cmを超える大型魚は、はえ縄漁業等でわずかに漁獲されることがあり、最大体長は100 cmに達するとされる。これらの大型魚の年齢査定結果はまだ得られていないが、6歳以上まで達すると考えられる。


【分布・回遊】

太平洋における分布域は適水温帯の分布にあわせて西側で南北に広く東側では狭くなる(図4)。一般に大型魚ほど南北方向に分布範囲が狭くなり、熱帯水域のみに分布する傾向があり、若齢ほど分布の南北範囲が広い。したがって、熱帯水域には仔稚魚から60 cm以上の魚まですべてのサイズが分布しているが、分布の縁辺部である温帯域では主に1歳魚の摂餌回遊群が季節的に分布する。本種は大洋の沖合域に広く分布・回遊するものの沿岸域へも来遊し、日本周辺では定置網で漁獲される場合もある。

分布縁辺域である日本近海へは、主として尾叉長30cm台後半(1歳弱)以降の魚が北上来遊する。主要な北上ルートは、黒潮沿い・紀南・伊豆諸島沿い・伊豆諸島東沖のルートがあり、また、三陸沖漁場では沖合から現れる魚群もあり、標識放流魚の移動からも天皇海山漁場まで含めた東沖からの来遊が示唆されている。特に量的に重要なのは伊豆諸島沿い・伊豆諸島東沖ルートで、日本近海の主要漁場である常磐・三陸沖へ北上してくる。黒潮沿いのルートは、南西諸島から薩南海域に入り、一部は黒潮から分岐する対馬暖流沿いに九州西岸・五島付近に達するが、多くは薩南海域から四国沖・紀伊半島沖を通り遠州灘・伊豆諸島周辺に達する。その後、常磐・三陸海域に北上する魚群も見られる。小笠原諸島から伊豆諸島を北上する魚群は紀伊半島沖に西進する魚群と、5月以降に伊豆諸島東沖から来遊する魚群とともに房総沖から常磐・三陸沖へ北上する魚群が見られる。三陸沖の北上群は9月頃には41°N付近まで達した後、南下する。


【食性・被食】

餌生物は魚類、甲殻類、頭足類で、餌生物に対する選択制は弱く、その水域に最も多いものや捕食しやすいものを食べていると考えられている。一方、カツオの捕食者はカツオ自身を含めた高度回遊性魚類のまぐろ類・かじき類、カマスサワラ、ウシサワラ、さめ類、海鳥が挙げられる。これらの種の胃内容物に見出されたカツオのサイズ範囲は3〜 70 cmにおよぶが、20 cm以下が最も多く観察されている。


【行動】

漁獲対象となるサイズのカツオについてはテレメトリーや記録型標識による行動研究も行なわれている(小倉 2002)。夏季の常磐沖における北上群についての例ではあるが、カツオは時には250 m近くまで潜りながら、夜は極表層近くに滞在し時折20 m程度までを上下しながら泳いでおり、昼間には夜間より深い層を中心に泳ぎながら時々表面にまで浮上する行動が明らかにされている(図5)。遊泳深度を昼夜別にまとめると、夜には45%の時間、5 mより浅い極表面を遊泳し、昼間も20%近くの時間が極表層を遊泳していた。昼間に目視等による魚群発見が可能と思われる表層(5 m以浅で計算)への浮上滞在時間は、全昼間時間の1/5程度であり、さらに昼間に観察された5 m以浅への浮上のうち2/3が10分未満しか継続浮上しておらず、ほとんどが20分以内の短い時間しか持続しないものであった。竿釣りやまき網の操業においては成魚の表層での行動が魚群発見の端緒とされているが、観察された結果からは、昼間も多くの時間は潜っており浮上してきた僅かな時間がカツオと漁業の接点となっている。


【稚仔魚期の生態】

仔稚魚の生態については田邉(2002)に整理されている。稚魚期の基本的な餌は魚類仔魚であるが、キハダ等のマグロ属の稚魚よりは魚食性は弱く、カイアシ類、オキアミ類や頭足類も捕食する。摂餌活動は昼間行なわれ、視覚捕食者である。成長に伴い捕食する魚類・甲殻類・頭足類のサイズは大型化するが、胃内容物には動物プランクトン等も引き続き出現する。餌の選択性は弱く周りの餌環境と遊泳能力・口の大きさ等で決まると考えられている。仔稚魚期の鉛直分布は表層混合層下部から水温躍層が中心で、これはマグロ類より深い。時間帯別の採集結果からは、夜になると表面近くへ浮上する日周鉛直移動を行っていると考えられており、さらに発生直後は水温躍層よりも浅い水深に分布するが、成長に伴ってより深い水深帯にも分布するようになると考えられている。また、消化管調査から、カツオ仔魚は朝から夕方にかけて摂餌活動を行い、夜間には摂餌を行わない典型的な視覚捕食者であることが示されている。稚魚期においても仔魚期同様、夜間には摂餌を行わない。


資源評価

中西部太平洋のカツオの資源評価はWCPFCの科学委員会(Scientific Committee, SC)で行われており、最新の資源評価は2008年の第4回会合で、前回2005年から3年ぶりに行われた。その会合では統合モデルMULTIFAN-CLを用いた資源評価結果(Langley and Hampton 2008)が提出され、結果の検討及び資源管理のための勧告が作成された(WCPFC 2008)。以下にその概要を示す。

資源解析に用いたデータは1952年〜2007年までの漁獲量、努力量、サイズデータ、標識放流データであるが、この標識放流データには近年行われた大規模な標識放流調査の結果は含まれなかった。24の漁業、16四半期齢のモデルとした。日本の竿釣りのCPUEは、いったんGLMで標準化し、海域間の相対的なノミナルCPUEの大きさおよび海域の大きさから計算された係数(regional scaling factor)で重みづけされたものを使用した。その他の漁業は標準化していないものを使用した。

資源評価は中西部太平洋全部の海域を使用する「全海域モデル」と、2つの熱帯域の海域(海区5と6)のみを使用する「熱帯域モデル」の二つモデルが用いられた(図6)。いくつかの感度テストは全海域モデルを用いて行われた。

全海域モデルでは、資源量は海区3が全体の12%、海区4が24%と、相対的に資源量が大きく推定され、相対的な漁獲量の大きさとは大きく異なる。また、これは感度テストでも大きな違い見られなかった。これは北側の4つ海区で、CPUE時系列にコントラストがないか、もしくは小さいこと(ただし海区2は例外)や、標識放流データはいくらかあるものの、各漁業の報告率に関する情報もなく、結局資源量推定に寄与できる標識データにはなっていないこと、CPUEの重みづけに用いる係数が相対的に大きいことなどによるものと考えられた。結論として、全海域モデルでは、資源量レベルを信頼できる推定値を得るに十分なデータはないと判断され、推定された全海域の資源量およびMSYに関連する指標は不確実性が極めて高いと考えられた。一方、漁獲量の大部分を占める水域のみから構成される熱帯域モデルでは、問題の多い北側の海区に関する仮定が含まれないため頑健であるほか、その2つの海区においての非常に多くの標識放流データおよび報告率に関する情報があり、熱帯域モデルを資源評価のモデルとして採用するものとした。よって今回示すことができる資源評価結果は中西部太平洋のカツオの熱帯域についてのみに限定されたものとなる。

成長の推定においては、全般的にサイズデータと良く適合しており、体長モデルとして適切に機能していると考えられた。推定された成長曲線は、標識放流再捕時の体長の変化とは一致しないが、これは熱帯域のカツオ漁業は主に体長が小さく成長が遅いものを主として漁獲しているからであろうと考えられた。年齢別の自然死亡係数は他の熱帯性まぐろ類と同様、四半期齢によってかなり異なり、若齢期に高いと推定された。

加入は、1980年代に比較的高い水準となり、それ以来高い水準が続いていると推定された(図7)。東側海区の加入量の推定値は、強いエルニーニョのあとに続く1998年および2004〜2005年にピークがみられるほかは、かなりばらついていた。これとは逆に、ラニーニャの後に続く2001〜2003年は低い加入となった。近年の加入は歴史的に最も高い水準であると推定されたが、限られた漁業の情報からの推定値であるためあまり信頼できないと考えられた。1998〜2001年および2005〜2007年にみられた資源量の増加は、東側海区において加入が良好であった年の直後に起こっているように、資源量の変動は加入量の変動に大きく依存していると考えられた。このモデルでの結果からは、近年の熱帯域のカツオの資源量は歴史的な平均値と比べかなり高く(40%)なっていると考えられた(図8)。熱帯域では漁獲係数が解析した期間を通して増加しており、最近年は最も高くなっていると推定された。この漁獲のインパクトは近年で海区5では40%、海区6では20%と推定された(図9)。

資源評価の結論として、基本的に2005年の資源評価結果からほとんど変更はなく、資源の多くが分布・漁獲される中西部太平洋熱帯域では、現在、カツオの再生産力と比較して中程度の強度で利用されており、資源量は乱獲状態ではなく、漁獲圧は過剰漁獲ではないとされた(図10)。推定されたMSYは128万トン、BMSYは143万トン、BMSYに対する現在(2003年〜2006年)の資源量の比率(Bcurrent / BMSY)は2.99であり、資源水準は高いレベルを維持していると考えられた。推定された漁獲圧の比率(Fcurrent / FMSY)は0.26であり、非常に低い数値であった。また、漁業が資源に与える影響(B2007 / B0,F=0)は0.66と見積もられ、資源量は漁業が存在しなかった場合と比較して3割あまりの減少に止まると推定された。

課題としては、日本の竿釣りのCPUEについては、特に海区5で、急激なCPUEの増加がみられる期間で観測されたCPUEのモデルへのフィットはあまりよくなく、またこの期間のCPUEと他のデータ、特にサイズデータと整合しなかったことが挙げられる。このCPUEは標準化されたものだが、資源量指数として信頼できるのかあまりはっきりしなかった。また、パプアニューギニアおよびソロモン諸島で最近実施された標識放流データをモデルに取り込むことも課題と考えられた。


管理方策

カツオは、豊富な資源量・速い成長と成熟・多産性・広範な海域での周年の産卵、短寿命(4・5歳程度)が特徴とされる。WCPFC科学委員会は、近年の漁獲量は連続して過去最高を記録するような高い水準となっているが、加入がこれまでの長期的な平均を下回らなければ持続可能であると考えられる。そのためカツオ資源保護のための管理措置は勧告されていない。しかし、加入レベルが大きく低下した場合は、漁獲量を削減しなければならない可能性があろう。また、2008年12月のWCPFC年次会合で、メバチの保存管理措置として、2009年から3年間でメバチの漁獲を30%削減することが合意されたため、今後メバチの小型魚を混獲しているまき網の努力量も削減が見込まれている。


カツオ(中西部太平洋)資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
132万〜170万トン 平均:150万トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
30〜36万トン 平均:34万トン
管理目標 MSY:128万トン、ただし15N〜20S水域のみ
資源の現状 Bcurrent / BMSY: 2.99
Bcurrent / Bcurrent, F=0: 0.66
Fcurrent / FMSY: 0.26
管理措置 メバチの保存管理措置として、2009年から3年間でメバチの漁獲を 30%削減することが合意されたため、メバチの小型魚を混獲しているまき網の努力量も削減する。
資源管理・評価機関 WCPFC

執筆者

まぐろ・かつおグループ
熱帯性まぐろ類サブグループ
遠洋水産研究所 かつお・びんなが研究室

魚ア 浩司

水産総合研究センター本部

小倉 未基


参考文献

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