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24 メカジキ 南大西洋

Swordfish

Xiphias gladius

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最近一年間の動き

2008年度について、南大西洋のメカジキの資源評価は行われていないが、2008年秋に開催されたICCAT本会議において、委員会は本資源の年間漁獲量が暫定的に推定されたMSY(17,000t)を引き続き遵守するよう勧告を出した。また、同時に本資源の資源評価においては北大西洋系群に比べ不確実性が非常に大きいことから、資源量の動向を推定するには今後のさらなる研究が必要であるとの勧告が出された。


図1

図1. 漁法別漁獲量の年推移(1950-2007) (ICCAT 2008)


表1

表1. 近年の国別漁獲量


図2

図2. 国別漁獲量の年推移(1950-2007) (ICCAT 2008)


図3

図3. 日本の大西洋でのメカジキ漁獲量(1950-2007) (ICCAT 2008)


図4

図4. 大西洋における漁法ごとのメカジキの累積漁獲量 (2000〜2006年の合計)の分布図.青丸がはえ縄漁法、白丸がその他の漁法による漁獲量を示す。 円の大きさは漁獲量の相対的な比を表す。南北の系群は北緯5度(太い線)で仕切られている。 (ICCAT 2008)


図5

図5. 本資源の分布域


図6

図6. プロダクションモデルに使用した3つの資源量指数と漁獲量(ICCAT 2006a)


図7

図7. ブートストラップ法を使ったプロダクションモデル解析で推定されたMSY(上段), B2006/BMSY値(中段), 及びF2005/FMSY(下段). (ICCAT 2006b)


漁業の概要

南大西洋においてメカジキは、1980年代末までは、主に日本・台湾・韓国といったまぐろ類を狙って操業するはえ縄漁業において混獲物として漁獲されてきたために、総漁獲重量は10,000トン未満と少なかった(図1、図2)。1989年からメカジキを主対象として浅縄操業を行なうスペインはえ縄船団が参入して漁獲量が急増し総漁獲量は1995年に21,930トンに達した。これは、一つには努力量が徐々に北大西洋及び他の大洋から南大西洋へとシフトしたことに起因しているが、加えて、ブラジル等の沿岸国が漁獲を伸ばした事にもよる。1995年以降は、規制の導入、努力量の他の大洋への移動、及び主対象魚種の変更によって漁獲量は減少している。2007年の漁獲量は1995年の4割減の15,416トンであり、1995年のレベルに比べて29%低いが、前年の2006年の漁獲量(14,277t)よりも8%高くなっている。但し、2007年の報告漁獲量は現時点での暫定値であり、おそらく実際の漁獲量はこれより多いと予想される(表1)。

大西洋で行われる我が国の漁業において、メカジキは主に熱帯・亜熱帯域で操業するメバチ操業の混獲物として漁獲される。1995年以降メバチの漁場がそれまでの南大西洋から徐々に北大西洋に移行したため、我が国のメカジキの漁獲量も南大西洋で減少した(図3)。この結果、2005年の我が国の南大西洋の漁獲量は480トンと過去最低を記録したが、翌2006年には1,124t,更に2007年には2,461tとここ数年は漁獲量が増加している。


生物学的特徴

ICCATは2006年3月にメカジキの資源構造に関するワークショップを開催した。このワークショップで、地中海、北大西洋、南大西洋にはそれぞれ独立した系群が存在することが再確認された。大西洋におけるメカジキの南北の境界線については、便宜的に北緯5°線が境界として定められている。この境界線の妥当性に関しては、過去にChow and Nohara (2002)がアフリカ沿岸では本系群は北緯15°付近まで分布する可能性を示唆しているが。同様に、ワークショップでは境界線が現行の北緯5度よりも北側に存在する可能性を示唆する報告が複数提出された。しかし、どの研究も使用している標本がカバーする水域や時期が限られており、境界線を変更するには不十分であると判断された。現在の系群境界線を見直すためには、広範な水域及び季節をカバーする十分な量の標本を各国が協力して収集・解析する必要がある。

南大西洋のメカジキの産卵場は熱帯及び亜熱帯域と考えられており、成長したメカジキは、アフリカ沿岸方面やウルグアイ沖合水域に摂餌のために回遊すると考えられている(図4、図5)。

南大西洋のメカジキの年齢、成長、成熟に関して本格的な研究はまだ行なわれていない。


資源状態

本系群に関しては、2006年のICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)メカジキ作業部会に提出された日本、台湾、スペイン、ブラジルのはえ縄漁業のCPUEから推定した資源量指数に基づいて解析が行われた。これら4ヶ国の資源量指数のうち、混獲でメカジキを漁獲している日本・台湾では減少傾向にあるのに対し、主対象で漁獲しているブラジル・スペインでは増加傾向を示す、という様に1990年代中期以降反対の傾向を示しているが、どちらがより正確に資源の状態を反映しているかを判別するには、さらなる研究が必要であると考えられた。それぞれが、資源の異なる部分の変動を示している可能性もあり、それは、2つの漁業の漁獲物体長組成が異なることからも支持されるが、現時点ではあくまで作業仮説であり、今後のデータ収集及び解析によって検証する必要がある。

上記のような可能性を検証するために、@日本・台湾の資源量指数(混獲漁業の資源量指数)をGLMで平均化した資源量指数、Aブラジル・スペインの資源量指数(主対象漁業の資源量指数)をGLMで平均化した資源量指数、及びB4つの漁業の資源量指数全てをGLMで平均化して求めた資源量指数の3つのケースで非平衡プロダクションモデル解析(ASPIC)を行った(図6)。

メカジキを混獲種として操業している漁業のデータから推定した資源量指数(ケース@)を使用して行ったプロダクションモデル解析の結果は、かなり悲観的になった一方、メカジキを主対象としている漁業データから推定した資源量指数(ケースA)を使用して行ったプロダクションモデル解析の結果は楽観的なものとなっている。前者の解析から推定された各種パラメータは現在知られているメカジキの生態等から考えて非現実的な値となっている。一方、主対象漁業のデータから推定した資源量指数の増加傾向は、本漁業の漁獲効率の歴史的な変遷等を十分に補正できておらず、個体群の内的増加率を過大評価しているためと考えられた。そのため、今回の資源評価では、上記2種類の漁業から得られた資源量指数を平均化して求めた資源量指数(ケースB)を用いて、プロダクションモデルによって資源解析を行った。これは暫定的な措置であり、資源評価結果の信頼性を向上するためには更なる調査・研究が必要である。

プロダクションモデル解析の結果は、資源は良好な状態にあり、近年のFはFMSYよりも低く、資源量はBMSYよりも上にある可能性が高いことが示していた。推定されたMSY(約17,000トン)は、最近年の報告された漁獲量よりも9%高くなっている(図7)。

管理方策

資源評価結果には、不明な点が多く、それを明らかにできる十分な調査・研究が行われない限り、漁獲量は、推定されたMSY(約17,000トン)を超えるべきではないと考えられる。

現在大西洋全域について、@下顎叉長125cm以下の魚の混獲率を15%以下に押さえる、A下顎叉長119cm以下の魚の混獲率を0%とする、という2つのオプションを持った最小体長規制がある。2000年の大西洋全体の125cm以下の割合は22%(尾数)で、もしこれに投棄を含むとより高くなると推定される。近年北大西洋で加入水準が高レベルにあると推測されているにもかかわらず小型魚の漁獲割合はさほど上昇していない。

しかしながら漁獲量規制の導入に伴って、混獲されるメカジキの水揚げ量を調節する目的で生きて漁獲されたメカジキを放流し、それらについて詳しい情報を集めていない国が有ることが2006年度の会合で報告された。こうした事は、資源評価の信頼性を低めることに繋がるので、今後改善していく必要がある。

メカジキ(南大西洋)資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
12,630〜15,420トン
平均:13,709トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
480〜2,460トン
平均:1,135トン
管理目標 MSY
目標値 14,133 (12,800 - 14790)トン
資源の現状 おそらくB_2006/B_MSY > 1
おそらくF_2005/F_MSY < 1
管理措置
  • 2008年のTACを17,000トンとする。
  • 小型個体(下顎叉長125cm/体重25kg未満)の水揚げ量を15%以下に抑えるか、下顎叉長119cm/体重15kg未満主対象漁業は0%にする。
  • 日本のはえ縄漁業は、南大西洋におけるメカジキの混獲量を全ての魚の漁獲総重量の8%以下に抑えるよう努力する。
資源管理・評価機関 ICCAT

執筆者

まぐろ・かつおグループ
熱帯性まぐろ類サブグループ
遠洋水産研究所 熱帯性まぐろ研究室

仙波 靖子

遠洋水産研究所 数理解析研究室

余川 浩太郎


参考文献

  1. Chow, S. and K. Nohara. 2003. Further implication on boundary between north and south Atlantic stocks of the swordfish. SCRS/2002/141. ICCAT Col. Vol. Sci. Pap., 55: 1719-1722.
  2. ICCAT. 2006a. 8 Executive summaries on species. 8.8 SWO-ATL-Atlantic swordfish. In ICCAT (ed.), Report of the standing committee on research and statistics (SCRS) (Madrid, Spain, October 2 to 6, 2006). PLE-014/2006. 83-91 pp. http://www.iccat.int/Documents/Meetings/Docs/PLE-014%20EN.pdf (2008年10月31日)
  3. ICCAT. 2006b. Report of the 2006 Atlantic swordfish stock assessment session (Madrid, September 4 to 8, 2006). SCRS/2006/015. http://www.iccat.int/Documents/Meetings/Docs/SCI-040%20EN.pdf (2008年10月31日)
  4. ICCAT. 2008. 8 Executive summaries on species. 8.8 SWO-ATL-Atlantic swordfish. In ICCAT (ed.), Report of the standing committee on research and statistics (SCRS) (Madrid, Spain, September 29 to October 3, 2008). 108-118 pp. http://www.iccat.int/Documents/Meetings/Docs/2008_SCRS_ENG.pdf