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21 メカジキ 北太平洋

Swordfish

Xiphias gladius

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最近一年間の動き

北太平洋のメカジキ資源については、2009年に資源評価を行うことが予定されている。


利用・用途

切り身はステーキや煮付けなどに利用され、また刺身あるいは寿司として消費される。


図1

図1. ISCに報告された北太平洋の国別漁獲量


表1

表1. ISCに報告された北太平洋の近年の国別漁獲量 (トン)


図2

図2. 北太平洋における我が国の漁業種別漁獲量


図3

図3. 太平洋におけるメカジキの分布域(黒)と北太平洋に おけるメカジキの漁場(青) 点線は、資源解析に使用した境界線を示す。


図4

図4. アーカイバルタグから得られた親潮前線域でのメカジキの日周鉛直移動データは1999年8月6日〜10日のもの。赤線が水深、水色線が水温を示す。


表2

表2. 推定された雌雄別の年齢別下顎前長(cm)


図5

図5. アーカイバルタグで得られた親潮前線域におけるメカジキの水温帯別(上図)及び水深帯別(下図)昼夜分布パターン


図6

図6. 雌雄別の成長曲線(Sun et al . 2002)


図7

図7. 日本の遠洋・近海はえ縄漁業のCPUEを標準化して推定した資源量指数 (Ichinokawa and Yokawa, 2007)。赤三角は北太平洋中西部、黒四角は北太平洋西部、灰色四角は北太平洋中部の資源量指数を表す。


図8

図8. ハワイのはえ縄漁業のCPUEを標準化して推定した資源量指数(四半期ベースで推定している)(W. Walsh 2007)。


図9

図9. 日本の沿岸はえ縄漁業のCPUEを標準化して推定した資源量指数 (Yokawa, 2007)。


図10

図9. 台湾の遠洋はえ縄漁業のCPUEを標準化して推定した資源量指数 (Yeh et. al., 2007)。黒丸が標準化したCPUE、白丸が標準化する前のCPUEを表す。


漁業の概要

2007年のISCメカジキ作業部会データ準備会合で、北太平洋の漁獲データの集計を行った。北太平洋に於けるメカジキ漁獲は、1960年前後に2万トンを上まわったが、その後急激に減少し、1万トン前後に落ち込んだ。こうした総漁獲量の変動は、日本の漁獲量の変動を反映しているが、日本の漁獲量自体は1970年代中旬から漸減し続け、近年では7〜8千トンとなっている。総漁獲量は、1980年代に米国が、1990年代に台湾が漁獲量を増加させたために、増加傾向をして示しており、1万5千トンを上まわっている。

北太平洋におけるメカジキの主要漁獲国は日本で、1970年代には全体の9割程度を漁獲していたが、近年、米国や台湾の漁獲量が増加したため、全体に占める割合は5〜6割程度にまで落ち込んでいる。特に台湾は近年急激に漁獲を伸ばしているが、これは近海・遠洋はえ縄漁業の増加によるものである。また、近年のメカジキの漁獲量推定値は不完全で、図1及び表1のデータには、フィリピンや中米諸国等による漁獲が含まれていない。

図2に北太平洋の我が国の漁業種別漁獲量を示す。漁獲量は、1980年代後半に1万トンを超えるまでに増加したが、1994年以降一貫した減少傾向を続け、2001年には6,800トンにまで減少した。これは、遠洋・近海はえ縄による漁獲の減少によるものである。漁業種別の漁獲量では遠洋・近海はえ縄が全体の7割以上を占め、残りを沿岸はえ縄、突きん棒、大目流し網等が漁獲している。大目流し網による漁獲は1980年代には1,000トンを越える時期があったが、1992年のモラトリアム以降、操業水域が我が国200海里内に限られたため漁獲量は急激に減少し500トン以下にまで落ちこんだ。しかしながら、近年その漁獲量は増大傾向にあり、2001年には730トンを漁獲している。突きん棒の漁獲は1980年代には200トン前後であったが、その後増加し1990年代後半には350〜600トンとなった。しかし再び減少し2006年には244トンとなっている。

台湾はによるメカジキの漁獲は1964年以降のものがISCに報告された。メカジキは主に、遠洋・近海はえ縄漁業によって漁獲されており、両者共に近年大きく漁獲量を伸ばしている。限られた情報によると、台湾は1964年よりも前にもメカジキを漁獲していた可能性があるため、今後データを整備していく必要がある。 米国は、ハワイ基地のはえ縄漁業でメカジキを漁獲している。当該漁業は1980年代の終わりに始まり急速に成長し、1993年には6,000トンを漁獲した。2000年には125隻(内57隻がメカジキを主対象として操業)が操業して3,000トンを漁獲した。1999年の初頭に海亀混獲を削減するための規制がハワイのメカ縄操業に設定された。これらの規制は2001年に発効され、この規制によりハワイを基地とする米国のはえ縄漁船は赤道以北でのメカジキを対象とした操業を禁止された。この結果、多くのはえ縄漁船がハワイを去り、規制を受けないカリフォルニア基地の船団に合流した。このカリフォルニアのはえ縄船団は1991年に設立され、1999〜2000年に急速に成長し、結果としてメカジキの漁獲量も増加した(2000年の漁獲量は1,900トン)。ハワイのメカジキを対象としたはえ縄漁業は2005年に条件付き(海亀のクォータ及びオブザーバーの全船受け入れ)で再開している。


生物学的特徴

【分布と回遊】

漁場は亜熱帯収斂線と極前線の間に稚魚の採集結果及び季節別の漁場の移動から、南北回遊を行っていると考えられている。産卵場は小笠原諸島沖合とミッドウェー諸島周辺水域が知られているが、それ以外の熱帯亜熱帯の広い水域で産卵が行われていると思われる(図3)。主産卵期は3月から7月頃であるが、産卵活動はほぼ周年行われていると考えられている。

他の海域のメカジキ同様、北西太平洋のメカジキも日周鉛直移動を行うことが、アーカイバルタグ調査によって確認されている(図4)。それによると、メカジキは日出前に深層へ潜水し、日没後に表層へ浮上する。また、夜間は水温に依らず表層20 m以浅に滞在しているのに対して、昼間は水深に依らず水温3〜6℃の水帯に分布していることが示唆されている(図5)。


【成長と成熟】

北西太平洋のメカジキの成長に関する研究は、古くから多くの研究者によって行われているが、一番新しい報告はSun et al.(2002)が臀鰭第2棘を用いて行った研究であり(図6、表2)、他の研究もほぼ同様の結果が得られている。他の海域同様、雌の方が早く成長し大型になる。下顎全長2 m以上の個体はほとんど雌だけである。50%成熟下顎全長は、ハワイ沖では雄で117 cm(3歳)、雌で162 m(6歳)と報告されている(DeMartini et. al. 1999)。


【資源構造】

太平洋のメカジキの資源構造に関しては、はえ縄漁業のCPUE分布、稚魚の採集状況、DNA解析などによって研究されている。主産卵場は、少なくとも北西太平洋・東部太平洋・南西太平洋の熱帯から亜熱帯域に存在し、南半球と北半球では主産卵期がほぼ半年ずれている。主漁場は、東沖水域・ハワイ北方水域・カリフォルニア沖・チリ沖・オーストラリア南東沖の5ヵ所に存在するが、隣接する漁場間では多少なりとも個体の交流が起こっている可能性がDNA解析によって示唆されている。現在ISCでは、それは東部太平洋系群とは異なる系群であるとして資源解析が行われているが、ハワイ沖で標識放流した個体がカリフォルニア沖で再捕された例もあり、更なる研究が必要である。

2006年のISCメカジキ作業部会データ準備会合では、少なくとも北太平洋域のメカジキは一つの資源として扱うことで合意したが、東部太平洋域熱帯域でメカジキの漁獲分布に明瞭な不連続域が認められないことから、資源評価を行う前に系群構造について再度見直すことを決めている。


資源状態

2007年3月に行われたISCメカジキ作業部会には、日本の遠洋・近海はえ縄(中西部北太平洋温帯域)、日本の沿岸はえ縄(北西太平洋)、台湾の遠洋はえ縄(中西部北太平洋温帯域)、ハワイのはえ縄(中部北太平洋温帯域)の4つの漁業のCPUEを標準化して求めた資源量指数が報告された(図7〜10)。これらは、カバーする水域、標準化の手法及び結果の信頼性に大きなバラツキがあるものの、いずれも近年の資源量指数のトレンドには大きな変化がなかったことを示していた。これらの結果は、本資源の資源状態が近年安定していることを示していると考えられる。


管理方策

本資源を対象とした規制処置は現在存在していない。しかしながら、中西部南太平洋のメカジキ資源を対象とした漁業に規制が導入されているので、今後、この規制を逃れるために漁場を北太平洋に移してメカジキを対象とした操業を行う漁船が出てくる事が無いように、漁業の動向を注意深くモニターしていく事が望まれる。


メカジキ(北太平洋)資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
11,200〜14,600トン
平均:13,700トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
7,800〜9,100トン
平均:8,200トン
管理目標 検討中
資源の現状 近年は資源状態に大きな変化はない
管理措置 なし
資源管理・評価機関 ISC, WCPFC

執筆者

まぐろ・かつおグループ
熱帯性まぐろ類サブグループ
遠洋水産研究所 数理解析研究室

余川 浩太郎


参考文献

  1. Chang S.-K., and S.-P. Wang. 2005. Recent status of Taiwanese tuna fisheries in the North Pacific Region for 2003. ISC/05/Plenary/8. 12 pp.
  2. Dreyfus, M., L. Fleischer, H. Robels and P. Ulloa. 2005. Mexican progress report to the 5 ISC (Tokyo, Japan, March 28-30/2005). ISC/05/Plenary/2. 14 pp.
  3. ISC. 2004. Report of the swordfish working group. ISC4/2004/07. 24 pp.
  4. Koh, J., K. Choi and D. Moon. 2005. Korean National Reports to 5th ISC. By-catch of pacific bluefin tuna in the waters off Korea. 7 pp
  5. Ogura, M. 2005. National report of Japan. ISC/05/Plenary/3. 13 pp.
  6. Pacific Islands Fisheries Science Center NOAA and Southwest Fisheries Science Center NOAA. 2005. U.S. national report to the 5th ISC. On fisheries and research for tuna and tuna-like species in the North Pacific. ISC/05/Plenary/5. 32 pp.
  7. Sun, C., S. Wang and S. Yeh. 2002. Age and growth of the swordfish (Xiphias gladius L.) in the waters around Taiwan determinded from anal-fin rays. Fish. Bull. 100, 822-835.
  8. Walsh, W. 2007. Observed Swordfish (Xiphias gladius) Catch Rates in the Hawaii-based Longline Fishery, 1994-2006. ISC/07/MARWG & SWOWG-1/07.
  9. Ichinokawa, M. and K. Yokawa 2007. Updates of standardized CPUE of swordfish caught by Japanese offshore and distant longliners in the North Pacific. ISC/07/MARWG & SWOWG-1/10.
  10. Yokawa, K. 2007. Preliminary analysis of CPUE of swordfish caught by Japanese coastal longliners in the northwest Pacific. ISC/07/MARWG & SWOWG-1/09.
  11. S.Z. Yeh, C. L. Sun, S. P. Wang and Y. J. Chang 2007. Standardization of Taiwanese distant water tuna longline catch rates for swordfish in the North Pacific Ocean. ISC/07/MARWG & SWOWG-1/08.