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19 メバチ 大西洋

Bigeye Tuna

Thunnus obesus

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最近一年間の動き

本種の資源評価が、最近行われたのは2007年である。2007年の漁獲量は、ほぼ前年並みであったが、内訳を見ると、はえ縄は増加、まき網・竿釣は減少傾向を示した。


利用・用途

刺身・すし・缶詰・魚肉ソーセージの原料などに利用されている。


図1a
図1b

図1. 大西洋における漁法別(上図)および国別(下図)のメバチ漁獲量 (1950〜2007年)(データ:Anon. 2008)


表1

表1. Cayre and Diouf(1984、左)およびHallier et al. (2005、右)による年齢−尾叉長の関係


図2

図2. 主要なまぐろ漁業による大西洋におけるメバチの漁獲分布 (2003~2005年)(Anon. 2007a)


図3

図3. 大西洋における日本の漁獲努力量の分布 (Fisheries Research Institute for Far Sea Fisheries 2008)


図4

図4. 大西洋におけるメバチの分布


表2

表2. Parks et al. (1982)による尾叉長−体重関係


図5

図5. アーカイバルタグに記録されたハワイ近海におけるメバチの 日周鉛直行動(Spalding and Sibert 1998から転載) 青:深度変化、赤:水温変化、緑:体温変化


図6

図6. 標識放流(Cayr? and Diouf 1984)、脊椎骨(Alves et al. 1998) および耳石(Hallier et al. 2005)から推定されたメバチの成長式


図7

図7. 各種解析に用いた日本、台湾、米国、ブラジルはえ縄、 アゾレス諸島竿釣りの資源量指数およびそれら5つを結合した資源量指数 (Anon 2007b 改変)


図8a
図8b

図8. ASPICで推定されたB/B_MSYとF/F_MSYの年変化。 2007年以降の漁獲量は、85,000トンを仮定(Anon 2007b)


図9

図9. 1961~2005年について、Fox model(m=1)、年齢階級を5に固定して パラメータを推定した際のPRODFITの当てはまり(Anon 2007b)


図10

図10. 日本の延縄漁船のデータから算出した大西洋全域における メバチの資源豊度指数の傾向 (Okamoto 2007改変)


図11

図11. 現在の漁獲状態の場合、および小型魚の漁獲規制が完全実施 された場合におけるY/RとSPR (Anon. 2005)


図12

図12. 2006年の漁獲を71,020トンと仮定し、その後の漁獲を6万から 12万トンに固定した場合にASPICで予想される資源量変動 (Anon. 2007b)


表3

表3. 2004年のICCAT行政官会議で決定された2005〜2008年における メバチのTACおよび主要漁獲国の漁獲枠(単位:トン)


漁業の概要

大西洋において、メバチは主にはえ縄、竿釣り、まき網によって漁獲されてきた(図1上図)。主として成魚を漁獲するはえ縄漁業が漁獲の大部分を占めてきたが、大西洋は他の大洋と異なり、従来からまき網や竿釣りによる漁獲が比較的多い。まき網漁業がFADs(人工浮魚礁)操業を開始した1991年以降、小型魚漁獲が増加した。総漁獲量も同様に増加し、1994年には過去最高の13万トンに達したが、その後徐々に減少して、1997年には約10.9万トンとなり2000年まで10万から13万トンで推移した。その後10万トンを割り込み、2007年(暫定値、以下同様)の漁獲量はピーク時の約半分の67,172トンである(付表1)。この1995年以降の減少はまき網(最高時から61%減)、竿釣り(55%減)及びはえ縄(46%減)による。2007年現在、はえ縄漁業の漁獲は依然として全体の過半数(約63 %、4.2万トン)を占めており、その比率は近年減少していたが、2007年には前年(約52 %、3.5万トン)より増加した。図2に主要漁具によるメバチの漁獲量分布を示した。主要漁具により漁獲されるメバチの平均体重は、はえ縄で45〜50 kg、竿釣りで20〜30 kg、まき網で3〜4 kgである。

現在、大西洋における我が国の漁業ははえ縄漁業のみであり、まき網及び竿釣り漁業はそれぞれ1992年、1984年に操業を停止している。

【はえ縄漁業】

現在、大西洋における主要なはえ縄漁業国は日本と台湾であり、近年、両国のメバチ漁獲は大西洋における本種全漁獲の30-45 %を占めている(図1下図)。1956年に参入した日本のはえ縄漁業は、当初キハダとビンナガを漁獲対象としていたが、その後、急速冷凍技術の導入により、1970年代半ばからメバチの刺身材料としての需要が高まり、本種が主要な漁獲対象になるとともに、日本のはえ縄の漁獲努力は次第に大西洋東部に集中していった。大西洋への参入以来、努力量は増加を続け1970年代にはおよそ4,500万鈎となり、1996年にはピークの1.2億鈎に達したが、その後減少し、2006年には8,200万鈎となっている(図3)。日本はえ縄によるメバチの漁獲は1960年代と1970年代にはおよそ15,000トン、1980年代には25,000トン、1990年代初期には35,000トンと増加を続けたが、1990年代後半に急激に減少し、2004年には17,137トン、2005年には14,026トンとなったが、その後、2006年は16,440トン、2007年は18,443トンと、若干であるが増加している。一方、台湾のはえ縄漁業は1960年代初頭に参入し、1990年頃からメバチが主要対象魚種のひとつになっている。漁獲量は1960年代後半でおよそ8,000トン、1979〜1980年代に数千トンに減少したが、1994〜1997年に20,000トンに達した。1998年以降、台湾の漁獲枠は16,500トン、隻数枠125隻に設定された。台湾の報告では、2004年の漁獲量は17,717トン、2005年の漁獲量は11,984トンであるが、後述するように、過剰漁獲をはじめとするルール違反の操業により2006年の漁獲量、操業許可隻数共に制限された(2006年の漁獲量2,965トン)。2007年には規制が解除されたため、12,116トンに回復した。日本、台湾両国に加えて、中国とフィリピン(台湾の便宜置籍船)のはえ縄船がそれぞれ1993年と1998年に操業を開始した。中国のメバチ漁獲量は、1998年から1999年にかけて急増しており(1997年の427トンから1999年には7,210トン)、その後は5,800トンから7,900トンの間で変動している。便宜置籍船は1980年代前半から出現し、次第に増加していった。そのメバチ漁獲量は1998年ではおよそ25,000トンと見積もられているが、便宜置籍国であるパナマ、ベリーズ、ホンジュラスなどからの輸入禁止措置によりその後急激に減少し、2002年には統計上はほぼ消滅している。このICCATにおける便宜置籍船の漁獲量の推定は、日本の輸入統計を用いて行われている。

【まき網漁業】

まき網漁業は主にEU(ヨーロッパ連合)、特にフランスとスペインのまき網漁業が主体であり、近年規模を増加させているガーナのまき網を含め、主に東部大西洋のギニア湾を中心に操業が行われている(図2)。1990年代には71隻が操業していたEUまき網船は、1998年以来40〜45隻に減少している。このEUまき網船は付き物(もしくはFADs)群もしくは素群に対する操業、の2タイプの操業を行うが、近年では、全操業の35〜50 %が付き物群に対する操業である。2007年におけるまき網によるメバチ漁獲量は13,150トンであり、1991年以来急増したFADs操業による漁獲が多くを占めている。

【竿釣り】

竿釣りは主に、ガーナ、セネガル、アゾレス、マデイラ、カナリア諸島で操業が行われているが(図2)、メバチ漁獲に関しては後三者では小型から大型まで、セネガルでは中型以下が、ガーナでは主に小型の漁獲が主体である。一方、西部大西洋においてはブラジルが主要な竿釣り漁業国であるが、カツオのみを狙っての操業を行っている。竿釣りの漁獲量はまき網と同様、最近10年では8,000〜26,000トンの間で大きく変動している。2007年の漁獲量は11,549トンであり、2006年(14,671トン)から減少した。


生物学的特徴

【水平・鉛直分布】

大西洋においてメバチは、北緯50度から南緯45度にかけてのほぼ全域に広く分布している(図4)。本種は他のまぐろ類よりも生息水深が深いことが知られているが、近年のアーカイバルタグ及びピンガー追跡の結果から、夜間は50 m以浅の表層付近に分布し、昼間は水温躍層かそれ以深のより深い水深帯に分布するという顕著な日周行動を行うことが主として太平洋における調査によって明らかになってきた(PFRP 1998、Schaefer and Fuller 2002、Musyl et al. 2003、Matsumoto et al. 2004、図5)。

【繁殖】

メバチの卵は分離浮性卵で油球が一個あり、受精卵の卵径は0.8〜1.2 mmである。産卵は稚魚の分布から、熱帯・亜熱帯域の水温24 °C以上のほとんどの水域でほぼ周年行われていると考えられているが、大西洋における産卵や稚魚の分布に関する情報は少ない。他水域の情報から大西洋においても本種は多回産卵型の産卵を行い、産卵期にはほぼ毎日産卵し、産卵は夜間に行なわれるものと推察される(Matsumoto and Miyabe 2002)。生物学的最小形は90〜100 cm、14〜20 kg(3歳)と考えられ、120 cmを越えると大部分が成熟する。

【成長】

大西洋における本種の成長については、Cayr? and Diouf (1984)が標識放流から、Alves et al. (1998)が脊椎骨を用いて、及びHallier et al. (2005)が耳石日周輪の読み取りにより成長式を推定している(図6)。2004年の資源解析においては、Cayr? and Diouf (1984)及びHallier et al. (2005)の成長式が、2007年の資源解析においてはHallier et al. (2005)の成長式が用いられており、以下に両者の式を、表1に両式から推定された各年齢における尾叉長を示した。

本種の寿命は知られていないが、太平洋のサンゴ海における標識再補の結果から、15歳を超えるメスが確認されている。

大西洋における体長-体重の関係式はParks et al. (1982)の次式が主に 資源解析に用いられている。


          W=2.396*10^(-5)*FL^2.9774
          W: 重量kg、FL;尾叉長
この式から求められる各尾叉長における体重を表2に示した。
【回遊】

漁業から得られた知見から、主にギニア湾を中心とした熱帯で生まれた稚魚は海流に乗りながら、もしくは遊泳しながら移動し、多くは熱帯や亜熱帯に留まるものの、一部は温帯域へ索餌回遊を行い、成熟に達したら産卵に適した水温の高い水域に戻るのではないかと想定されている。しかし、熱帯域にも広く小型から大型の個体が常時分布しており、特定の索餌域や産卵域が本種にあるかは不明である。メバチの小型魚は表層においてキハダやカツオの小型魚と群れを形成するが、成長するとそのような傾向は見られなくなる。また、他水域のメバチ同様に適水温はキハダよりやや低く、従って分布も南北方向及び鉛直方向にキハダよりやや広い。

【性比】

本種の性比に関して、年齢が増すに従って雄の比率が高くなることが知られている。2002年に報告されたはえ縄漁獲物の性比比較では100 cm未満、160 cm以上のいずれのサイズにおいても雄の比率が高く(Miyabe 2003)、また70〜200 cmの体長範囲を比較したまき網漁獲物の観察においても、雄が卓越している(Roberto et al. 2003)。

【食性】

本種の胃中には魚類や甲殻類、頭足類等幅広い生物が見られ、それほど特異性はないようである。しかし、他のまぐろ類に比べてハダカイワシやムネエソ等の中深層性魚類が多い。

【捕食者】

稚仔魚期には、魚類に限らず多くの外敵がいるものと思われるが、あまり情報は得られていない。遊泳力が付いた後も、まぐろ類を含む魚食性の大型浮魚類による被食があるが、50cm以上に成長してしまえば、外敵は大型のかじき類、さめ類、歯鯨類等に限られるものと思われる。

【系群】

現在、大西洋のメバチに複数の系群の存在は知られていないが、インド-太平洋のメバチとは遺伝的な差異が報告されている(Chow et al. 2000)。ミトコンドリア調節領域を用いた解析では、インド洋から大西洋への遺伝子流動が生じた可能性が指摘されている(Martinez et al. 2006)。


資源状態

最新の本種に関する資源解析は2007年に様々なプロダクションモデル(ASPIC、PRODFIT、BSP: ベイジアン余剰生産モデル)、コホート解析(VPA)、統合モデルを用いて行われた。それらの方法および結果を紹介する。

【豊度指数】

各種資源評価に使用された豊度指数は、標準化された日本、台湾、ブラジル及び米国のはえ縄、アゾレス諸島竿釣りCPUE(いずれも重量ベース)を結合したものである(図7)。モデルによって異なるが、感度テストとして台湾のはえ縄のCPUEのみを用いた場合や台湾のはえ縄もしくはアゾレス諸島の竿釣りのCPUEを除外した場合、2003年までの漁獲量およびCPUEデータを使用した場合、各CPUEを結合せずに個別に使用した場合、もしくは、漁獲量に応じたCPUEの重み付けの有無などが試された。日本のはえ縄のCPUEの標準化に際しては、年齢込みのCPUEに関して、lognormal誤差分布モデルのGLM(一般化線型モデル)を用いた(Okamoto 2008)。それぞれのモデルに用いた説明変数は、年、月、緯度5度、経度5度、幹縄材料、枝縄材料、浮縄間の鈎数、表面水温及びそれらの交互作用である。標準化された日本のはえ縄のCPUEにおいて、1970年代後半から、増減はあるものの基本的には一貫した減少傾向が認められる。

【プロダクションモデル】

ASPIC: 各CPUEを結合したインデックスを用い、生産曲線のシェィプパラメータ(m)を2 (Schaefer model) で固定したものが、ベースケースとされた(図8)。得られた結果は、現在の資源状態は過剰漁獲状態ではなく、改善の兆しを示す(current B/BMSY=0.918、F/FMSY=0.871)ことが示唆された。MSYは90,820トン(80%の信頼限界が68,080~98,940 トン)であり、解析時現在最新(2005年)の漁獲量である71,000 トンよりも大きく推定された。

PRODFIT: 推定に用いた努力量には、総漁獲量を、上記の5つのCPUEを結合(重み付けあり、およびなし)した重量ベースのCPUEで割ったものを用いた。シェープパラメーターmは、1(Fox model)、2(Schaefer model)に固定もしくは推定(Pella-Tomlinson model)とし、漁業に貢献する年齢階級の数を5とした。その結果、推定値はケース間で比較的類似しており、MSYは110,000-120,000トン、2005年におけるF-ratioは0.8-1.6(1例を除いて、0.8-1.2)と推定された(図9)。2005年における漁獲量(解析時現在)は、MSYレベルの59-65%と推定され、やや楽観的な結果となった。

BSP: ベイズ型余剰生産モデル:上記の5つのCPUEを漁獲量によって重み付けして結合したものおよびCPUE、漁獲量を別々に使用したものを基本ケースとして、ベイズ型の推定方法を取り入れたSchaefer余剰生産モデルの応用を試みた。基本ケースで得られた推定値は、B/BMSY:0.599-1.494、F/FMSY:0.419-1.436と、ケース間でかなりの差が見られた。推定されたMSYは86,194 - 144,579 トンであった。ASPICによる最終的なベースケース(全てのCPUEを用いたCombined index使用)と同じindexを用いた解析(Base case 1)では、MSYの推定値が9.3万トンと、ASPICベースケースによる結果(9.1万トン)と類似していた。

大西洋におけるメバチの総漁獲量は1993年から1999年の間MSYレベルを上回り、これが資源量のかなりの減少をもたらし、その後の漁獲量の低下を招いたものと思われる。また、これらの各種プロダクションモデルの結果は、現在の資源量がほぼMSYレベルの資源量付近にあり(85〜107 %)、現在の漁獲死亡率(F)もまたMSYを達成する漁獲死亡率の73〜101 %の範囲にあることが示唆された。これらの評価値からは、現在の資源状態は過剰漁獲状態を脱したことを示すかに思えるが、その漁獲量及び漁獲分布から本種の主要漁獲漁業であるはえ縄漁業のCPUEは、依然として減少を続けており(Okamoto 2008)、楽観は許されず、注意深く推移を見守る必要があろう(図10)。

【VPA】

年齢組成を考慮した解析の1つとしてVPAによる解析が試みられた(使用ソフトはVPA-2BOX Ver.3.01)。豊度指数は、日本、台湾、米国、ブラジルのはえ縄、アゾレス諸島の竿釣り、EUのまき網CPUEを用い、成長式にはHallier et al. (2005)を用い、ランダムウォークによってF-ratioを推定し、2003−2005年の加入量の標準偏差には制約(0.4)がかけられ、ターミナルFは、1、4、5、6歳は推定、0、2、3歳は固定したものがベースケースとされた。その結果、資源量は1980年代半ば以降減少、親魚資源量は2000年まで継続的に減少し、その後はMSYを与えるレベルで安定、加入量は変動しながらもほぼ一定であり、漁獲死亡率は1990年ごろから上昇して、最近は、乱獲もしくはそれに近いレベルである(およそ1.0ないしそれ以上)ことが示唆された。VPAによる解析結果は、F-ratioとターミナルFの仮定により変動が大きいので、これらのパラメーターについてさらに検討する必要があるとされた。

【MULTIFAN-CL】

2004年のメバチ資源評価で大西洋の資源に初めて適用されたMULTIFAN-CLが、今回も使用された。2004年の会議時の解析結果に基づき、成長式を固定(最初の8四半期を除く、Hallier et al., 2005)、自然死亡係数を推定、標識魚は2四半期で非標識魚と混合、初期資源サイズの推定には、最初の10四半期の漁獲死亡係数の平均を使用したものがベースケースとされた。その結果、MSYが116,800トン、親魚資源量(SSB)とSSBMSYの比は1.01、漁獲死亡率FとFMSYの比は0.66という、やや楽観的な結果になった。これらの結果は、資源管理の勧告のためには使われなかったものの、有用であるとされた。

【VPAとSPR】

2004年の資源評価において、VPAから得られた年齢別の漁獲死亡率を用いてY/R、SPR解析を行った。現在の漁獲状態の場合、及び小型魚の漁獲規制(3.2 kg以下の小型魚の漁獲を全メバチ漁獲の15 %未満にとどめる)が完全に実施された場合の2ケースにおいて解析を行った。小型魚の漁獲規制が実施されれば、1歳魚のFが50%減少し、0歳魚のFが0になると仮定したところ、漁獲規制によりY/R、SPRがそれぞれ3 %と28 %増加すると推定された(図11)。

【将来予測】

プロダクションモデル(ASPIC、BSP)およびVPAで求められたパラメーターを用い、漁獲量を一定に設定して将来予測を行った。2006年の漁獲量は2005年と同レベル(ASPIC:71,020トン、BSP:71,000トン、VPA:68,300トン)もしくは120,000トンと仮定した。いずれのモデルの場合も結果は類似しており、9万トンを超える漁獲を続けると資源は減少し、8万トンよりも漁獲を低く抑えれば資源は増加すると予測された(図12)。

2007年の資源評価で推定された各種パラメータをまとめると、以下のとおりである。


              MSY: 90,000〜93,000トン 1)
              2005年の漁獲量: 72,738トン2)
              Replacement Yield:2006年 MSYよりやや低い値1)3)
              相対資源量(B2006/BMSY): 0.92 1)
              相対漁獲死亡率(F2005/FMSY):0.871)
                            1) 種プロダクションモデルによるポイント推定の範囲。
                            2) 暫定値であり、将来変わりうる値である(評価の際には71,000トンであった)。
                            3) 具体的な数値は示されていない。

管理方策

「3.2kg未満の小型魚の漁獲尾数は全体の15%以下とする」という勧告が1979年に採択された。しかし小型魚の割合は、およそ55%ないしそれ以上に達し、遵守されず、2006年に廃止された。近年のまき網漁業の小型魚漁獲増を鑑み、フランス・スペインのまき網船等がギニア湾において11月から1月の3ヶ月間、全ての流れ物操業を禁止する自主的規制を1997年末期から実施した。この自主規制は1999年からはICCATの規制となったが、2005年より、上記のサイズ規制と3ヶ月間の流れ物操業の禁止に替えて、11月の1ヶ月間、ギニア湾の一部におけるすべての表層漁業の操業を禁止する措置が実施されている。漁獲努力量削減を目指して、大型漁船の登録・同時操業隻数の凍結が1998年に決定されている。また、漁獲量規制について、2000年にSCRSに報告した1999年のメバチ漁獲量が2,100トンよりも多かった主要漁業国について、その漁獲枠が1991年と1992年の漁獲量の平均に設定された。2004年のICCAT行政官会議において、2005年から2008年のメバチ保存管理措置(主要漁獲国の漁獲枠、漁獲能力制限)が合意された。ICCATでは、総漁獲量が8.5万トンを超えないよう勧告している。漁獲能力制限(24m以上の大型漁船の隻数制限)については、中国45隻(はえ縄、昨年まで60隻)、パナマ3隻(まき網)、台湾98隻(はえ縄、昨年まで125隻)、フィリピン8隻(はえ縄、昨年まで5隻)とし、その他の主要漁獲国については、現行措置(1991年及び1992年の平均隻数に制限)が維持される。本種のTAC及び主要漁獲国の漁獲枠は表3の通りである。

中国及び台湾はこれまでの超過漁獲分を返済するため、各々2,500トン、8,000トンを2005年から5年間(各年各々500トン、1,600トン)を漁獲枠から差し引くこととされた。また、2004年ICCAT年次会合において、我が国から、台湾の大型マグロはえ縄漁船によるメバチ漁獲物の付け替え問題を提起したところ、台湾はその実態を認めた。本件については、ICCAT措置の効果を減殺したとしてこれを特定し、本年は台湾に協力的非加盟国の地位を付与することとなったが、来年会合で改善がない場合、制裁措置の対象とすることとされた。2005年のICCAT年次会合において、台湾の過剰漁獲及び漁獲海域の付け替え行為に対し、2006年の台湾漁船の協定海域におけるメバチ漁獲量は、他漁業における混獲量を含めて4,600トン、メバチを専門に漁獲する漁船数を15隻に制限する措置がとられた。この他、2006年末までに40隻のスクラップや大西洋におけるメバチ漁獲の四半期報告の提出、オブザーバー乗船等の規制が加えられることとなった。この付け替えによる超過漁獲量によっては、2004年に行われた資源評価の結果にも影響することが懸念される。ICCATでは、IUU(違法・無規制・無報告)漁業を許さないとの観点から、旗国の責任を全うしていない国からの輸入を禁止している(例えば、シエラレオネ、セントビンセント、カンボジア、赤道ギニア)。なお、IUUによる漁獲は、2003年以降ないとされている(Anon. 2007a)。さらに、2002年4月から、統計証明制度(輸入には漁業国の証明書が必要)が開始されている。


メバチ(大西洋)資源の現況(要約表)

資源水準 低位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(過去5年間)
6.5〜9.2万トン
平均7.8万トン
我が国の漁獲量
(過去5年間)
1.5~2.0万トン
平均:1.7万トン
管理目標 MSY:9.0〜9.3万トン
(2007年の漁獲量:6.7万トン)
資源の現状 F/F_MSY=0.87
B/B_MSY=0.92
RY=MSYよりやや低い値
管理措置 *ギニア湾11月における表層漁業(まき網、竿釣り)の全面禁漁
*主要国の漁獲枠の設定、漁獲能力制限
*統計証明制度
*オブザーバー調査実施
資源管理・評価機関 大西洋まぐろ類保存委員会(ICCAT)

執筆者

まぐろ・かつおグループ
熱帯性まぐろ類サブグループ
遠洋水産研究所 熱帯性まぐろ研究室

松本 隆之

参考文献

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