--- 要約版 ---

04 クロマグロ 太平洋

Pacific Bluefin Tuna

Thunnus orientalis

                                                        PIC
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図

日本周辺における主な漁場分布


図

太平洋クロマグロの主な分布と回遊


図

太平洋クロマグロの体長・体重と年齢との関係


図

日本の漁法別漁獲量の推移(1952-2007)


図

国別漁獲量の推移(1952-2007)


図8a 図8b

図8. 2008年の資源評価で推定された太平洋クロマグロの総資源量(白抜きの三角)と 産卵親魚量(黒の四角)(上図)、及び、加入量(白抜きの四角、下図)の推定値の中央値。上下の点線は推定値の 80%信頼区間、また緑色の実線は最尤法による点推定値。推定値の信頼区間及び中央値はパラメトリックな ブートストラップ法により計算した。



クロマグロ(太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
約18,000〜27,000トン
平均:約24,000トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
約11,000〜20,000トン
平均:約14,000トン


管理・関係機関
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC), 北太平洋におけるまぐろ類及びまぐろ類似種に関する国際科学委員会(ISC), 全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC),

最近一年間の動き
2007年の総漁獲量(暫定値)は1.8万トンで、2002から2006年の平均漁獲量2.3万トンの約7割に留まった。特に2007年の東部太平洋のまき網による漁獲が2006年の半分以下の約0.4万トンに減少した。資源評価は2008年5月のISCクロマグロ作業部会において更新され、2006年の親魚資源量は、1952から2005年に推定された親魚資源量の中間的なレベルにあるものの、現状以上の漁獲圧の増加は将来の資源水準の減少を引き起こす可能性が高いことが示された。この資源評価の結果を受けて、9月に行われたWCPFCの北委員会では、太平洋クロマグロへの漁獲努力量を現状以上に上げないことが求められた。

生物学的特性
  • 寿命:20歳以上
  • 成熟開始年齢: 3歳
  • 産卵期・産卵場:日本南方〜フィリピン沖で4〜7月、日本海で7〜8月
  • 索餌場:温帯域
  • 食性:魚類、甲殻類、頭足類、他
  • 捕食者:まぐろ類、シャチ、さめ類

利用・用途
刺身・すしなど

漁業の特徴
本種の漁獲の大半はまき網漁業によるものであるが、まき網以外の様々な漁法でも、台湾東方沖から日本周辺および三陸沖において漁獲が行われている。沿岸では、ひき縄や定置網漁業により周年にわたって主に未成魚が、沖合では、まき網漁業により夏季から秋季に未成魚や成魚が、春季の台湾東方沖から奄美諸島周辺域にかけては、はえ縄漁業により大型の成魚が漁獲されている。1990年以降には東シナ海から日本海南西部においてまき網漁業による未成魚の漁獲が増えている。東部太平洋では5〜10月に主にメキシコがまき網により漁獲しており、そのほとんどがメキシコでの蓄養原魚となっている。日本では0歳魚を用いた蓄養(養殖)が行われている。

漁業資源の動向
年間総漁獲量は9千〜4万トンの間を周期的に変動している。近年では1981年に3万5千トンを記録した後、1988年に9千トンまで落ち込んだ。1990年代以降は2万トン前後で安定している。2003〜2007年の漁獲量は、西部太平洋で1万4千〜2万2千トン、東部太平洋で4〜10千トンと推定されている。

資源状態
2008年5月のISCクロマグロ作業部会において資源評価が行われ、2006年の親魚資源量は、1952から2005年に推定された親魚資源量の中間的なレベルにあることが推定された。しかし、現行の漁獲強度は、資源が安定して存続していくための限界となる漁獲圧に非常に近いレベルにあることが同時に示された。つまり、本資源は、現状以上に漁獲圧が増加すると、望ましくないレベルにまで将来の資源量が減少する可能性が高くなる状態にあると考えられた。また、現在の漁獲圧は、MSYを達成するための最適な漁獲強度を上回っていることも明らかになったが、パラメータの高い不確実性のため、現在の漁獲強度が最適な漁獲強度をどの程度上回っているかについての推定値の信頼区間は非常に広いことも同時に指摘された。

管理方策
以上の資源評価の結果を受けて、2008年7月のISC本会議は、太平洋クロマグロに対する漁獲死亡率をこれ以上増加させないことを最低限の予防措置とすべきことを2008年9月に開催されたWCPFC北委員会に勧告した(Anonymous 2007c)。同委員会は、これらの結果に基づいて、クロマグロの漁獲死亡率を現状以上に上げないことを当面の管理目標として、それを実現するために、漁獲努力量をこれ以上増大させないために必要な措置をとるという保存管理措置案をまとめた。この案は、2008年12月に行われるWCPFCの本会議で議論される予定である。

資源評価まとめ
  • 2008年5月にISCが資源評価を実施
  • 評価手法には統合モデル(Stock Synthesis 2)が用いられた
  • 現在の資源状態は、1952から2005年に推定された資源量の中間的なレベル

資源管理方策まとめ
  • 資源評価はISCで2008年5月に実施された
  • 評価手法は統合モデル(Stock Synthesis 2)を用いた
  • 現状以上の漁獲圧の上昇は、将来の資源水準の低下をもたらすことが高い確率で推定された
  • 一般的に用いられているMSYを達成するための目標管理基準値は、資源評価モデルで用いたパラメータの不確実性の影響を大きく受けるため、これらの管理基準値を用いた管理目標を提案することは本資源において困難であることが示された
  • 2008年9月のWCPFC北委員会は、当面の管理目標として、現状以上に漁獲死亡率を上げないこととすることを合意した
  • 2008年の12月に行われるWCPFCの本会議では北委員会の管理案が検討される予定である