日ロ浮魚・底魚類(総説)

 


最近一年間の動き

22回日ロ漁業委員会の決定に従い、以下の諸活動を行い、共通資源について最新の情報を交換し資源状態に関する見解をとりまとめた。20069月にウラジオストック市において「さんま、まさば、まいわし、かたくちいわし、いか及びすけとうだらの生態学及び現存量に関する意見交換」を開催しスケトウダラを中心に課題の報告について議論を行なった。200611月に東京において「第20回日ロ漁業専門家・科学者会議」を開催し、共通資源などに関する資料および意見交換を行い、共通資源に関する見解案と2007年の調査協力計画案を作成した。200612月に東京における「第23回日ロ漁業委員会」で上記見解案と調査協力案を検討し採択した。

 

はじめに

 日ロ間には、北西太平洋の生物資源の保存及び最適利用を考慮し、相互の200海里水域で他方の国が漁業を行うために、日ソ地先沖合漁業協定(通称:日ロ地先沖合協定)が締結され、これに基づき日ロ漁業委員会が設置されている。日ロ漁業委員会では、日ロ両国水域に共通に存在する主要な魚種系群(共通資源)の種類(7魚種)を合意し、これら魚種の資源状態について、日ロ漁業委員会の前に開催される日ロ漁業専門家・科学者会議において両国科学者が協議し報告を作成する。ここでは、ロシアとの関係が深い我が国漁業の歴史と共に、2006年の日ロ漁業専門家・科学者会議で検討され、日ロ漁業委員会で採択された両国水域の共通資源(ストラドリングストック)の資源状態及びその他重要な魚種について資源の現況を述べる。

 

ロシアと我が国漁業の歴史

 我が国の北洋漁業、特にロシア沖における漁業は、日露戦争の結果による領土の拡大に伴う漁場の広がりもあり、大正時代には母船式カニ漁業、帆船タラ漁業等が興った(斉藤 1960)。昭和初期には、母船式さけ・ます漁業、トロール漁業も含め発展したが、第2次世界大戦によって大きな被害を受けた。第2次世界大戦後、マッカーサーラインによって我が国漁船の漁場は著しく狭められていたが、1952年にラインが撤廃されるとともに、ソ連邦沖公海新漁場の開発が積極的に進められた(北野 1980)。1953年に北方四島周辺太平洋岸漁場、1956年にサハリン東岸タライカ湾、1957年にサハリン西岸タタール海峡で調査が行われ、スケトウダラ、ホッケ、カレイ類等の底びき網漁場が開発された(北野 1980)。1956年には日ソ漁業条約、1969年には日ソかに取決、1972年には日ソつぶ取決が結ばれた。我が国漁船のソ連沖での漁獲量は、1975年には北海道沖合底びき網が38.9万トン、北転船がカムチャッカ半島周辺で73.3万トンであった(北野 1980)。

 一方、ソ連漁業による日本沖での漁獲量は、1975年にはサバ13.3万トン、マイワシ12.2万トン、スケトウダラ13.4万トン、イトヒキダラ10.6万トン等、合計52.7万トンであった(北野 1980)。197612月にソ連は漁業管理法を制定し、200海里漁業水域を設定したが、我が国も19773月に同漁業水域を設定した。1977年には日ソ・ソ日漁業暫定協定、1978年には日ソ漁業協力協定が結ばれ、相互に他の200海里水域で自国の漁船が操業できるようになった。1978年にソ連漁業水域内で我が国漁業に与えられた漁獲割当量(漁獲枠)は、スケトウダラ34.5万トン、イカ14.64万トン、イカナゴ6.52万トン、マダラ4.47万トン、サンマ6.86万トン等、合計85万トンであり、200海里以前の漁獲量に比べかなり減少した(北野 1980)。同年の日本漁業水域内におけるソ連漁業への漁獲割当量は、マイワシ・マサバ31.8万トン、スケトウダラ8.0万トン、イトヒキダラ13.8万トン等、合計65.0万トンであり、200海里以前の漁獲量とそれほど差はなかった(北野 1980)。

 相互の他国200海里内での割当量の推移を1に示した。19791985年には、割当量は6075万トンの範囲であったが、1986年には15万トンへと大きく減少した。1987年にはそれまでの無償枠の他に、日本漁船に対してソ連水域で10万トンの有償枠が設けられるようになった。我が国漁業に対する割当量は、1988年には相互枠と有償枠を含めてスケトウダラ12.76万トン、サンマ約6.52万トン、イカ約7.48万トン等、合計31万トンとなった。1998年にはスケトウダラ約1.57万トン、サンマ約3.18万トン、イカ約4.1万トン等、合計10.6万トンとなり、20年前の1978年の8分の1となった。我が国漁業に対する割当量は、2004年にはスケトウダラ約0.79万トン、サンマ約4.14万トン、イカ約0.86万トン等、合計約6.19万トンとなり、1998年よりもさらに減少した。2005年は、スケトウダラ約0.79万トン、サンマ約3.45万トン、イカ約0.91万トン等、合計約5.67万トン(追加割り当て分を除く)、2006年は前年とほぼ同様の、スケトウダラ約0.79万トン、サンマ3.55万トン、イカ約0.91万トン等、合計約5.77万トンとなった。2007年も前年ほぼ同様のはスケトウダラ約0.77万トン、サンマ3.55万トン、イカ約1.00万トン等、合計約5.73万トンとなった。漁業種類別には、さんま棒受網、いか釣り、沖合底びき網の順に割当が多い。

1. ロシア水域における我が国漁船に対する漁獲割当量の経年変化(右は近年の拡大)

 

 日本水域におけるロシア漁船に対する割当量は、1985年以降我が国漁船に対するロシアからの相互枠と等量で推移しており、1988年には21万トン、1998年には9.5万トンとなったが、2004年には5.43万トン、2005年には5.02万トン、2006年には5.13万トン、2007年には5.13万トンと、近年は変動が少なくなった。魚種としては、19801990年代はマイワシ・マサバが最も多かったが、2001年以降はイトヒキダラが最も多くなっている。

 ロシア水域における実際の我が国の漁獲量の推移を2に示した。相互枠と有償枠を合わせて、我が国漁船の漁獲量は1979年の約54万トンが最も多く、スケトウダラが約5割を占めた。1986年には約7万トンに急減したが、1988年には約17万トンに回復した。その後は直線的に減少し、2002年には約1.2万トンとなった。1980年代前半はスケトウダラ、その後はサンマが最も多く漁獲された魚種であった。割当量に対する漁獲量の割合は、1980年代は5070%であったが、最近は2030%程度になっている。

 我が国水域におけるロシア漁船の漁獲量は、19851992年には515万トンで、マイワシとマサバが大部分を占めたが、1994年以降ほとんど漁獲されなくなり、最近はイトヒキダラが大部分を占め、年間約2.5万トンの漁獲がある。なお、日本漁船は、地先沖合協定の他に貝殻島昆布操業民間協定、北方四島安全操業協定に基づく操業も行っている。

2. ロシア水域における我が国漁船の漁獲量の経年変化1999年以降の相互その他は全魚種の合計)

 

日ロ両国水域における共通資源(ストラドリングストック)に関する資源評価

(1)サンマ:我が国では、さんま棒受け網漁業で主に漁獲され、19962005年の10年間の漁獲量は1429万トンの範囲で、年間の平均は約22万トンであり、19981999年に減少後、増加した。分布域は北西太平洋、オホーツク海であり、産卵は主に冬季に行われ、その産卵場は黒潮水域である。寿命は2年、成熟年齢は6ヶ月から1年である。我が国では、サンマの資源量は中層トロール調査によって推定され、2006年の資源量は447万トンであり、資源水準は高位で資源動向は横ばいである。ロシア側の見解によると、2005年のロシア漁船団による漁獲量は8.78万トンであり、200610月上旬までの漁獲量は5.15万トンであった。2005810月の11隻あたりの平均漁獲量は43トンとなり、2004 年に記録した近年の最高値をさらに上回った。例年夏季にロシアが行ってきた調査船による中層トロール調査は2005年には11月に目視とトロールにより行われ、目視では千島列島太平洋側及び亜寒帯前線域(東経147153度)における資源量は500万トン、トロールでは千島列島太平洋側の資源量は2.9万トンと推定された。日ロ双方は、サンマの資源が高水準であることで見解が一致している。

(2)マイワシ:我が国では、まき網漁業で主に漁獲され、最近10年間の漁獲量は太平洋系群は331万トンの範囲で平均約14万トン、対馬暖流系群は1千トン〜16万トンの範囲で平均約3万トンであり、両系群ともほぼ連続して減少している。太平洋系群の分布域は北西太平洋であり、産卵盛期は23月、産卵場は四国南岸を中心に関東沿岸まで広がる。対馬暖流系群の分布域は東シナ海北部から日本海南東部、産卵期は主に24月、産卵場は薩南海域である。両系群とも、寿命は7歳、成熟年齢は12歳である。太平洋系群の資源量については、我が国ではコホート解析によって推定され、2005年は12万トンで、資源水準は低位、資源動向は減少である。対馬暖流系群もコホート解析によって推定され、2005年の資源量は2004年を上回るものの1万トン以下で、資源水準は低位、資源動向は横ばいである。例年夏季にロシアが行ってきた調査船による中層トロール調査は2005年には秋季に行われ、亜寒帯前線水域の資源量は8千トンと推定された。双方は、太平洋の資源は現在、低水準であることで見解が一致し、日本海の資源が極めて低水準であることでも、見解が一致した。

(3)マサバ:我が国では、まき網漁業で主に漁獲され、太平洋系群に対する最近10年間の漁獲量は534万トンの範囲、平均約15万トンであり、199697年と2005年に多かった。太平洋系群の分布域は北西太平洋、産卵期は冬〜春季、産卵場は伊豆諸島周辺海域、紀南や室戸岬沖である。寿命は7歳以上、成熟年齢は23歳である。資源量はコホート解析によって推定され、2005年は約46万トンで、資源水準は低位、資源動向は増加である。ロシアが2005年秋季に行った調査船による中層トロール調査により、千島列島太平洋側のロシアEEZ内の資源量は15千トンと推定された。双方は、1992年以降に中位の卓越年級群が何回か出現したものの、未成魚の段階で高い漁獲圧を受けたことにより、資源は低水準にとどまっていることで見解が一致している。

(4)カタクチイワシ:我が国では、まき網漁業で主に漁獲され、太平洋系群に対する最近10年間の漁獲量は1342万トンの範囲で、平均約28万トンであり、1998年と1999年に漁獲量は多かったが、その後減少し、2002年以降再度増加し、2003年と2004年には近年の最大漁獲量となったが、2005年は25万トンに減少した。太平洋系群の分布域は北西太平洋、産卵期は冬季を除くほぼ周年、産卵場は沿岸から沖合である。寿命は23歳、成熟年齢は満1歳である。資源量は卵数法とコホート解析によって推定され、2005年は82万トン、資源水準は高位、資源動向は横ばいである。ロシアが2005年秋季に行った調査船による中層トロール調査により、千島列島太平洋側のロシアEEZ内の推定資源量は482千トンと、高い水準にある。

(5)イカ(スルメイカ及びアカイカ):スルメイカは、我が国ではいか釣り漁業で主に漁獲され、最近10年間の漁獲量は1844万トンの範囲で、平均は約28万トンであり、1998年が少なかったのを除くとほぼ安定している。冬季発生系群(太平洋)の分布域は東シナ海北東部、日本海東部、北西太平洋であり、産卵期は123月、産卵場は主に東シナ海である。秋季発生系群(日本海)の分布域は主に日本海であり、産卵期は1012月、産卵場は北陸沿岸から東シナ海である。両系群の寿命は1年、成熟は雄で生後約9ヶ月、雌で約11ヶ月を要する。冬季発生系群の資源量は小型いかつり漁船のCPUEの動向から推定され、2005年は82万トンで、資源水準は中位、資源動向は減少、秋季発生系群の資源量は調査船による密度指標から推定され、2005年は約125万トンで、資源水準は高位、資源動向は減少である。ロシアのスルメイカに関する見解によると、2001年〜2005年夏季と秋季に太平洋水域で行った中層トロール調査結果によりスルメイカの資源量は著しい変動をうけてはいるものの、相対的には高い水準にとどまっている。

(6)ニシン:北海道・サハリン系群の分布域は北海道北部日本海、オホーツク海、サハリン沿岸であり、産卵期は春季、産卵場は北海道北部日本海、オホーツク海、サハリン沿岸のごく沿岸である。寿命は10歳以上、成熟開始年齢は3歳である。我が国による北海道・サハリン系群の資源評価は漁獲量の経年変化から行われたが、ニシンの漁獲量には複数の系群が含まれるため、資源水準は低位であるが、資源動向は不明である。ロシアの見解によると、ロシア漁船による2005年のサハリン・北海道系ニシンの漁獲はなかったが、西サハリン沿岸への産卵ニシンの来遊は若干見られた。我が国でも、現在は本系群の産卵場の形成は確認されていない。

(7)スケトウダラ:我が国では、沖合底びき網漁業によって主に漁獲されるが、根室海峡では刺し網等の沿岸漁業で主に漁獲される。19962005年の10年間の平均漁獲量は、太平洋系群が約17万トン、北部日本海系群が約5万トンであった。日本海北部系群の分布域は北部日本海、産卵盛期は123月、産卵場は檜山沿岸、岩内湾、石狩湾、雄冬沖、武蔵堆、利尻・礼文島周辺である。根室海峡スケトウダラの分布域はオホーツク海と推測され、産卵期は14月、産卵場は根室海峡である。オホーツク海南部スケトウダラの分布域はオホーツク海、産卵盛期は35月、産卵場は北見大和堆から宗谷地方沿岸及びテルペニア湾周辺である。太平洋系群の分布域は銚子から択捉島の太平洋岸、産卵盛期は123月、産卵場は主に噴火湾周辺であり、各系群の寿命は10歳以上、成熟開始年齢は3歳(オホーツク海南部のみ4歳)である。日本海北部系群の資源量はコホート解析によって推定され、2005年度の資源量は約17万トン、資源水準は低位で資源動向は減少である。根室海峡スケトウダラの資源評価は漁獲量とCPUEの経年変化から行われ、資源水準は低位、資源動向は横ばいである。オホーツク海南部スケトウダラの資源評価は漁獲量とCPUEの経年変化に基づいて行われ、資源水準は低位、資源動向は減少である。太平洋系群の資源量はコホート解析によって推定され、2004年度の資源量は約82万トン、資源水準は低位で資源動向は減少である。ロシアのトロール調査によると、南千島水域における現存量の推定値は、根室海峡では1998年度9.6万トン、1999年度9.7万トン、2000年度3.85万トン、2001年度2.95万トン、20063月は2,300トン、別飛錨地周辺では2000年度2.61万トン、2001年度3.5万トン、太平洋側水域では1999年度19.5万トン、2000年度6.65万トン、2001年度1.99万トン、2002年度0.51万トンで、200534.4万トン、2006336.9万トンで、2005年調査では2003年級群が、2006年調査では2005年級群が相対的に高い豊度であった。日本海北部のサハリン西岸では、間宮海峡のトロール音響調査による現存量推定値は20028,300トン、20038,100トン、20046,100トン、20056,300トンであった。ロシア側の見解では、ロシア200海里水域の資源量は国後及び択捉水域で増加傾向にあるものの、他水域では復活の兆候は見られない。このように、南オホーツク海系、日本海北部系、太平洋系について、資源状態は低水準にあることで双方の見解が一致した。

 

ロシアからの割り当てに関係するその他の重要資源に関する情報

(スケトウダラについては別途総説を参照されたい)

 ロシアから入手可能なこれら重要資源に関する情報は少ない。ロシアは、これら魚種についても資源調査を基にTACを設定しているため、これらTACは基本的に資源動向を反映していると考えられる。ここでは、これら魚種に関する生物学的情報(我が国周辺の資源評価から引用)とともに、ロシアが設定したTAC数量等の情報から、これら魚種に関する資源状況を解析した。

(1)マダラ:北海道周辺に分布するマダラでは、産卵期が123月、産卵場が津軽海峡の北海道側と陸奥湾、噴火湾、礼文堆と武蔵堆、十勝〜根室地方の沿岸等である。寿命は不明であり、成熟開始年齢は3歳である。20017月にユジノサハリンスクでマダラ資源に関する日ロ科学者の意見交換会を行った際、ロシアは「南クリル」水域でトロール調査を行いマダラの現存量を推定した結果、近年、現存量が急減しているとの情報を提供した。日本に対する割当を行っている「北クリル」及び「南クリル」水域のTACは、2007年は3,700トンと3,200トンとこれまでより大きく減少した(2006年は5,200トンと3,760トン、2005年と2004年は5,200トンと3,560トン)。なお、2003年に比べると「南クリル」水域(850トン)では大幅に増加している。

(2)イカナゴ類:北海道日本海、オホーツク海北部沿岸に分布するイカナゴ類の産卵期については、イカナゴが45月、キタイカナゴは122月、産卵場は稚内、枝幸、利尻礼文島の沿岸域である。寿命は6歳以上、成熟開始年齢は3歳である。なお、日本漁船は2002年以降、ロシア側からイカナゴの割り当てを受けていない。

(3)コマイ:日本に対する割当を行っている「南クリル」水域TACは、2005年〜2007年は2,100トンで、2004年の2,500トンより若干減少した。

(4)ホッケ:北海道南、根室海峡、北方四島に分布するホッケの産卵期は9月中〜10月下旬(知床半島先端)、産卵場は日高沖、根室海峡である。寿命は不明であり、成熟開始年齢は2歳である。日本に対する割り当てを行っている「北クリル」及び「南クリル」水域のTACは、2007年は26,900トンと2,000トンで,2005年と2006年(変化なし)の28,000トンと3,500トンに比べ減少した。

(5)メヌケ類:日本に対する割り当てを行っている「北クリル」及び「南クリル」水域のTACは、2005年〜2007年は1,827トンと150トンと不変で、2004年に比べ両水域(2,069トンと215トン)とも減少した。

(6)キチジ:オホーツク海、北海道南、根室海峡に分布するキチジの産卵期は25月、産卵場は明確でない。寿命は不明、成熟開始年齢も不明である。「北クリル」水域のTAC2005年〜2007年は242トンと不変で、「南クリル」水域のTACは、2007年の100トンで、2006年の112トン、2005年の159トンから減少した。

(7)カレイ類:カレイ類のうち、マガレイ北海道北部系群の分布域は北海道日本海岸、オホーツク海沿岸であり、産卵期は56月、産卵場は苫前沖〜利尻・礼文島周辺である。寿命は雄で10歳、雌で12歳と推定され、成熟開始年齢は雄で1歳、雌で2歳である。また、ソウハチ北海道北部系群の分布域は北海道日本海沿岸とオホーツク沿岸であり、産卵期は47月、産卵場は増毛〜留萌沖、美国〜古平沖である。寿命は5歳以上であり、成熟開始年齢は2歳である。日本に対する割り当てを行っている「北クリル」水域のTAC2004年〜2007年は2,600トンと不変で、「南クリル」水域のTACは、2006年〜2007年は840トンで20042005年の1,000トンよりやや減少した。

(8)タコ類:「南クリル」水域のTACは、2007年は590トンと2006年の380トンより増加し、2005年と2004年と同じ値に戻った。

 

まとめ

共通資源については、サンマとカタクチイワシの資源水準は高位であり、スルメイカは高位から中位であるが、マイワシ、マサバ、ニシン、スケトウダラは低位である。資源の減少に伴いマイワシとマサバの生息域は南に縮小し、北方四島以北の太平洋水域へはほとんど回遊しなくなっている。共通資源以外の重要種については、資源状態に関する情報は少ないが、公表されているロシアのTAC数量から、多くの魚種の資源水準は基本的に低位と推測される。また、ロシアとの交渉により日本漁船が割当を得て漁獲している魚種は、2006年にはサンマ、イカ、スケトウダラ、カレイ、メヌケ、キチジ、マダラ、ホッケ・アイナメ類、コマイ、カジカ類、カスベ、タコの12種(種群)であった。これらの資源のうち、重要種であるスケトウダラについては、系群構造についての見解が日ロ双方で異なっている。また、スケトウダラ、サンマ、スルメイカ等については、ロシア水域での分布や資源状態に関する情報が、それらの適切な資源評価のために重要であり、これらの情報収集に一層努める必要がある。

 

 

執筆者

 北西太平洋グループ

 北海道区水産研究所 亜寒帯漁業資源部

 谷津明彦

 

参考文献

北野 裕. 1980. 北海道海域底魚資源. In 青山恒雄(), 底魚資源. 恒星社厚生閣, 東京. 204-228 pp.

斉藤市郎. 1960. 遠洋漁業.恒星社厚生閣, 東京.  318 pp.