カツオ 東部太平洋

(SkipjackKatsuwonus pelamis)

最近一年間の動き

2005年の東部太平洋におけるカツオ総漁獲量は約28万トンであり、前年と比べて43%増加した。2005年の東部太平洋における国別カツオ漁獲量の対前年比を見ると、エクアドル、メキシコおよびバヌアツの漁獲量は減少し、パナマとベネズエラの漁獲量は増加した。

 

利用・用途

 本資源は、主に缶詰原料として利用されている。

 

漁業の概要

 2005年の東部太平洋におけるカツオ総漁獲量は約26万トンと推定されたが(1: Anon.20061)、これ以外に約2万トン以上の投棄魚があると推定されている。19932005年の平均投棄魚割合は約12.3% 23.1%であった。国別の漁獲量ではエクアドルの漁獲量が約半分を占め、パナマ、メキシコ、ベネズエラ等が続いている。なお、日本は本海域でカツオを主対象とした漁業を行ってきておらず、漁獲量ははえ縄による極めて僅かな量 (10トン)のみである。本海域では、1950年代までは沿岸での竿釣漁業が主であったが、その後大型の竿釣船がまき網船に転換し始め、1960年代からまき網による漁獲量が増大した。漁場は沖合いに広がり、現在では漁獲量のほとんどがまき網漁業によるものである。

 

1.  東部太平洋におけるカツオの国別漁獲量 (t) 空欄の年はその他に積算

エクアドル

メキシコ

米国

ベネズエラ

バヌアツ

コロンビア

パナマ

スペイン

その他

合計 

1980

8,218

13,935

99,157

 

 

 

 

 

23,128

144,438

1981

10,391

28,828

75,455

3,679

 

 

 

 

12,665

131,018

1982

15,389

18,458

61,059

0

 

 

 

 

17,429

112,335

1983

1,224

8,560

35,152

3,839

 

 

 

 

2,914

51,689

1984

20,753

10,786

25,404

7,797

 

 

 

 

2,051

66,791

1985

25,287

6,421

9,692

7,769

 

 

 

 

5,890

55,059

1986

25,700

8,800

12,400

11,450

 

 

 

 

11,462

69,812

1987

22,103

7,296

13,767

11,335

 

 

 

 

14,138

68,639

1988

13,480

21,262

38,116

11,738

 

 

 

 

9,812

94,408

1989

25,759

19,966

21,276

16,396

 

 

 

 

19,570

102,967

1990

27,648

7,948

12,374

10,725

 

 

 

 

19,416

78,111

1991

22,177

13,776

14,026

4,923

 

 

 

 

15,180

70,082

1992

28,509

11,857

16,137

14,240

9,909

 

 

 

13,001

93,653

1993

23,663

17,112

20,798

11,457

6,786

 

 

 

15,008

94,824

1994

17,096

15,223

12,220

10,425

5,917

7,912

 

 

12,434

81,227

1995

34,344

34,028

18,452

14,392

4,612

13,189

 

 

19,732

138,749

1996

34,480

16,580

12,552

11,093

3,556

12,161

 

 

17,613

108,035

1997

54,759

27,074

15,771

14,071

7,175

10,539

6,217

 

26,082

161,688

1998

68,552

17,962

8,659

11,451

6,157

4,130

1,990

16,748

6,077

141,726

1999

126,870

19,773

13,804

14,582

21,914

11,766

5,023

35,201

19,205

268,138

2000

110,415

16,390

10,668

5,118

11,037

6,160

12,477

16,368

22,571

211,204

2001

70,388

8,123

4,226

2,178

8,047

2,523

5,843

21,564

22,814

145,706

2002

78,682

9,571

3,647

3,942

6,791

2,516

7,569

22,043

25,796

160,557

2003

133,919

19,400

6,746

10,697

18,162

4,656

11,309

22,586

32,323

259,798

2004

87,643

26,861

4,745

13,827

7,205

 

18,392

14,901

23,818

197,392

2005

128,987

28,566

 

15,948

1,056

 

31,762

 

57,478

262,741

データ:Anon. (2006)

 

1.  東部太平洋における漁法別カツオ漁獲量 (データはAnon. 2006

 

まき網漁場はバハ・カリフォルニアからペルー南部まで広がるが、メキシコ南部沖では漁獲量は比較的少ない。また、赤道海域では漁場は西経150度付近の沖合まで達している。付き物群操業 (漂流物とFADsが含まれる)は主に中米から北部南米沖で行なわれており、沖合にも広がっている。素群れを対象とする操業はバハ・カリフォルニア・中米・北部南米沖で行なわれている。なお、イルカ付き群では僅かなカツオしか漁獲されない。

竿釣漁船は、南カリフォルニアからチリ北部にかけた距岸約250海里以内の海域と沖合いの島嶼周りで操業を行なっていたが、現在ではエクアドル・メキシコ・米国籍のわずかな数しか残っておらず、エクアドル・メキシコ・南カリフォルニアの比較的沿岸近くで操業している。

 

生物学的特性 (Matsumoto et al. 1984Schaefer 2001)

カツオは3大洋すべての熱帯〜温帯水域、概ね表面水温15℃以上の水域に広く分布する。適水温帯の分布にあわせて、東部太平洋における分布域は中西部太平洋に比べて南北に狭くなっている (2)。太平洋内については単一系群とする説と複数系群とする説があるものの、資源管理上は東部太平洋と中西部太平洋に分けて資源評価が行われる場合が多い。

産卵は表面水温24℃以上の海域で広く行なわれ、東部太平洋においても南北アメリカ大陸沿岸から西経130度、北緯15度から南緯10度付近の適水温帯で産卵が行なわれる。成熟体長は45cm程度とされ、性比は50%で、キハダやメバチで確認された高齢魚におけるメスの比率の増大は見られない。

2.  東部太平洋におけるカツオの分布と漁場 Matsumoto et al. 1984Schaefer 2001

 

成長は、耳石日輪の検討から得られた結果と標識データを組み合わせて、満1歳で尾叉長40cm台後半、満2歳で60cm台後半、満3歳で70cm台と推定されている (3)。体長体重関係は、W = 5.5293×10 -6 L 3.336  (Wは体重(kg)Lは尾叉長(cm))が用いられ、40cm1.2kg50cm2.6kg60cm4.7kgとなる。寿命は6歳を超えるであろう。

 餌生物は他の海域同様、魚類・甲殻類・イカ類で、選択性は低くその海域で主要なものが主たる餌となっていると考えられている。また、捕食者も他大洋と同様、カツオ自身を含めた高度回遊性魚類のまぐろ類・かじき類、その他の魚食性魚や海鳥であろう。

3. 東部太平洋におけるカツオの成長 Matsumoto et al. 1984

 

 

資源状態

 IATTC は、2004年にA-SCALAを用いた資源評価を行なっており(Maunder and Harley 2004)2006年には追加・更新したデータを用いて解析が行なわれた(Anon. 2006)。本海域のキハダ・メバチでの解析と異なり、カツオでは月単位の資源評価が行われている。

920月齢の漁獲死亡係数は1980年代前半に高くなり、その後低下し最近は微増傾向にある (4)。一方、2132月齢の漁獲死亡係数は前者と同様に1980年代前半に極端に増加したが、1980年代中盤に下落し、その後増加傾向を示した。これらの漁獲死亡係数は自然死亡係数と同等かもしくは低いと推定され、標識データ解析結果とも一致した。加入量の変動は大きく、資源量は漁獲圧が高かったと想定される1980年代前半を除き、どの年も加入量の変動にともなって変化している (5)。この傾向は解析モデルの仮定の変化にもほとんど左右されなかった。最近では20022003年に連続した強い加入があり、2003年の資源量と漁獲量を増加させていると示唆されているが、近年の加入は平均的な水準である。そのため今後の資源量と漁獲量は低くなると考えられているが、近年の加入量推定値にはかなりの不確実性が含まれている。なお、親子関係が認められない条件下におけるAMSY (平均的な状況下で現在の漁業の強さと漁獲物重量から長期にわたって得られる平均最大生産量)は、現在の成長 (増重量)・減耗パターンからは無限大のFで漁業加入以前に獲り尽くすことにより達成されることになるため、非現実的であり示されなかった。これらを検討するには、確度の高い成長および自然死亡係数の推定が必要である。

4. A-SCALAで推定した月毎の漁獲死亡係数

920月齢をグループ化しその平均を示したもの(左)

2132月齢の平均(右)(Anon 2006

 

5. A-SCALAで推定したカツオの加入量(平均に対する相対値、上)

と資源量(千トン、下)(Anon 2006

 

カツオの資源量変動は加入量の変動によって引き起こされてきたと考えられるため、資源動態の将来予測は加入量の影響を強く受けると考えられる。資源水準・動向については1950年代以降の漁獲量推移および最近5ヵ年の動向から、高位・横ばいと判断した。

 

管理方策

本海域のカツオ資源評価については、以下の4つの問題から予備的なものであると言わざるを得ない: (1) まき網漁業のCPUEが豊度を示している保障がない; (2) 漁業で利用されていない大型カツオの資源が存在している可能性がある; (3)中西部太平洋のカツオとの混合・系群構造が明らかになっていない; (4) A-SCALA による資源量推定値 (絶対値)1年ごとに1桁以上変わってしまう。信頼できるMSYを得ていないが、現在の資源状態はMSY水準より高いと思われるため、カツオ資源を対象とした管理措置は行なわれていない。資源評価の結果が前回の結果と一致していること、流れ物操業に関連するメバチ漁獲量ととカツオの関係は認められないことから、本資源の管理に関する懸念はないと判断された(Anon 2006)。

本海域のキハダ、メバチの資源状態はともに低い水準にあることから、まき網については昨年に引き続き1ヶ月間の禁漁の措置を取ることが合意されている。

 

カツオ(東部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準

高位

資源動向

横ばい

世界の漁獲量

(最近5年)

14.526.2万トン

平均:19.5万トン

我が国の漁獲量

(20002004年の5ヵ年)

2391トン

平均:52トン

管理目標

MSY

資源の状態

MSY水準より高いと思われる。

管理措置

キハダ・メバチ資源の保護のため、昨年に引き続きまき網1ヶ月間禁漁の措置が取られる。

管理機関・

関係機関

IATTC

 

執筆者

まぐろ・かつおグループ

カツオ・ビンナガサブグループ

遠洋水産研究所 かつお・びんなが研究室

渡邉久爾

 

参考文献

Anon. (IATTC). 2006. Tunas and billfishes in the eastern Pacific Ocean. Document for the 7th Meeting of the Working Group on Stock Assessment, Inter-America Tropical Tuna Commission.  Document SAR-7-13. La Jolla, California, U.S.A.  (2)+101 pp. http://www.iattc.org/PDFFiles2/SAR-7-13-Tunas-and-billfishes-in-the-EPO.pdf 20061214日)

Matsumoto, W.M., R.A. Skillman, and A.E. Dizon (1984): Synopsis of biological data on skipjack tuna, Katsuwonus pelamis. NOAA Tech.Rep. NMFS Circ., (451): 1-92.

Maunder, M.N. and S.J. Harley. 2004. Status of skipjack tuna in the eastern Pacific Ocean in 2003 and outlook for 2004. In IATTC (ed.), Status of the tuna and billfish stocks in 2003. 109-167pp. http://www.iattc.org/PDFFiles2/SAR5%20_SKJ_ENG.pdf (20051014).

Schaefer, K. M. 2001. Assessment of skipjack tuna (Katsuwonus pelamis) spawning activity in the eastern Pacific Ocean. Fish. Bull., 99: 343-350.