メバチ インド洋

Bigeye Tuna, Thunnus obesus

 

最近一年間の動き

台湾はえ縄船によるロンダリング(大西洋漁獲量の一部をインド洋の漁獲量として虚偽報告)制裁措置として、台湾の漁獲割当てが3.5万トンに設定された。

 

利用・用途

主に刺身材料として用いられている。

 

漁業の概要

【漁獲量の変動】本種は、はえ縄漁業(2歳以上対象)とまき網漁業(01歳対象)で主に漁獲されてきている(1)。

1. インド洋のメバチの漁法別漁獲量(19502004)(IOTC 2006b)

 

 本種を対象とした漁業は、1952年にジャワ島南部海域で日本のはえ縄漁船により開始された。その後、台湾・韓国・インドネシアのはえ縄漁船が、それぞれ195419651973年から参入した。はえ縄による漁獲量は、操業開始以来緩やかに増加してきており、1978年に5.1万トンに達した(2)。その後、漁獲量は1992年までは、3.4万〜6.1万トンの間で増減した。その後漁獲量は急増し1993年には8.5万トン、1997年には11.2万トンに達しピークを記録した。しかし、1998年から漁獲量は減少傾向にあり、2004年には10.3万トンとなった。

2. インド洋のメバチの国別漁獲量(19502004)(IOTC 2006b)

 

一方、西部インド洋におけるまき網漁業は、1984年から本格的に始まった。メバチは混獲種ではあるが漁獲量は徐々に増加し、1995年に2.8万トン、1999年には4.1万トン(ピーク)に達したが、その後2002年を除き減少し2004年には2.3万トンになった。まき網の主要漁業国はスペイン・フランスである。

総漁獲量は、1986年までは6万トン以下であったが、その後徐々に増加し1993年に10万トン台、1999年に15万トン台(ピーク)に達した後、2000年から減少傾向が続いており、2004年に12.7万トンとなった。

 1999年(ピーク時)までの漁獲量増加の主因は、台湾・インドネシア・日本のはえ縄およびスペインのまき網による漁獲増加であった。最近10年の漁法別総漁獲重量は、はえ縄が78割、まき網が23割となっている。まき網開始前(1984年以前)は、大半の漁獲は2歳魚以上であったが、まき網開始後01歳の漁獲尾数が急増し、最近年では総漁獲尾数の7割近くを01歳が占めている。

【漁場】 本種は熱帯性まぐろで、まぐろ類の中ではもっとも沖合性が強い。また、主な分布深度が60280 mと深く、時には水深400 mまで分布する。幼魚は浮遊物の下の海面に、しばしば単独種のグループ、あるいはキハダやカツオとの混合集団として群れをなす。適水温はキハダよりやや低いので、分布域は南北方向および鉛直方向ともに、キハダよりやや広い。分布域は、南緯40度以北のインド洋全域である。主要漁場は、赤道をはさむ北緯15度から南緯15度の産卵海域と、南半球中緯度(南緯2540度)の索餌海域である(3)。

3. インド洋のメバチの漁場

 

 メバチはえ縄好漁場と海洋環境要因(水温、塩分、溶存酸素量、水温躍層の水深)分布とのオーバレイ図を、それぞれ47に示した(Bo and Nishida 2003)。これらの図は、23年間(19751997)の平年図である。好漁場は1度区画の平均釣獲率(1,000鈎当りの漁獲尾数)が8.5以上の海域である。水温、塩分、溶存酸素量の分布は、メバチ成魚の生息水深に対応した75300 mにおける鉛直平均値を示している。

4. はえなわ好漁場(x)と水温の平年図

 

5. はえなわ好漁場(x)と塩分の平年図

 

6. はえなわ好漁場(x)と溶存酸素量の平年図

 

7. はえなわ好漁場(x)と水温躍層深度の平年図

 

 数値解析の結果、好漁場を形成する最適範囲は、水温(1417℃)、塩分(34.535.4 psu)、溶存酸素量(1.03.6 ml/l)、水温躍層深度(80160 m)となった。溶存酸素量は、アラビア海、ベンガル湾で低く(0.2 ml/l 以下)、メバチの好漁場は形成されない。これらの最適範囲は、インド洋における、局所的な研究結果(Stéquert and Marsac 1989、毛利 1998aほか)と近似していた。

 

生物学的特性

【回遊】 本種の詳しい回遊経路は不明であるが、季節や生活史により複雑に変化している(毛利 1998b)。すなわち、産卵後は海流に乗りながら南半球の温帯域へ索餌移動し、成熟に達した後、再び熱帯域に戻るという大きな回遊が想定されている。はえ縄漁業データをもとに推察した成魚の回遊パターンを8に示した。

8. メバチの主要分布域(青)と想定回遊経路

(はえなわ漁業データより推定。数字は月を示す)

 

【形態】 体は高くて太く、体長は体高の3.3倍、頭と眼は大きく、眼径は吻長のおよそ0.5倍。胸鰭は長くてリボン状を呈する。鰓耙数は27本前後、体の背部は青黒色、腹方は白い。まぐろ類では中型に属し、大きいもので体長2 m、体重150 kgになる。

【食性】 メバチの餌生物は他のまぐろ類と本質的に変わらない。おもに魚類・甲殻類およびいか類などを食べており、餌に対する特別な選択性はないが、メバチはやや深層を遊泳するため、表層性のモンガラカワハギ、マンボウ、シイラ、カツオなどの魚類は本種の胃内に少なく、ハダカエソ、ミズウオ、クロボウズキスなどの深海性魚類が多い。生息域および魚体の大きさで胃内容物として出現する餌生物が異なる。

 Bashamakov et al. 1991)は、セーシェル、モーリシャス付近の海域で収集した胃内容物を調査した。その結果、23種類の生物が発見されたが、いか類、浮遊性かに類、はだかえそ類が大部分を占めていた。

 また、はだかいわし類が夜間に多く食べられることから考え、昼間より夜間に積極的な索餌をするらしい。

【産卵】 産卵は稚魚の分布から推測して、表面水温24℃以上の熱帯・亜熱帯域でほぼ周年行われているが、ジャワ島の南が主要産卵域となっている(西川ほか 1985)。メバチは体長が120 cmを越えると大部分が成熟する。しかし、90 cm以下では生殖腺が繊細であり、未熟状態にあるため、メバチでは生後満3年ごろ(100 cm)から一部が成熟開始すると考えられている。

 本種の卵は分離浮性卵で油球が一個あり、受精卵の卵径は0.81.2 mmである。1尾の抱卵数は体重50 kgの魚体で300万粒、100 kg前後のもので400600万粒である。本種は多回産卵で、産卵期にはほぼ毎夜産卵すると推察されている。

【系群】 インド洋・太平洋のメバチは、遺伝的な差異が報告されている。しかし、インド洋では、分布、体長組成、成熟などの特性から、単一系群とみなされている(Kume et al. 1971ほか)。そのため、資源解析は、通常単一系群を仮定して行われている。

【自然死亡係数:M インド洋では、Mを直接推定した研究はないが、2006年の資源評価では、1に示したような、ICCATで使用されている値を代用している。

 

表1. 2006年資源評価で使用されたインド洋メバチ自然死亡率(ICAATの代用値およびその感度解析用ベクトル値)

 

ICCAT

感度解析用

0

1.0

1.0

1

0.6

0.6

2

0.3

0.4

3

0.4

0.4

4

0.4

0.4

5

0.4

0.4

6+

0.4

0.6

 

【体重・体長関係】 以下の体重(W: kg)・体長(尾叉長)(L: cm)関係式ないし代用式が、最近の資源評価で使用されてきた。

尾叉長(80 cm以下)(インド洋)

W = (2.74×10-5)L2.908  Poreeyanond (1994)

尾叉長(80 cm以上)(太平洋)

W = (3.661×10-5 ) L2.90182  Nakamura and Uchiyama (1966)

 

【成長式】以下の関係式が、2006年の資源評価に使用された(図9)

Stequart and Conand 2003)(インド洋)

Lt =1691-e-0.32[t--0.336]

9. 2006年の資源評価で使用されたインド洋メバチの成長式(Stequart and Conand 2003)Stequart and Conand (2000)およびTankevich(1982)の成長式 は、2004年以前の資源解析で使用された。

 

【体重・年齢関係】 上記体重・体長関係式と成長式(Stequart and Conand 2003)より、2のような値が計算され、2006年の資源評価で使用された。

 

2. 体重・体長関係式(前出)と成長式(Stequart and Conand 2003)に基づいたインド洋メバチの年齢と体重の関係

年齢

体重(kg

0.0

0.1

0.5

1.2

1.0

3.8

1.5

7.8

2.0

16.7

2.5

23.9

3.0

31.6

3.5

39.2

4.0

46.5

4.5

53.5

5.0

59.9

5.5

65.8

6.0

71.0

6.5

75.7

7.0

79.9

7.5

83.6

8.0

86.7

8.5

89.5

 

 

資源状態

【資源評価】 本種の資源評価は、1998年以前はIPTP(インド洋・太平洋まぐろ開発管理プログラム)、1998年からはIOTC(インド洋まぐろ類委員会)で報告されてきている。資源評価は、プロダクションモデル、はえ縄CPUE解析、VPA(コーホート解析)、ASPM(年齢組成プロダクションモデル)などにより行われてきている。

 2001年のIOTC3回熱帯性まぐろ作業部会における資源評価では、ASPMにより19601999年のデータを用い資源解析が行われた。その結果、MSY8.9万トンと推定され、初めてコンセンサスが得られた。翌年2002年の第4回作業部会では、豪州は2001年に日本が行ったASPM結果に関する感度解析を行い、その頑健さ(精度)を裏付けた。また、この時の作業部会でもASPMの再解析を行い(Nishida et al. 2002)全会一致で採択された。2006年における第8回熱帯まぐろ作業部会では、2004年までのデータを用い5種(ASPMSS2CASAL、ベイズ型プロダクションモデル、ASPIC)の資源解析が行われた。

作業部会で5種の解析を評価した結果、他の4種と比較し問題点が少なく過去4回で採択され一貫性があるということで、再度ASPM ( Nishida and Shono 2006による資源評価結)が全会一致で採択された。その結果、MSY(2004年までのデータ使用)11.1万トンに更新され、前回の推定値(9.9万トン: 2003年までのデータ使用)より1.2万トン増加した。この原因は、CPUE (20032004)微増、1999年以降の漁獲量減少(15.1万トンから12.7万トンへ減少)、最新(2004年)データ追加、ASPMの計算条件の変更(従来推定していたsteepnessパラメーターを固定、成長式や自然死亡係数などの入力パラメーターの変更)などによるものと見られる。

MSYの信頼幅はブートストラップ法により、9.5万〜12.8万トンと推定された。10(変更)はその時に使用した日本のはえ縄の標準化されたCPUEのトレンドで(Okamoto et al. 2006)、1977年以降減少傾向が続いているが20032004年に微増した。なお、台湾のCPUEも準備されたが、日本のものに比べトレンドがかなり異なり、データのスクリーニングや使用モデルなどに問題があることが判明したため、議論の結果、日本のCPUEシリーズのみが資源評価に用いられることになった。

10. 2006年メバチ資源評価で使用された標準化された日本はえ縄CPUEのトレンド (Okamoto et al. 2006)

 

 ASPM解析結果より、漁獲量は1993年以来2004年まで12年間にわたり最大4.0万トンMSYレベルを超えた状態が継続しており、過剰漁獲状況となっている(11)。

11. インド洋のメバチ総漁獲量とMSYレベル

 

 12は、ASPMで推定された産卵親魚量(SSB)のトレンドと、そのMSYを維持できるレベルのSSB32万トン)を示しており、産卵親魚資源量は、1960年より継続していた減少傾向が2003年の止まり2004年には微増した。2004年産卵親魚資源量は39万トンで、MSY維持レベルに対する相対値(SSB2004 /SSBMSY )は1.34であり、昨年(2005)評価での値(SSB2003 /SSBMSY )が1.20なので、資源は前述のように極僅かながら回復したようにも見受けられる

12. ASPMで推定されたインド洋のメバチの産卵親魚量とそのMSY維持レベル

 

 また、13は、ASPMで推定された、FMSY MSYにおける漁獲死亡率)レベルと、F(総漁獲死亡率)のトレンドをプロットしたものである。FMSY  =0.36で、F2004 2004年のF=0.29であるため、2004年におけるFの比率は(F2004 /FMSY )は0.81となった。前回の資源評価では0.89であったので、漁獲による死亡が極僅か減少したと見られる。

13. ASPMで推定されたインド洋のメバチのF(漁獲死亡率)とFMSY

 

 3に前回(2005年)におけるASPMによる資源評価の結果と今回の結果の比較を示した。これから、インド洋メバチ資源状況は、若干よくなったようにも見受けられるが、漁獲量は10年連続してMSYレベルを上回っており過剰漁獲状況となっている。

3. 今回(2006)と前回(2005)におけるASPM解析結果の比較

 

MSY

(万トン)

漁獲量

(万トン)

産卵親魚資源量

総資源量

F(自然死亡率)

対処女資源量比 (2004/1960)

MSY

(2004/MSY)

対処女資源量比 (2004/1960)

MSY

(2004/MSY)

点推定(2006)

(前回:2005年の結果)

11.2

(9.9)

12.7

(12.4)

0.39

(0.28)(*)

1.34

(1.20)(*)

0.52

(0.49)(*)

0.81

(0.89)(*)

90%信頼区間

2006年)

9.5-12.8

 

0.31-0.47

1.04-1.64

0.43-0.61

0.54-1.08

注 2006年の解析では1960-2004年のデータ使用。2005年の解析では1960-2003年のデータ使用。

(*)2003年比。

 

【将来予測】 ASPM結果を使用し下記の5つのシナリオに対する11年間(20052015年)の総資源量(TB)および産卵親魚量(SSB)の 将来予測が計算された(Shono 2006)(14)。

14. ASPM結果に基づく将来予測(2005-2015)(Nishida and Shono 2006、改変)

A  2004年漁獲重量レベルが継続した場合、B  2004年のF(漁獲係数)が継続した場合

C 2004年漁獲重量レベルの90%が継続した場合、D  2002-2004年平均レベルのFが継続した場合

E  1998-2001年平均的レベルのFが継続した場合

 

·           現状(2004年レベル)漁獲重量(12.7万トン)を継続させた場合。

·           現状(2004年レベル)漁獲重量を10%削減した漁獲量レベル(11.4万トン)を継続させた場合

·           現状(2004年レベル)の漁法別漁獲係数F(0.293)を継続させた場合。

·           20002002年の平均漁獲係数F(0.265)を継続させた場合。

·           19982001年の平均漁獲係数F(0.251)を継続させた場合。

その結果、どの仮定の場合にも、産卵親魚資源量は2015年にMSYを維持できるレベルにまで減少することがわかった。

【不確実性の問題】 ASPMによる資源評価には種々の問題や不確実性があるため、以下の点に関し今後改善する必要がある。

·           はえ縄とまき網で漁獲される体長に対応した成長曲線の推定。

·           はえ縄で漁獲される体長情報が不十分なこと(特に近年)。

·           年齢別自然死亡率の推定。

·           はえ縄・まき網漁業における漁獲効率の推定。

·           標準化されたはえ縄資源量指数に含まれる不確実性の問題の解決。

 

メバチ資源管理方策

 2006年(5月)の第9回年次会議では、漁獲量はMSY(最大持続生産量)を超えており全ての漁業種類において漁獲量・漁獲努力量を削減すべきとの第8回科学委員会(2005)の勧告を受け、国別漁獲制限の設定について議論されたものの現在遠洋漁業を開発しはじめた途上国の反対が多く合意に至らず、最終的に以下の措置が採択された。

·           加盟国及び協力的非加盟国は、メバチ漁獲量を近年のレベルから増加させない。

·           ただし、過去の決議に反して漁獲を大きく増加させた台湾は、35,000トンに制限

その後、200611月の第9回科学委員会では、20067月の第8回熱帯まぐろ作業部会における資源評価の結果を基に、メバチ資源に関し以下の考え方を示した。

·           科学委員会は、近年(1990年頃から1998年)におけるメバチ漁獲の急速な増加を憂慮している。1999年以降、漁獲量は減少しているものの、1993年以来MSYレベルを超えた状態が12年間続いている。

·           これは、第8回熱帯まぐろ作業部会(2006)で、ASPM解析の結果、資源状況が2002年まで継続的に悪化していることでも明らかである。ただし20032004年には、資源が僅かに回復したが、引き続き漁業開始以来最低レベルにある。

·           FADsを利用したまき網漁業による若齢メバチへの漁獲圧の増加が今後継続した場合、資源にとって悪影響を及ぼすと見られる。その理由は、漁獲している体長が、加入量あたりの漁獲量を最大にする体長レベルをはるかに下回っているからである。

·           FADsを利用したまき網ではカツオを主に漁獲しているが小型メバチは混獲となっている。したがって、小型メバチを削減する管理案は(資源状況が健全な)カツオの漁獲量を減少することなる点に留意する必要がある。

上記の考え方をもとに、科学委員会は以下の2点を資源管理方策として勧告した。

·           FADsを利用したまき網漁業の漁業努力量を削減する。

·           全ての漁業(はえ縄・まき網ほか)は、漁獲量をMSYレベルまでに削減し、漁獲努力量は2004年レベルを超えるべきでない。

 

 

その他の管理方策

 

 2002年までの年次会議では、沿岸途上国(イラン、タイ、マレーシア、スリランカほか)が、最近キハダ・メバチのはえ縄・まき網漁業の開発を開始したばかりで、規制に強く反対していること、およびEU(業界)がまき網の規制に慎重なことなどから、いずれの点に関しても、コンセンサスが得られていないため、資源管理方策は無い状況となっていた。

 しかし、このような背景を考慮し、管理方策案としては若干緩めの決議・勧告案が、2003年の第8回本会議において、はじめて合意されるに至った。これは、IOTCの前身であるIPTP設立(1980)以来、実に25年目にしてはじめてのインド洋まぐろ類に関する漁業管理ということになった。しかし、科学委員会が4年間勧告してきた、まき網漁業のモラトリアムに関しては、EUの強い反対で否決された。その後、第9回および10回年次会議(2004および2005)では、引き続き途上国の反対によりメバチなどのTACは採択されなかったが、漁獲努力量規制案は徐々に決議として採択されつつある。また、2006年の第10回年次会議の前に開催された、第3回特別会合では、IOTCFAOからの離脱に関し議論した結果2007年の第11回年次会合でコンセンサスが得られれば、FAOから離脱しICCATのような独自機関として再出発することになる。

 以下に、最近3回(第810回)の年次会議において採択された決議・勧告項目で重要なものをリストした。

 

8回年次会議(2003)

(1) 漁獲努力量の凍結

·           全長24 m以上の漁船の総隻数等の制限:全長24 m以上の漁船に関し、IOTCのポジティブリストへの登録隻数が50隻を超えている加盟国(及び協力的非加盟国)は、2004年以降も、ポジティブリストへの登録隻数がこの隻数を超えてはならない。また、ポジティブリスト登録漁船の合計総トン数も現状の合計総トン数を超えてはならない(対象国:中国、EC、日本、韓国、フィリピン及びインドネシア)。

·           上記以外の国は、まぐろ漁業発展計画を作成し2004年以降、IOTCに提出する。

(2) 貿易制限措置

上記保存管理措置の導入に伴い、当該措置を遵守しない国に対する貿易制裁措置を発動するための手続きを定めた勧告が採択された。

(3) 違法、無報告、無規制(IUU)漁業対策

 協力的非加盟国としての資格審査条件を強化し、過去の漁獲実績等各種統計の提出、これまでに実施した科学調査等のデータの提出を義務づけ、IOTCとして厳格な資格審査を可能とする決議が採択された。これはポジティブリストにIUU船が入り込むのを防ぐことを目的としたもの。

 

9回年次会議(2005)

(1)ポジティブリスト決議改正

24m以下の小型便宜置籍漁船が近年増加傾向にあることへの懸念を背景に、旗国の排他的経済水域外で操業する24m以下の小型船もポジティブリストの対象とすることとなった。

(2)混獲対策

近年、漁業による混獲を問題視する環境NGO等の積極的な動きを背景に、IOTCとして当該問題に適切に対応すべく以下の対策が採択された。

·           サメ決議

魚体の完全利用を求める保存決議が採択された。また、2006年に主要魚種の資源評価を行い、必要な措置が検討されることとなった。

·           海鳥勧告

各国のFAO海鳥混獲削減行動計画の導入を促進するとともに、混獲データの収集及び漁業が与える影響の評価を行うことが勧告された。

·           海亀勧告

FAO海亀混獲削減ガイドラインに基づく対策の導入及び混獲データの収集を行うことが勧告された。

 

10回年次会議(2006)

(1) 漁獲努力量

·           2007年から2009年の3年間、加盟国及び協力的非加盟国は、毎年の実操業隻数を2006年レベルで制限する。(日本等については2000年以降の最大実績まで増隻が認められる。)実操業隻数については、はえ縄・まき網等、漁業種類間で漁獲努力量の増加につながらない範囲内で隻数を調整・変更することができる。

·           漁船を他国から受け入れる場合には、いずれかの地域機関のポジティブリストに掲載されており、かついずれかの地域機関のIUUリストにも掲載されていない漁船のみ認められる。

(2)転載管理について

2008年7月1日より、オブザーバーが乗船しているIOTC登録済みの運搬 船に転載する場合のみ、公海の洋上転載を認める措置が採択された(昨年ICCATで採択された措置と同様のもの)。

    (3) VMSの搭載について

IOTCに登録されており、公海で操業する全ての15メートル以上の船について、VMS搭載の義務付けを200771日から実施することとなった。

    (4) トリポール

 海鳥混獲を抑制するため、来年の年次会合においてデーター収集方法、報告、緩和措置の採択を検討するとともに、現在CCSBTで実施している措置と同様、南緯30度以南においてトリポールの使用を義務付けることとなった。

 

メバチ(インド洋)の資源の現況(要約表)

資源水準

中位

資源動向

減少

世界の漁獲量

(最近5)

11.513.5万トン

平均:12.6万トン

我が国の漁獲量

(最近5)

1.11.4万トン

平均:1.3万トン

管理目標

MSY 11.1 万トン

(90%信頼区間:9.512.8万トン)

(2004: 12.6万トン)

資源の状態

SSB2004/SSBMSY1.34

(90%信頼区間:1.04-1.64

F2002/FMSY0.81

(90%信頼区間:0.54-1.08

管理措置

漁獲努力量の凍結

貿易制限措置

IUU漁業対策

混獲対策

洋上転載オブザーバー乗船(20088月より)

VMS搭載義務(20077月より)

管理機関・

関係機関

IOTC

 

執筆者

まぐろ・かつおグループ

熱帯性まぐろサブグループ

遠洋水産研究所  国際海洋資源研究員 西田 勤、

数理解析研究室 庄野 宏

 

参考文献

Bashmakov, V.F., V.V. Zamorov and E.V. Romanov. 1991.  Diet composition of tunas caught with longlines and purse seines in the Western Indian Ocean.  In IOTC (ed.), Volume 6 Collective Volume of Working Documents presented at the Workshop on Stock Assessment of Yellowfin Tuna in the Indian Ocean, held in Colombo, Sri Lanka, 7-12 October, 1991. December 1991.  IPTP/WD/6. 53-59 pp.

Bo, F. and T. Nishida. 2003.  Factors affecting distribution of adult bigeye tuna (Thunnus obesus) in the Indian Ocean based on Japanese tuna longline fisheries information. (Working paper for publication. 上海水産大学修士論文(中国語)より英訳中.)

Kume, S., Y. Morita and T. Ogi. 1971.  Stock structure of the Indian bigeye tuna, Thunnus obesus (Lowe), on the basis of distribution, size composition and sexual maturity.  Bull. Far Seas Fish. Res. Lab. (4): 141-164.

IOTC. 1999.  Appendix vii. Report of the second session of the Scientific Committee.  In IOTC (ed.), Report of the fourth session of the Indian Ocean Tuna Commission. Kyoto, Japan, 13-16 December 1999. IOTC/S/04/99/R[E].  22-41 pp. http://www.iotc.org/English/documents/index.php  (2005121)

IOTC. 2001.  Report of the third session of the IOTC Working Party on Tropical Tunas. Victoria, Seychelles 19-27 June, 2001. IOTC-2001-WPTT-R[EN]. (2)+36 pp. http://www.iotc.org/English/documents/index.php  (20051130)

IOTC. 2002.  Report of the fourth session of the IOTC Working Party on Tropical Tunas. Shanghai, People's Republic of China, 3-11 June, 2002. IOTC-SC-02-05[E].  http://www.iotc.org/English/resolutions/reso_detail.php?reso=28  (20051130)

IOTC. 2003a.  Report of the eighth session of the Indian Ocean Tuna Commission Victoria, Seychelles, 7-12 December 2003. IOTC-S-08-03R[E].  68 pp.  http://www.iotc.org/English/documents/index.php  (20051130)

IOTC. 2003b.  Resolution 03/01. On the limitation of fishing capacity of Contracting Parties and Cooperating on-Contracting Parties. http://www.iotc.org/English/resolutions/reso_detail.php?reso=28  (20051130)

IOTC. 2003c.  Recommendation 03/05. Concerning trade measures.  http://www.iotc.org/English/resolutions/reso_detail.php?reso=32  (20051130)

IOTC. 2003d.  Resolution 03/02. On criteria for attaining the status of Co-operating Non-Contracting Party. http://www.iotc.org/English/resolutions/reso_detail.php?reso=29  (20051130)

IOTC. 2004a.  Report of the seventh session of the Scientific Committee. IOTC-2004-SC-R[EN].  91 pp. http://www.iotc.org/files/proceedings/2004/sc/IOTC-2004-SC-R[En] (2005218).

IOTC. 2004b.  Report of the sixth session of the IOTC Working Party on Tropical Tunas. Victoria, Seychelles, 13-20 July, 2004. IOTC-2004-WPTT-R[EN].  58 pp.  http://www.iotc.org/English/documents/index.php  (20051130)

IOTC. 2005.  Report of the ninth session of the Indian Ocean Tuna Commission. Victoria, Seychelles, 30 May - 3 June 2005. IOTC-2005-S9-R[EN].  62 pp. http://www.iotc.org/English/documents/index.php  (20051130)

IOTC. 2006a. Report of the tenth session of the Indian Ocean Tuna Commission. 22 to 26 of May 2006, in Goa, India. IOTC-2006-S10-R[EN].  64 pp. http://www.iotc.org/files/proceedings/2006/s/IOTC-2006-S10-R[EN].pdf 200714

IOTC. 2006b. Nominal catch 1950-2005. Updated on 16 June 2006. http://www.iotc.org/English/data/databases.php  200714日)

Miyabe, N. 2001.  Estimation of selectivity at age for bigeye tuna in the Indian Ocean.  IOTC-WPTT-01-20.   IOTC Proc., (4): 483-490. http://www.iotc.org/English/documents/index.php  (2005121)

毛利雅彦. 1998a.  インド洋におけるメバチの釣獲率分布に関する研究.  博士論文(東京水産大学). 138pp.

毛利雅彦. 1998b.  インド洋におけるメバチの成熟状態と水温の関係.  水産大学校研究報告, 46: 175-181.

Nakamura, E.L. and J.H. Uchiyama. 1966.  Length-weight relations of Pacific tunas.  In Manar, T.A. (ed.), Proceedings of Governorʼs Conference Center of Pacific Fisheries Resources.  Hawaii, USA.  197-201 pp.

Nishida, T., H. Shono, H. Okamoto and Z. Suzuki. 2002.  Updated bigeye tuna (Thunnus obesus) resource analyses in the Indian Ocean for CPUE, ASPM (MSY) and Projections.  IOTC 4th Tropical Tuna Working Party. IOTC-2002-WPTT-35. 475-481 pp. http://www.iotc.org/files/proceedings/2002/wptt/IOTC-2002-WPTT-35.pdf  (2005218)

Nishida, T., and H. Shono. 2004.  Updated stock assessment of bigeye tuna (Thunnus obesus) resource in the Indian Ocean by the age structured production model (ASPM) analyses to 2002.  IOTC 6th Tropical Tuna Working Party. IOTC-2004-WPTT-09.  15 pp. with Addendums. http://www.iotc.org/files/proceedings/2004/wptt/IOTC-2004-WPTT-09.pdf  (2005218)

Nishida, T., and H. Shono. 2006.  Updated stock assessment of bigeye tuna (Thunnus obesus) resource in the Indian Ocean by the age structured production model (ASPM) analyses (160-2004).  IOTC 8th Tropical Tuna Working Party. IOTC-2006-WPTT-22.  18 pp. with Addendums. http://www.iotc.org/files/proceedings/2006/wptt/IOTC-2006-WPTT-22.pdf  200714日)

西川康夫・本間 操・上柳昭治・木川昭二. 1985.  遠洋性サバ型魚類稚仔の平均分布, 1956-1981.  遠洋水産研究所Sシリーズ, (12): 1-99.

Okamoto, H., N. Miyabe, and H. Shono. 2004.  Standardized Japanese longline CPUE for bigeye tuna in the Indian Ocean up to 2002 with consideration on gear categorization.  IOTC 6th Tropical Tuna Working Party. IOTC-2004-WPTT-18. 14 pp. http://www.iotc.org/files/proceedings/2004/wptt/IOTC-2004-WPTT-18.pdf (2005218)

Okamoto, H., N. Miyabe, and H. Shono. 2006. Japanese longline CPUE for bigeye tuna in the Indian Ocean

      up to 2004 standardized by GLM applying gear material information in the model. IOTC 9th Tropical Tuna Working Party. IOTC-2006-WPTT-17. 17 pp.  http://www.iotc.org/files/proceedings/2006/wptt/IOTC-2006-WPTT-17.pdf  200714日)

Poreeyanond, D. 1994.  Catch and size groups distribution of tunas caught by purse seining survey in the Arabian Sea, Western Indian Ocean, 1993.  In Ardill, J.D. (ed.), Proceedings of the Expert Consultation on Indian Ocean Tunas, 5th Session, Mahé, Seychelles, 4-8 October 1993. IPTP Col. Vol. 8. 53-55 pp.

Shono, H., Okamoto, H. and Senba, Y. 2006. Preliminary stock assessment for bigeye tuna in the Indian Ocean

   using Stock Systhesis II (SS2). IOTC-2006-WPTT-18. 12p. with Addendums. http://www.iotc.org/files/proceedings/2006/wptt/IOTC-2006-WPTT-18.pdf  200714日)

Shono, H., T. Nishida and H. Okamoto. 2004.  Future projections for bigeye tuna in the Indian Ocean. IOTC-2004-WPTT-19. 14 pp. with Addendums. http://www.iotc.org/files/proceedings/2004/wptt/IOTC-2004-WPTT-19.pdf (2005218)

Stequert, B. and F. Conand. 2000.  Preliminary studies of age and growth of bigeye tuna (Thunnus obesus) in the western Indian Ocean.  IOTC-2000-WPTT-01.  249-255 pp. http://www.iotc.org/files/proceedings//2000/wptt/IOTC-2000-WPTT-01.pdf  (2005218)

Stequart, B. and F. Conand. 2003.  Age and growth of bigeye tuna in the western Indian Ocean. IOTC/WPTT-03-Info2.

Stéquert, B. and F. Marsac. 1989.  Tropical tuna-surface fisheries in the Indian Ocean.  FAO Fisheries Technical Paper, (282): i-xii, 1-238.

Tankevich, P.B. 1982.  Age and growth of the bigeye tuna, Thunnus obesus (Scombridae) in the Indian Ocean.  J. Ichthyology. 22(4): 26-31.

 

付表1. インド洋のメバチの漁法別漁獲量(トン)(19502004)(...:操業なし)

データ: IOTC 2006b


付表2...インド洋のメバチの国別漁獲量(トン)(19502004)(…:操業なし)

データ: IOTC 2006b